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第3話 失うものがない故の無敵

女神アシスタ

『現在の神時間の経過は6,371文字!

残り13,629文字です!』

 その日、教室は異様な雰囲気が漂っていた。

 山岸以外のイジメっ子連中は全員顔を腫らしたりしていて、俺も顔面の至る所に包帯や絆創膏を貼っているからだ。

 にも関わらず、担任である村上は完全に無視。

 それどころか休み時間に俺を呼び出して、


「仲良くしろとは言わんが揉め事を起こさないように頑張ってくれよ」


 なんてありがたいご指導をしてくださった。

 既にコイツの倫理観には疑問がついていたが、これで確信した。

 コイツもイジメの温床という奴だ。


 さて……権力側がアテにならないとなると、策を練り直す必要がある。

 暴力で片付けるなら一人一人闇討ちしていくのがセオリーだが、このニッポンという国の法律では人を殺すと問答無用で捕まる。

 だが、多少痛い目に合わせたくらいでは反省しないだろうし単純な暴力以上の手を考えるべきなのだろう。

 となると……


 俺は授業そっちのけでイジメ解決の作戦を練り続けた。



 放課後、山岸グループの一人である田中を尾行した。

 田中は珍しく一人で行動し、駅のトイレで私服に着替えて電車で隣町に行き、駅前のファーストフードショップに入った。

 席に座り手持ち無沙汰にスマホを弄っていると、ほどなく茶色いショートカットの女子がやってきた。


「あれえ? ジュン、どうしたのその顔?」

「ん? ああ、ちょっと学校で後輩に絡んでるバカがいたからそれとやりあってな。

 名誉の負傷って奴」

「うわ〜〜痛そう! でも、エライよ!

 悪いヤツから後輩を守ってあげるなんて!」

「大したことじゃねえよ。

 ま、俺は自分がダサいと思うようなことはしたくないだけさ。

 だからイジメとかやってる奴は反射的にこうしちゃうんだよね」


 得意げに笑ってパンチを打つそぶりをする田中……見ていられないな……


 スタスタと歩いて田中の肩を叩くと、奴は眼球が飛び出しそうなほど目を見開いて驚いた。


「サダメ!? おま――――」

「いやいや、奇遇だね。

 田中()()()くん。そちらの可愛い子は彼女?」


 俺が女子に目を向けると田中はキッと俺を睨みつけてきた。




 急用ができた、と田中は彼女を帰らせて俺と一緒に裏路地に入った。


「おい、サダメぇ!

 なんの真似だよ!?

 ストーカーみたいなことしやがって!!」

「お前こそなんの冗談だ?

 集団で俺をボコっておいて返り討ちにあった話がどうして後輩を護る武勇伝にすり替わったんだ?

 漫画と現実の区別ついてないのか?」


 俺に問い詰められると田中はバツが悪そうにそっぽを向く。

 そして吐き捨てるように、


「言っておくけどな、俺をどうにかしたくらいじゃお前に対するイジメ終わらねえから。

 昨日のことでみんな頭に来てる。

 近いうちに本格的にリンチされるぞ」


 と言った。

 まあ、予想どおりの展開だ。

 奴らははみ出しもののくせにプライドが高い。

 イジメられている奴に負けるなんて許せないのだろう。

 ならば、そのプライドを先にへし折るだけだけど。


「うーん、そいつは怖いなあ!

 お前らにリンチされたら死んでしまうかもしれないなあ!

 先生もアテにならないしどうしよう!」


 大袈裟に言う俺を田中は訝しげな目で見つめてくる。

 そこに、


「えーい。じゃあもう破れかぶれだあ!

 少しでもお前らに復讐してやるう!

 田中くんの彼女を【自主規制】してやろうかなあ!」

「れっ…………リナは関係ないだろうがああ!!」


 胸ぐらを掴もうとしてきた田中。

 だがみぞおちに拳をめり込ませるとその場に崩れ落ちた。

 痛みと一時的な呼吸困難で涙を浮かべている田中の顔面を掴んで告げる。


「知ってのとおり俺に失うものなんてないから。

 死ぬことを思えばそれくらい余裕でできるんだぜ」

「や……やめ…………」

「ま、そうでなくてもお前がイジメの果てにクラスメイトを自殺未遂に追い込んだって話してやるだけでも多分あの子引いちゃうだろうな。

 SNSとかでも拡散されるだろうし、一躍有名人だよ。

 親兄弟も後ろ指差されるんだろうなあ」


 ポキリ、と田中のプライドが折れる音が聞こえた気がした。


「やめろ……やめてください…………お願いですから……」


 涙を流しながら俺に頭を下げた田中。

 これで俺のいじめ対策は半分は終わったも同然。


「じゃあお願い聞いてあげる代わりに、俺からもお願いしちゃおうかな」


 ニッコリと俺は微笑みかけた。




 俺の考えた作戦というのは、早い話、田中にやったことの繰り返しだ。

 田中から仲間の情報を絞れるだけ絞り、それを持って一人一人訪問し、タイマンで殴り倒した後に脅迫する。

 そして、さらにそいつから情報を引き摺り出す。

 暴力でねじ伏せられ、後ろめたい秘密や弱みを握られ、しかも仲間を裏切ったという罪悪感まで植え付けられた奴らにプライドなど残るはずもない。

 10月に入る前に俺に手を出してきた連中全員をこの方法で叩きのめした。


 リーダー格の山岸以外は。


 今まで学校を我が物顔で歩いていた不良グループの生徒がことごとく大人しくなり、なかには不登校の者まで出てきた。

 ついでに担任の村上は更迭された。

 過去に手を出していた女子生徒達から一斉に訴えられた為だ。

 何故、そんなことになったのかは語るまでもない。



 そして、ついに……



「屋上。付き合え」



 山岸がたった一人で俺を呼び出した。

女神アシスタ

『現在の神時間の経過は8,445文字!

残り11,555文字です!

しっかり現代ニッポンに馴染んで謀略を企てるなんてさすが勇者様です!


さて「面白い!」「続きが気になる!」と思ったら、遠慮なく感想を書き込んでくださいね!


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では、また今夜お会いしましょう!』


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