僕とパイナップル。そしてモンスター。
現役中学2年生のf1veと申します。初の短編小説?らしきものを作ってみました。
僕の部屋にパイナップルがやってきたのは3月の頭のほうだった。
一日目
僕の祖父は就中旅行が好きな人であり、空港で行く国を決め鞄一つで旅に出るほどの旅行家であった。特にこれといった目的もないまま旅に出る。僕の部屋にあるパイナップルも祖父が沖縄から輸送してきたモノである。
旅土産だとパイナップル育成キットを俄に渡されるこちらの気持ちも考えてもらいたいものだと心の中で愚痴を吐きつつも、内心パイナップルを育てるのが楽しみでもあった。
大きさはおよそ二寸ばかりである。いちいちパイナップルと呼ぶのも面倒臭いので名前をつけることにした。どうやらパイナップルは果実だけのことを指すらしく、植物としてはアナナスと呼ぶこともあるらしい。曲がりなりにも考えた末、ナナと呼ぶことに決めた。名前をつけた途端一気にナナに対しての愛情を持つようになった。蓋し名前には特別な力があるのではないかと考えながら説明書に書いてあるとおりに水を入れる。元来僕は説明書をじっくり読んで理解してからじゃないと行動し始めない質であるが故に幾分時間を書けながらナナに水を上げる。
パイナップルは日があるところでしか育てないといけないらしいので窓際にナナを移動させる。
いつの間にか僕はパイナップルというモノに対して興味をいだいていた。パイナップルに興味が湧くのかと驚くと思うが、実は僕が一番驚いていた。なぜなら僕はアイデンティティを感じ始めた頃からヒューマニズムの考え方が奥底にあったためである。幼い頃から無神論者な僕にとって原理主義やアニミズムはとても理解し難い考え方であった。もし神がいるのならどうして優秀な人から先に摘んでいくのだろうか。こういうとモラルハザードだと言われるかもしれないが、構わない。神は選ぶのが下手だ。
二日目
バカでかい目覚ましの音で目が覚めた。どうやら寝違えたらしく、体の節々が痛い。顔を洗い朝食を済ませて課題に取り掛かる。2,3時間が立ち休憩に入る。ふとナナのことが気になりナナの様子を見てみると、液体が滲み出ており水が黄色く濁っていた。説明書には黄色く滲んだときの対処法が書かれてなかったので半ば軽いパニックに襲われながらも対処法を探した。なんのために説明書があるのかと一人ムシャクシャしていたが今はそれどころではない。一刻も早く対処法を見つけなくてはと奮起して探し始めた。探すこと10分ほどした時にそれらしき情報が見つかった。パイナップル農家の方のブログである。プロが言うなら間違いないとなんの疑いを持たず放置することにした。
三日目
昨日なんの支障もないとあったが、心配性の僕はナナのことが一日中気がかりだった。僕の一つの癖である匂いを嗅いでみる。鼻が詰まっている今現在、匂いを嗅いでどうするのだという考えがよぎったが無意識の行動であるためどうしようもなかった。ひどく甘ったるい匂いがして軽く咳き込みながらまじまじと眺める。ここは大人に聞いてみるのが一番であると考えた僕はすぐさま両親に聞いてみることにした。どうやら水は毎日変えないといけないらしい。基本的なこと過ぎて説明書にもパイナップル農家のブログにも乗ってなかったのだ。基本的なことでも書いてあるのが説明書というものであろう。
四日目
問題も解決したことだしナナの世話にも随分手際が良くなってきた。昔から守破離という考えがある。師匠の教えを忠実に守り、その上でその教えを破ってみて新たな方法を生み出し、離れてみる。とてもざっくりであるがまあ、そういうことである。僕は今ちょうど破の段階にいるのだ。どうやったら早く元気にナナが成長するのだろうと心弾ませながら考えた。考えた末に僕はあるバイアスがあることに気がついた。それは、植物を育てるには水を使うということである。これといった成分もない水よりもたくさんの栄養分があるモンスターのほうがいいのでは、と考えた次第である。天才的なこの案を早速実施してみることにした。
5日目
僕とナナの関係に幕が下りた。
ご一読ありがとうございます。はしたない文章ではありますがご容赦ください。