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進路に悩む女子校生
「はあ~」
学校からの帰宅途中の女子校生ーー佐々木 明日葉は進路希望のプリントを見て、本日何度目か分からない溜め息を吐く。
高三になった彼女は進路に悩んでいた。
運動も勉強も中の上。得意なことは特になし。
大学や専門校に行ってまで学びたいことはないし、だからといって自分が社会人として働いている姿が想像出来ない。
進路、進路と悩んでいるうちに徒歩二十分があっという間に消え去り、家についてしまう。
「ただいま~」
ローファーを脱いで二階の自室へ。
「ご飯になったら降りてきなさいよ」
下から声がした。明日葉の母だ。
母は専業主婦で父は会社員。
家族構成も普通だ。
親のようにはなりたくないとも親の後を継ごうとも思わない。
「なんだかな~」
進路のプリントを勉強机に投げ出し、明日葉はベットに倒れ込む。
「私は何になりたいんだろう」
頭を使いすぎて明日葉の瞳がゆくっりと閉じた。
自分が事件に巻き込まれるなど想像などしていなかった。