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神様と使徒の異世界白書  作者: 麿独活
第一章 【魔物という存在】
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第一章18 『神様と大森林』

 砂漠エリアから出る事を決め、俺とシオンは森林エリアを目指して移動していた。

 砂塵を巻き上げながら、高速で疾走する。走り難い砂地を走るのも大分慣れたので、移動は順調だ。

 それから二時間程進んだだろうか、砂漠エリアと森林エリアを分けている山脈が見えてくる。


『(シオン、そろそろエリアの境だ)』


『(了解!)』


 俺達はスピードを上げ、山脈を目指す。数分後、山の麓に辿り着いた。


「フゥ~……着いたな」


「うん、早く登ろう!」


「ああ」


 そう言って二人でエリアの境に跨る山脈を登る。登り続けて十分程で頂上が見えて来た。そして、頂上に辿り着いた俺たちが見た光景は、眼下に広がる見渡す限りの大地を埋め尽くす大森林だった。


「うわぁ~! 見渡す限りの森だよ、トウマ!」


「ああ、凄いな……」


 草原のような淡い緑ではなく、濃い緑の鬱蒼とした木々が目に見える範囲全ての大地を支配している。まさに樹海というのに相応しい光景が広がっていた。砂漠とは一転して、生命に満ち溢れている光景に二人して圧倒される。


「これはヘタに踏み込むと迷いそうだな……」


 と、シオンに向けて呟く。


「そうだね……ボクがマップを見ながらナビするよ」


 そう言ってマップを見るシオンだったが、ふとなにかに気付いたのか声を上げる。


「あれ?」


「どうした、シオン?」


「う、うん……森林エリアじゃないんだけど、山岳エリアの特異個体(ユニーク)の反応が一つ消えてる……」


「なに?」


 俺はシオンの手元を覗き込んでマップを確認すると、出発の前に確認していた三つの反応が二つに減っていた。


「どういうことだ?」


「う~ん……多分だけど、他の特異個体の群れとぶつかって、やられちゃったんじゃないかな?」


「他の特異個体と?」


「うん……ほら、この特異個体の位置ってもっと手前にいたと思うんだ。それが奥の方に移動してる……多分、コイツが奥にいた奴とぶつかったんだと思う……それで――」


「その奥にいた特異個体側が倒された……って事か」


「うん……エリアにいる時はそのエリアしか注視していなかったけど、全体の状況もちゃんと見ておかないと駄目だね」


「そうだな……倒された方の群れはどうなったんだ? もし逃走したのなら、不味くないか?」


 逃走後の群れからは新たな特異個体が生まれやすいという話だった。だから、シオンと俺は群れを逃がさないように戦う際は苦心している。

 よって、この群れもこのまま放っておけば、新たな特異個体が生まれてしまう。


「検索する限り、群れの残りだと思う魔物がいるにはいるね……ほら、ココ」


 そう言ってマップを指差してくれる。すると、そこには確かに何匹かの魔物の光点が少し固まって存在していた。


「確かに最初に見た時と同じ種類の魔物だな……となると、こいつらから新たな特異個体が生まれる可能性がある訳だ……どうする? 森林エリアは後回しにして、山岳エリアに先に向かうか?」


 一日早くエリアを移動したから、今からルートを変更しても予定通りに旅を進める事は可能だとは思う。だが――


「う~ん……予定通り森林エリアを攻略しよう。群れの中からすぐに特異個体が生まれるとは限らないしさ。また、長距離を移動するなんて疲れるしさ」


 と、シオンは乗り気じゃなさそう。そして、チラリチラリと大森林に視線を向ける。どうやら、砂漠に飽き飽きしていたから、森林エリアに興味津々らしい。

 まあ、これだけ壮大な大森林を目の前にしたら、冒険したいと思う気持ちも分からないではない。ただでさえ、砂漠で退屈な思いも抱いていたようだし……そう考え、シオンの意向に従うことにする。


「まあ、それもそうだな……ただ、しっかり動向は監視しておこう。見失う危険もあるしな」


「うん、ちゃんとマーキングしておくよ!」


 シオンは異界天球儀の端末の指輪を操作して、先ほどの群れをマップにマーキングしておく。これなら、間をおいても後を追うことは出来るだろう。


「もしかしたら、その群れから特異個体が生まれる期日も分かるかも知れないな」


「それもそうだね。もしそれが分かったら、任務終了時に報告しよう」


「ああ」


 そうして、少し予想外の事態は起こったが、俺たちは森林エリアを攻略する為に、あの広大な樹海へと向かい、山脈を降りて行った。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 樹海に降りて来た俺たちは、まずは拠点を作る為、最初の特異個体がいる場所から少し離れたところに拠点を探す。そんな、いつもの手順を行っていたのだが――


「トウマ、トウマ! あそこ見てあそこ! でっかいヤスデがいる!!」


「いいよ、そんな報告は! っていうか見せようとするな、そんな気持ち悪い虫!!」


 と、シオンは拠点を探すというより、目新しい物を探すのに忙しいらしかった。


「あれ? トウマって虫苦手?」


「種類による。ムカデとかヤスデみたいな、足多数系は好きじゃない」


「なんで?」


「昔、風呂場で頭を洗っていてシャワーで流そうとした時、足になにかが這う感触がしたんだ。すると、一匹のムカデがウゾウゾと足を這い上ってた……」


「うわ~……それはゾワッとする経験だね」


 そう言いながら、ヤスデに手を伸ばそうとするシオン。


「コラ……なにをしようとしている、シオン」


 咄嗟にシオンの首根っこを掴む。


「チッ……バレたか……」


 おまけに、いたずらまで仕掛けようという程のはしゃぎっぷりだった。こんなことをしていると、日が暮れてしまう。


「遊んでいないで、拠点を早く見つけるぞ。早くしないと日が暮れる」


「は~い」


 シオンを促し、拠点探しを再開する。一時間程探し、巨大な倒木が倒れている箇所を見つけ、丁度良いスペースが出来上がっている部分に拠点を作った。

 その後、次の特異個体を確認する為に、マップを頼りに樹海を進む。そして、十分程進んだ先で、次のターゲットとなっている特異個体を発見した。


「あれが森林エリア最初の特異個体『キラーエイプ』か……」


「うん、でっかい猿だね~……」


「ああ」


 その魔物は、身の丈が四メートル程はある巨大な猿の魔物だった。見た目はゴリラに近いだろうか……黒い体毛に盛り上がって発達した全身の筋肉。

 ただ、違うのはゴリラは見た目温厚そうな顔をしているが、こちらは八重歯が突き出し、肉食を彷彿させるような獰猛な顔つきをしていた。


「あれ? アイツだけ背中が白いね」


 シオンが、キラーエイプのもう一つの特徴である、黒い体毛が背中だけ白くなっている部分を指摘する。


「シルバーバックってやつだな。地球のゴリラの特徴だが、群れのリーダーは背中の体毛が白くなるらしい」


「へぇ~……」


 初耳のようで、興味深そうにキラーエイプを眺める。


「他のは『フォレストエイプ』だったか。数は……二十六体。結構いるな」


「そうだね。今回もそっちの方が面倒そうだね……この樹海は、アイツ等にとっては庭みたいなものだろうし……」


「確かにな……動きもかなり機敏そうだ」


 キラーエイプの周りには、二周り程小さくしたこちらはゴリラというよりチンパンジーに近いだろうか……細長い手足に黒い体毛の魔物が屯している。

 木々の間を上手く手足を使って移動しており、手先も器用そうだ。逃がすと、樹海に慣れていない俺達では、見失ってしまう可能性が高い。


「とりあえず相手は確認出来た。いったん拠点に戻って対策を考えよう」


「だね」


 そうして、その場を離れた俺たちは、一度拠点に戻ってターゲットであるキラーエイプとフォレストエイプの群れを仕留める算段を相談することにした。


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