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26 王都完成



 エンフェリアルさん達巨人族が工事に携わるようになり、一気に城壁の建設が進んだ。


 持ち運びの転移陣を外側に設置し、そこからバケツリレーの要領で運んでは積み上げる巨人族。細かいところをオークが丁寧に直し、ゴブリンたちが強度に問題がないか確認する。


 巨人族が早いので、ゴブリンたちの大人が総出でオークを手伝い、強度確認をしても、全く追いつかない。城壁はエルフが指示を出し、ドワーフ達は巨大な城門となる鉄格子の加工を総出で行っていた。


 爺も日々顔を真っ赤にしてまで外側用の硬い鉱石――アダマンタイトという鉱石らしい――をブロック塀の形で生み出していた。


 この調子だとあっという間に終わるだろうな、と思いつつ、私は見て見ぬふりをしながらせっせと配下を増やしていく。




 ネズミ頭の、以前ジルの根城でみた種族、ラットマン1万人。すごい数だけど、身長も低く人間の幼児程度。ドワーフよりも低い。多分一人1mもない。基本、一つの家に20~30人以上で住まうので、思ったほどは場所をとらない。すごい。でも進化して普通の人サイズになったらどうしよう……。数が多い以外、これといった特技もない――あえて言うと……よく食べる――ので、探索隊として鉱石発掘をお願いした。




 殺傷能力は高そうだけど、どう考えても食事はとりにくそうな牙の生えた豹、キラーサーベル50匹。厩舎でグリフォン達の後輩として元気にしている。彼らは騎乗部隊の騎獣として、日々訓練に励んでいるらしい。




 鶏の身体と蛇の尾のコカトリス30匹。多分、家畜? 嘘嘘。今のところ防衛にも建築にも携わらず、街中をうろついている。トイレは公衆トイレをちゃんと利用してくれているので、特に何か言う事はない。




 西洋風の竜。アースドラゴン(茶)3人。フォレストドラゴン(緑)5人。ファイヤードラゴン(赤)2人。フロストドラゴン(水色)8人。これらはジルが殴って、強制的に私の配下に下るよう命令した。なので、ドラゴンなのに、街人としてはあまり発言権がない。可哀そうに。


 まぁ尊大な態度をとられても困るので仕方がない。


 オレガンディル総司令官の部下として、防衛を頑張ってもらう事にした。急に竜を部下に、と言ってきた私に、オレガンディル総司令官は目を白黒させ、冷や汗垂らしながら必死に頷いていたなぁ……。


 普段は人型でいるから邪魔にはならないし、兵舎でオレガンディル総司令官達と思いの外仲良くやっているようだ。




 ナーガ18人。上半身人間の男、下半身蛇。状態変化の石化を得意とし、近接攻撃では剣をつかう。オレガンディル総司令官の部下に配属。




 一角兎40匹。頭に角の生えた兎。角と言っても鬼の角のよう小さいのが額の辺りにちょんとある程度で、ほぼ兎。街中をうろついている。可愛い。こちらもトイレはちゃんと公衆トイレでしてくれるので助かる。




 サラマンダー430人。燃え盛る火を身に纏わせることができるリザードマンみたいなの。剣に炎を纏わせて戦える。当然オレガンディル総司令官の部下に配属。




 ゴーレム20人。巨大な岩の塊。力自慢なのでオレガンディル総司令官の部下に配属したけど、当面は城壁建設要員。




 ハイエルフ38人。エルフと何が違うのかわからない。でもハイらしい。更地で建築事業に勤しんでもらっている。終わったら店を出すらしい。




 ダークエルフ22人。色黒のエルフ。更地で建築事業に勤しんでもらっている。弓の名手らしいので、終わったらオレガンディル総司令官の部下として、ワーウルフ達と共に森の巡回をしてくれるらしい。




 今回増えた人数は総勢10,666名。


 これで王都は完成したと言っても過言ではないだろう。


 一月足らずでこんな人数を連れてこれるとは思ってもみなかったよ……。


 で、竜が18人も仲間になったため、戦力が跳ね上がった。私にはよくわからないけど、オレガンディル総司令官が泣き顔になっていたからすごく強い存在なんだと思う。今一つ見たことがないので不明だけど。


 結果、あちこちの弱い部族が庇護を求めて魔王城周辺に集まりだした。なので、城壁の建設が済んだら今度はそっちの集落をまとめて村くらいのサイズにする。配下契約を済ませたら国民として認めよう。


 でも、集まった人全員に料理はあげられない。


 配下になる条件はこの国の庇護を与える事。食料は自分達でどうにかしてもらう。しかし、森の食料には限りがある。


 そこで私は考えた。


 海の幸、森の幸、山の幸を物々交換でどうにかしてもらう。


 森にはドリアード達の力を借りて、沢山の木の実の生る木を育ててもらう。


 コカトリスは毎日卵を10個ほど生むらしいが、その99.9%が無精卵で育たないらしい。コカトリス本人たちに確認しながらどの卵なら大丈夫か判断すれば、この街からは卵を特産品として出せる。エルフやドワーフ達がいるから、服や武器、食器や家具だって出せる。で、お外の町の人たちは、代わりに山堀り土堀り宝石や鉱石を掘り起こしたり、ある程度道具が揃ったら農業に従事してもらおう。


 獣や竜型で農業ができない者達は、その村を守護する事で対価を得る。


 私の配下に下る以上、強いからと弱い者に大きい顔はさせない。


 あと、将来的に、中央の島から魔王領入り口の場所に大きな検問を設け、その近くに巨大な兵舎を設置。防衛をしっかりできるようにしよう。


「そうそうは上手くいかんと思うぞ」


 魔王様の部屋で書類と格闘していると爺が急に口を挟んできた。爺も大きい方のソファーに座り、一緒に書類と格闘している。魔王様はリリアナとエリアナが近くで面倒を見てくれている。ありがたい。


 てかいいんですぅ。


 これはなが~~~い目で見た的な計画なんです~~~!


 これから日々過ごす中で、変えようと思ったら少しずつ変えればいいんです~~~!!


 一般市民でただの保育士でしかない私が、今考えられるマックスなんです~~!!!


「まぁ、悪くないし、そうなればよいとは思う。しかし、そろそろ戦に備えるべきじゃな……」


 は?!


 なんで?!


 今まで平和にやってたじゃん!


 しかも、最近では自ら配下にしてくださいって頭下げてくる人たちも増えてきたじゃん!!


「儂らの下に巨大な力が集まっておる。まだ魔王が居らんにもかかわらず、じゃ。それを快く思わぬ者もおる。デーモンロードやドラゴンロード達じゃな。あ奴らは魔王が言えば配下になるが、それ以外には従わぬ。そして、魔王の方から声をかけに行かぬ限りは知らんふりを決め込む痴れ者達じゃ」


 んな?!


 なんでそんな厄介そうな者がいるんだよ!!!


「最低でもドラゴンたちと、サイクロプスは早めに進化させた方が良い。お前のその料理、どうにかならんか?」

「取り出すときに、進化が早まるよう願ってはみますが……」

「うむ。それで何とかなればよいがの。まぁ、まだ少しは大丈夫だとは思うが、悠長にはしていられないと思えよ」


 マジかー……。


 うげぇ……。


 ようやくしばらくゆっくりできると思ったのに!!!!


 これでしばらくは魔王様を愛でて、魔王様を愛でて、リリアナとエリアナを愛でる時間ができたとおもったのに!!!!


「儂の娘はついでか……」


 まぁよいが、とぶつぶつ呟く爺は無視して、心の中で打ちひしがれる。


 くぅううっ!!!!


 なんでこう上手くいかないんだろう!!!


 爺もさっさと結界張ってください!!


「近日中に張るわい。安心せい」


 うっうっ……。


 平和が1日でも続きますように。


 私は溜息を零し、そっと魔王様を抱っこした。


 随分久しぶりの抱っこだ……。


 魔王様は驚いたように目を見開き、それからにこぉおおっと微笑んだ。


 あぁああああっ!! 可愛い!!


 可愛いよ魔王様!!!!


 すりすりと頬を摺り寄せる。


 ダメだ。昼間は抱っこしないとか無理。


 もーーー心がすさんで仕方がないので、魔王様に全力で癒してもらうとする!!


 突然、魔王様の姿が煙に巻かれ、腕の中の存在が急激に重みを増した。耐えきれず、つぶれる。


「ぎゃっ」


 ずっしりと上に乗る何か。


 腹の辺りに何かいる。


 見上げれば、すっごいイケメン。


 びっくりするほどのイケメンが居た。


 にこにこと全力の笑みを浮かべるイケメンだ。


 おそろしい!! 輝くイケメン目が痛い!!!


 思わずひぃ、と呻いて手をかざす。


 ちょ、どこから現れましたか?! あと、どこに乗ってるんですか?! どいてくれませんか?! イケメンですがめちゃくちゃ重たいです!!!!


 しかしイケメンは上半身をかがめ、私の頬に頬ずりしてきた。


 おっと?! 巨人か?! めちゃくちゃ顔がでかい!!


「なんとアレフ様! いつの間に巨大化の魔法を覚えられました?!」


 爺の声に、思わず目の前のイケメンを見た。


 ツンツンの黒髪。浅黒い肌。ご立派な角。金色の獣のような目。しっかりと筋肉のついた人間の上半身。年は……25~6辺り?


 きらっきらなその顔は、確かに魔王様の面影がある。


 ちらっと見た下半身は……獣だった。黒い、山羊のような下半身に、矢印のような尻尾……。


 あ、魔王様だ。間違いなく魔王様だ。


 だがどこが『巨大化の魔法』だ!!! どう見ても年食ってるわ!!!


 私のぷりぷりキュートな可愛い魔王様が、巨大でちょっと有り得ないイケメンになっちまったよ!!!


 がっかり!!!


「りな、すき~~」


 しかも思考は3歳児のままかい!


 ふざけんな!!!


 いいか?? 幼児プレイはイケメンでもお断りなんだよ、私は!!!


 今すぐ退けぇえええっ!!!


「あ、アレフ様、リナはか弱い人間ですぞ。その姿で上に乗ってはつぶれて死んでしまいますぞ」

「ダメ!!」


 びっくりしたように目を見開く魔王様。


 慌てて上から飛びのくと、代わりに私を抱き上げた。


「りな、だっこ」


 にこにこと私をだっこする魔王様。


 おおいいいいっ!


 誰か説明!! 説明ぷりーーーず!!! 私がキレて暴れだす前にっ説明をぷりーーーず!!!!


「う、うむ、おそらく、じゃが、ここ最近構わなかったお前が、急に抱っこしたので、テンションが上がって魔法が暴走したのじゃろう……」


 はぁあああああ?!


 そんなんありか?!


 ありなのか?!


 ところで最大の疑問!!!


 年とったら下半身、人間になるんじゃなかったんですかね?! めっちゃ山羊のままですが!! むしろ山羊のままでよかったけどね!!!


 無残なぼろきれとなった本日の御召し物をチラ見する。


「うむ……大人になられたら完全な人型にはなられるが、大きくなっただけで、内包魔力量に変化はない。あくまでも人型は内包魔力量に応じてかわるのじゃ……」


 爺説明サンクス!!!


 理解はした!!


 だが、納得はしてねぇええ!!!


 離せぇえええっ私は幼児に癒されたいんであって、イケメンなんか求めちゃないんだぁあああっ!!!


「アレフ様、リナを離し、大きく深呼吸してくだされ。いずれは大きくおなりになるのですから、今しか見られない姿をリナに愛でさせてさしあげてください……」

「?」


 きょとん、と首を傾げる。


 ぐぅうう……頭の弱い大人は嫌いなんだよ!!! いや、こういう大人にする気満々だったけど!!


「あ、アレフ様……そのように強く握られては、つ、つぶれてしまいます」


 あ、あかん……中身が出そう……。いや、別に痛くもかゆくもないし、圧迫された感もないんだけど、気持ち的に。


「!!」


 慌てて手を離す魔王様。


 その腕から這うようにして抜け出した。


 流石のジルやリリアナ、エリアナも、予想外の出来事に凍り付いていて助けにはきてくれなかった。


 くっそジルつかえねぇ!! こんな時こそ君の出番でしょうに!!


 などと心中八つ当たりしつつ、大きく深呼吸をし、乱れてもいない呼吸を整える。


「アレフ様。リナはいつものアレフ様が好きですよ。いつものアレフ様にお戻りください。大人にはどうしたってなるものです。今の御姿は今しかないのです。リナに、いつもの御姿をお世話させてはいただけませんか?」

「ん!」


 にぱぁっと笑い、魔王様の姿がみるみる縮んでいく。


 くっ……どうせなら風船のように3歳児のまま大きくなればいいのに!!


 なぁんで無駄に大人になったかな?! 勿体ない!!! ちみっこのままなら、夢の『子供に埋もれる』ができたのに!!!


「お前のその性癖もどうかと思うぞ、儂は……」


 呆れたようにぼやく爺。


 爺、黙れ。


 子供は愛すべき存在なの! 可愛がって何が悪い!


「いや……お前のその思考は可愛がるというより、お前自身が楽しんでいるだけのように思えるぞ……」


 聞こえんな。


 いいの! 魔王様だって喜んでいるし!


 元の姿に戻った魔王様の為にタンスから新しい服を持ってくる。


 リリアナとエリアナに魔王様の御着替えをお願いし、無残な姿と変わり果てた洋服を手に取り、部屋の隅にあるスライム壺へ放り込んだ。


 あっという間に消化され、消える。


 いいなぁ、このスライムゴミ箱。現代にもあれば良かったのに。


 生ごみも、燃えるゴミも、燃えないゴミも、何でも溶かす。自分の住処は溶かさないくせに。これがあればゴミ捨ての不便もなく、臭いの元もない。ゴミステーションからゴミを拾って帰る人もいなくなる。まぁ、リサイクルもなくなるのは問題か。


 御着替えの済んだ魔王様がじっと私を見ていた。


 きらっきらの目で見ている。


 はいはい、解ってますよ~。抱っこですよね~。


 ちっさいソファーに座り、自分の膝をぽんぽんと叩いてみせれば、魔王様は嬉しそうにぽてて、と効果音がしそうな走り方で近寄ってきて、膝に抱き着いた。


 くぅっ可愛い!


 膝に頭をのせ、上目遣いで見上げてくるこの顔がたまらん!!


 わかってますわかってますとも!


 抱っこで乗せてほしいんですよね?


 えぇ、えぇ、抱っこいたしますとも!!


 わきの下に手を差し込み、膝上に抱き上げる。


「わぁい!」


 うむっ可愛い!!


 歓声を上げる魔王様可愛いよ!!


「書類、まだのこっとるぞ……」


 げっそりしたように爺が何か言ってるけど、気にしない!


 今日はもう、魔王様を可愛がり倒すって決めたもんっっ!!!


 膝上の魔王様を全力でよしよしして、頬ずりしまくる。


 あぁー……癒されるぅぅ……。


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