14 名付ける時は慎重に
薄暗い部屋。
子供用ベッドに眠る魔王様。
今日は城周辺の森でピクニック……というより森林浴にいったので疲れたのだろう。ぐっすりと眠っている。
健やかな寝息を立てる姿に微笑み、乱れた布団をそっとかけなおした。
振り返れば、3人掛けのソファーに腰掛ける爺。私はその対面の2つある1人用ソファーの片方に腰掛けた。
昼間は逆に座っている。
魔王様と私が3人掛けのソファーに座り、爺が1人用ソファーでそれをにこにこと眺めているのだ。
小さいソファーは、大きいソファーよりも価値が低いものらしい。本来は格の低い方が座るのだが、昼間は爺の主人である魔王様が大きいソファー座るから、爺は小さい方に座っている。本来なら私は立っていないといけないのだが、魔王様が「りな、ここ! すわる!」と命じるので、座っているに過ぎない。一応お断りはするが、爺が「よいよい」と許可するというのもある。
「それで? そのレイスをシルフィナは推しておるのか?」
「ええ、そうなるのだと思います」
ふぅむ、と爺が考え込む。
「どうなさいました?」
「うむ、そのようなレイスの話、聞いたことがないと思ってな」
「作り話でしょうか?」
「いや、それはなかろう。儂の部下は竜族が殆どじゃ。レイスごとき雑魚、見向きもせんじゃろうて。流石に集落を作っているというなら、雑魚の情報を持ってはくるが、たった一人の野良など、見向きもせんよ」
成程、と頷く。
徒党とは恐ろしいものだ。一人では何もできないようなものも、徒党を組めば、時に恐ろしい能力を発揮する。雑魚でも徒党を組んだものの情報は集めておいても当然だろう。それでゴブリンたちのような「雑兵」と評価する種族の情報も持っていたのか。確かにゴブリンすごかったもんな。3000人って……。あれが更に膨れて行ったらどうなってたんだろう……。数の暴力こわーい。
まぁ、私にはゴブリン一人でも十分な強敵なんだけど。
「ふむ……いや、しかし……そうじゃのぅ……そのレイス、会ってみても良いかもしれぬ」
「進化の話とかもあり得そう、ということでしょうか?」
「それは会って見てみぬ限りわからぬ。しかし、もしもそのレイスがまさしく評価のとおりというのならば、配下に加える価値があるのじゃよ」
そういうものなのかな?
私にはよくわからないけど、いくら理性的とはいえ、本質は悪霊で、人の絶望が好きなんだよね? 危なくないのかなぁ……。
「そうじゃのう。普通に考えれば危ないやもしれぬ。あ奴らの餌はまさしくその『絶望』なのじゃから」
ダメじゃん?!
それ、めっちゃダメじゃん?!
「うむ、普通ならダメなのじゃがな?」
ちらりと爺は私も見、にっこりと笑った。
うわわわわ……ものすごく企んでます感!!!!
えぇぇ? まさかと思うけど、私をそのレイスに差し出す気ですか?!
「それはない。違う違う。お主のギフトじゃ。それでレイスに食事を思い浮かべてもらい、取り出せんかのう、と思ってな?」
へ……?
そんなことってありなの??
私のギフトはあくまでも料理を取り出すことであって、そんななんかあやふやなものを取り出すものとは違った気がするんだけど……。
久しぶりに自分の中の力へと意識を向ける。
オオゲツヒメ。想像した料理を現実にすることができる。
他人が想像したものなら、その人にとって最も美味な味となり、使用者が想像したものなら、全ての者にとって天上の味といえるものになる。なお、味に飽きがくることはない。
取り出した料理は、状態保存の魔法がかかり、食べても食べてもなくなることはない。別な皿に取り分けたりしたものは、食べたら減る。
使用者が望まない限り、他人がこの料理を口にすることはできない。
使用方法は、料理を想像したところで、使用者が想像した相手の腹に手を入れ、取り出す。取り出した料理を消すときは、消えろと念じながら手をかざすこと。
いや、ほら無理じゃん!! 料理ってなってるよ!!
絶望って料理じゃないでしょう?!
「そうかのう?」
そうだって!!
「よぉく考えてみるのじゃ。もしも、食料である絶望に、恐怖をトッピングしたモノとついたらどうじゃ? 加工された絶望という料理じゃろう?」
おまっ!!! 無茶言うなよ!!! それはこじつけにもほどがある!!!
この爺はどうして時折こうも強引なんだ?! 無茶ぶりはなはだしいわ!!!
そう思っていた時期が私にもあった。
今、目の前には一人の下級悪魔。彼は、つい先ほどまでレイスだった人です。
骨と皮だけの不気味な存在から、人間の男(角、尻尾付き)にジョブチェンジしたばかり。
しきりに素晴らしい、と狂喜乱舞していた。
隣にはにんまりと笑う爺。
くっそぅ……この世界の理ってやつは、ホントどうなってんだよ!!!!!
「リナ様!! 宣誓どおり、今後わたくしは誠心誠意貴方様に忠誠をつくします!!」
爺はこの人をハメました。
この人の言う宣誓は、爺が相手をだまくらかして取り付けた宣誓で、まぁでも、私も納得しているのでいいとする。
事の顛末は非常に解りやすい。
私達はさっそくレイスがいるという森まで来ていた。で、探す必要もなく、向こうから現れた。
私という人間の魂が突然森に現れたことに驚き、やってきたと言っていた。
で、私が、自分がどういった者なのかを名乗った。
「私はシルフィナが統治するセイレーンを配下に治めたリナ。魔王様のナニーです」
「ほほぉ? 貴女が噂の……。私はギュリオス。レイスのギュリオスと申します」
イケメンボイスだった。
多分目をつぶってこの声を聞いたら、私はすっごい爽やかなイケメンを思いついたかもしれない。そう、朝のニュース番組で見たら、その日一日の始まりがとても良いものだと勘違いできそうな、安定の爽やかイケメンを。
厭味ったらしくなく、無駄に爽やかイケメンボイスだけれども、けしてナンパ感もない、完璧なイケメンボイス。だが残念かな。それを発したのは、お化け屋敷でもできれば出会いたくない、骨と僅かばかりの皮だけのお化けだった。
あぁ……信じられないほどのイケメンボイスなのに……!!!
私がまともな女性だったら血涙を流したかもしれない。あ、まともな女性なら、まず見た目で悲鳴を上げて逃げ出したかな?
すっかりこの世界に慣れてきたなぁ……。
「私を配下に、ということでしょうか?」
「ええ、できることでしたら。こちらからの提示条件は、貴方の進化の手助け、です」
「ふむふむ、魅力的な話ですな……」
顎を撫でるような仕草をするギュリオスさん。
しばらく悩むようにしていたけど、突然一つ頷いた。
「いいでしょう。貴方の配下になりましょう」
「そうかそうか。ならば、一つ宣誓をしてもらいたい」
突然爺が割って入った。
何も聞いていなかった私と、突然横やりを入れられたギュリオスさんは訝しんで爺を見る。しかし、爺は一切意に介している様子がない。
「今は主従の儀の最中。いかに貴方が最強種の精神体、竜人とは言え、無粋な真似は許されておりませんよ?」
「無論じゃとも。しかしこの娘は儂が後見しておってのぉ……何かあった場合、儂の沽券にかかわる。その為、多少の口出しは儂には許されておったとおもうがのう?」
「えぇ、確かに……しかし、宣誓内容によっては、私は断ります」
警戒もあらわなギュリオスさんが私を見た。
突然の事に困惑している私に、私による謀りではないことを確認し、落ち着いたように笑った。
「勿論じゃとも。宣誓内容は一つ。今から儂が言う事を復唱してほしい。復唱内容は契約内容の確認のようなものじゃのう。確か、リナは進化の手助けじゃな?」
私は頷く。
それを見て、爺はギュリオスさんに向き直った。
「何か問題はあったかの?」
「いいえ、問題はありません。私は宣誓しましょう。今から貴方が言う内容を私は復唱する、と。宣誓は誓約。けして背かれることなく、もしも背いたのならば、私はこの魂を永遠の業火で焼かれることとなるでしょう」
片手を軽く上げ、宣誓を口にするギュリオスさん。
爺はものすごく満足げに頷いた。
「さぁ、どうぞ。私は宣誓いたしましたよ」
「私、ギュリオスは宣誓する」
「!!!!????」
突然の爺の言葉に、私もギュリオスさんも目をひん剥いた。いや、ギュリオスさんは骨と皮しかないから、雰囲気だけだけど。
しかし、爺はどこ吹く風。
ギュリオスさんは既に宣誓している。「今から貴方が言う内容を復唱する」と。ギュリオスさんはこの言葉を言わなくてはならない。
「ぐ、ぐぐ、わた、し、ギュリオスは、宣誓、する……」
顔を歪め、私を睨みつけながら口にするギュリオスさんに、慌てて私は両手を左右に振った。しかし、そんな事意味ない。
「進化がなったあかつきには」
「進化が、なったあかつきには……?」
「リナに絶対の忠誠を誓う」
「???? リナに絶対の忠誠を誓う……?」
爺の言葉に首を傾げるギュリオスさん。
うん? つまり? 進化さえしなければ仕える必要もなく、裏切っても構わないってこと??
不思議な宣誓。
「以上じゃ」
「……宣誓内容の復唱ではなかったのですか?」
「宣誓内容の復唱じゃったろう? 何しろ、リナからの提示は進化の手助けじゃ。なんぞ問題があったかのう?」
「……いいえ……」
骨と皮だけなのに、器用にも舌打ちするギュリオスさん。
爺はにやにやと笑っていた。
んん??? なんか駆け引きがあったの? よくわからないんだけど……?
「のう、ギュリオスよ」
「……何か?」
「儂はとても得意な魔法が一つあっての? 他人の思考が読めるんじゃ」
「!!!!」
びくっとギュリオスさんが跳ねた。
落ち着かない様子でそわそわとしている。
「流石は悪霊じゃのう? 無粋なのは儂とそなたどちらなのか、よぉく考えてほしいのぉ」
「くっ……」
「さて、特に問題はないようじゃ。リナよ、配下の契約を履行するとよい」
「あ、はい……では、レイスのギュリオス。貴方の頭の中に、貴方が最も好む食事……そうですね、恐怖をトッピングした絶望とか、希望を掴みかけた後の絶望とか……でしょうか? 何か思い浮かべてください」
おおおおお??? 話が全く分からないまま進んだ。
とりあえず爺に魔王様を預け、ギュリオスさんを見る。対するギュリオスさんはわけがわからない、といった顔をした。しかし、大人しく考えてくれたようだ。腹の辺りに黒い穴が見える。
進み出ると、その穴に問答無用で手を突っ込んだ。
そういえば……爺以外の誰かの腹に手を突っ込むのは初めてだ。この力を爺以外に見せたのも。
驚くギュリオスさんを無視して、穴の中を探り、手に当たった何かを引っ張り出す。
それは黒い小さな光だった。黒いのに光ってなんだって話だけど、そうとしか形容はできない。
目を刺すような光じゃない。でも、暗闇でもこれは見えるとおもう。なんかそんな謎の物体。
これが、絶望???
よくわからないけど、とりあえずギュリオスさんの身体にべとっと張り付けてみた。すると光はギュリオスさんの身体に次々と吸い込まれていく。勿論、私の取り出した物体なら、減ることも、なくなることもない。延々と吸い込まれていく。
ギュリオスさんが嬉しそうにおおお、と声を上げていた。そして、突然カッと発光したのだ。
咄嗟にギュリオスさんの身体に張り付けた光に手をかざし、消えろと念じる。そして急いで爺の横へと逃げた。
「進化が始まったようじゃ。なに、ものの数分で終わるじゃろう」
不安げに見上げた私に、爺は力強く頷き、安心させてくれる。
大丈夫ならいっか。
それより、気になることがある。いったいさっきの宣誓はなんだったのか。そして、爺がギュリオスさんに言っていたのはどういう意味なのか。
「ふむ……。あのレイスはの、お主をいいように利用しようとしていた。配下になる気なぞこれっぽっちもなかった。お主の料理の話が噂になっておるのは儂も知っておるし、こ奴が知っておったとしても問題はないじゃろう。じゃが、こ奴は、お主の料理で進化したら、お主を裏切って殺す気じゃったのだ」
うぇえええ?! こわっ!!
こぉわぁああ!!!
ほらぁああ! だから言ったじゃん!! 悪霊って信用できるのかってさーー!!!
「殺せなくとも、魔王様を人質に、と考えておったようじゃぞ」
いらん!!!
このクソ骸骨、いらん!!! 今すぐ契約を破棄しよう!!
「しかし儂はお主が料理とさえ認識できれば絶望を取り出し、進化させることができると信じておった。じゃからこそ、あの宣誓をさせたのじゃ。どんな進化であろうと、進化さえしてしまえば、こ奴はお主に絶対服従じゃ。間違いが起こることはあるまい」
あー……成程成程。
確かにギュリオスは騙された形ではあったけど、宣誓した。「進化がなったら私に絶対の忠誠を誓う」と。そして今、進化しているから、これが終わったら、私に絶対の忠誠を誓うわけだ。
でも、希望の進化先なら良いけど、違ったら私、恨まれない? 大丈夫?
「関係ない。進化先はこやつの問題よ。どのような進化をするかは、こ奴の可能性次第であり、儂らには一切関係ない。お主はどんと構えておればよい」
そういうものなのかな? ま、もう私にできることはないし、光もいつの間にか集約しつつある。こうなったらなるようになれ!
光が消えると、そこには一人の男がいた。
頭に角が生えた、イケメン。あ、角だけじゃなくて、尻尾もチラチラ見える。角はなんか、悪魔っぽい感じのやつで、尻尾は……バイキンの絵に見かけそうな黒い矢印みたいな尻尾だった。
男は自分の身体を何度も確かめ、喜色満面の笑みを浮かべ、おぉお、と声を上げた。
嬉しそうだ。
ほほぉ、と爺が声を上げたので見上げる。
爺は実に楽しそうな表情をしていた。
「本当に下等悪霊のレイスごときが下級とはいえ、悪魔になりおった。あれはレッサーデーモンじゃ。下級とは言え悪魔。精神体よ」
じゃぁけっこう強いんだ?
「まぁ、人間ではほぼ太刀打ちできぬな。よほど退魔師として修業を積んでおっても難しかろう。あんなものが人間の都市に姿を現したら、勇者でも現れねば滅ぶしかなくなるじゃろうなぁ。レイスならば普通の退魔師でも殺せるのじゃがな」
けっこうじゃなく、大分強かった。
これが私に絶対の忠誠を誓うの? すごくない? 結構怖いんですけど。
「素晴らしい!!! これが進化!! これが精神体という存在!!」
テンション高いイケメンボイスのイケメンが近寄ってきた。
え、怖い。
しらっとした目を向けるが、満面の笑みを浮かべたイケメンは気づかない。
「リナ様!!! 宣誓どおり、今後わたくしは誠心誠意貴方様に忠誠をつくします!! どうか生まれ変わったわたくしめに、新しい名をいただけないでしょうか?!」
「おすすめはせん。先程の誓約が外れる。あれはギュリオスという存在が宣誓した誓約よ」
爺がすかさず私に声をかける。
しかし、テンションの高いイケメンは大きく頷いた。
「おお、そうですか! それでは、わたくしは今、宣誓いたしましょう! わたくしは宣誓します! わたくしはリナ様に絶対の忠誠を誓い、リナ様が生きている限り、永遠にリナ様に従います!」
思わず爺と顔を見合わせる。
え? 私が生きている限りって……私、死なないよ? 大丈夫?
「よ、よかろうて。自らを示し、宣誓しておる。名を変え、進化しても、その宣誓は破られることはない……」
「そ、そう、ですか……それでは……」
ちょっと引き気味の爺。
あ、つまり、テンション上がりすぎちゃってるやつって認識で良いんだよね?
うわー……こんなやつにこれからずっと側にいられるの? いやだなぁー……。
「ええっと……」
どうしよう。思いつかない。
ちょっと落ち着こう、私。
えーっと。まず、よく観察してみよう。
さらっさらの紺色の髪。ちょっと尖った耳から真上にあがって、目の高さくらいから生える2本の角。パタパタと動く矢印尻尾。
……バイ〇ンマン。は、流石にダメだよね。
超絶イケメンだし、声は相変わらずイケメンボイス。あ、でもさっきより若干、低い落ち着いた声になってるかな? さっきより相当ヤバいテンションになってるけど。
はて、どうしよう。
えーっと……あの頭に生えた角、なんかみたことあるなー……あ、有名なバスケットチームのバッファローイラストの角みたいなんだ。色、全然違うけど、形だけなら。
牛、牛牛牛牛牛……牛の悪魔……ミノタウロス? いやいや。あれは怪物だ。違う違う。
あれ? 悪魔と怪物って一緒かな? いや、でも、進化したらあの角なくなるかもしれないし……。
牛はやめよう牛は。
えー……ますます思いつかなくなった!!
どうしうよう?!
えっと、えぇっと……なんかイケメンぽくて、長めの名前がいいんだよね?!
必死に頭の中の記憶を掘り起こす。
友人がキャーキャー言ってた外国の俳優とかを混ぜ合わせばいいのかな?! でもそれは流石にちょっとねぇ?!
大分混乱してきた!!
これは、もう、口からついて出てきた言葉でいいわ!
「よ、ヨウスケコータシュン! ヨウスケコータシュンなんてどうでしょう?」
ああああああ!! それは、私を嫁にしたいと言っている園の子供の名前だぁあああっ!!!
筆頭の子達だぁああっ!!!
「ヨウスケコータシュン!!! そのように力強い名をいただけるとは……!!! 感激いたしました! このヨウスケコータシュン! 必ずや期待にお応えいたします!!」
うをぉおおおおっめちゃくちゃ恥ずかしいぞ!!
やっぱたんまぁあああっ!!!
「無理じゃな……」
爺の呆れたような声。
目の前の悪魔は何度も何度もなんっども!!! 「ヨウスケコータシュン」と繰り返しては頷いている。相当気に入っているその姿に、きっと撤回なんて無理だと悟る。
ぐふぉぉっ……やらかしたぁああ……。
「わたくし、ヨウスケコータシュンは! リナ様に絶対の忠誠を誓います!!! リナ様の身辺警護は是非このヨウスケコータシュンに御命じください!!」
頭を抱える私を置いて、イケメンは全力の笑顔向けた。
嫌です。
嫌です。
嫌なんです。
その思いは、受け入れられず、爺はにこりと微笑む。
「うむ。悪魔は影に潜める。今後、お主をリナの影に潜ませるのも良い手かもしれんな」
「……!!」
しかし爺は優しい。
私の顔を見て、軽く頷くと、イケメンに向き直った。
「しかしお主は元が野良。お主に仕えるものなど居らぬ。たかだかレッサーデーモン1体が影に潜っても、ちぃと不安が残る。そこで提案じゃ。お主、闇に潜むシャドウデーモンを配下に加えて見せよ。そうじゃのう……最低でも12体じゃ。それができたのなら、リナの護衛として、影に潜むよう、リナに提案しても良いぞ?」
「おお! 後見であられる竜人様が仰ってくださるという事は、わたくしがリナ様の護衛になるのは確実ということではないですか! このヨウスケコータシュン! 必ずやシャドウデーモンを12体以上、配下に加えてみせましょう!!! リナ様!! このヨウスケコータシュン! しばしリナ様の御前を離れる事、お許しいただけますか?!」
「あ、はい」
是非。
その連呼される名前、できれば聞きたくありません。
そんな私の心の声はテンション高いイケメンに聞こえるわけもなく、それでは、ときらきら笑顔のまま一礼し、かき消えた。
……。
今後、名前を付ける時は、もう少し、考えよう……。




