ビリケンさんがおらへん!の巻
留久子「ビリケンさんがおらへん!」ビリケンさんがおらへんねーん!」
と叫んだ声は上空までかけぬけた、朝7時。
ビリケンさんは古くから親しまれた幸福の神様と言われ、足の裏をかく事で幸福が舞い込んでくると言い伝えられております。そんな通天閣のビリケンさん・・・・・・・・ではなく池田市のほんまち通りにあるビリケンさん。
このビリケンさんの近くに住む女子高生留久子は毎日ビリケンさんにお祈りをしていた。昨日も夜9時過ぎにビリケンさんにお祈りをした。
しかし次の日の朝7時、そう今!ビリケンさんの前を通るとなんと・・・・・・・・・・・
留久子「ビリケンさんがおらへん!」ビリケンさんがおらへんねーん!」
なんということでしょう。そこにいたビリケンさんがすっぽりなくなっているのです。
留久子「どうしよう・・・どうしよ・・・・どっこしょ・・・FU-------------一服一服」
と近くのベンチに座った。
留久子「・・・・・って座ってる場合か!・・・・・とにかく敏子に相談や!」
すぐ近くにある敏子の喫茶店へ走っていた。
敏子の喫茶店では、朝のモーニングの時間。敏子ママがテーブルを拭いている。そんな時、窓の外を見ると、左から右へ留久子が急いで歩いてくる。扉の逆側から腕を振りながら速歩きする。ガラス越しに扉まで行き。カランカラン!扉を開ける。
敏子ママ「あら留久子ちゃんどうしたの?」
留久子「おば・・・ちゃん・・・ハァハァハァ・・・あの・・・あの・・・びり・・びり・・・」
そんな留久子を見て、敏子のママは気を利かせた。
敏子ママ「あんた水持ってきて。敏子敏子! 留久子ちゃん来てるわよ!」
敏子パパが調理場から水を持って、登場。その後ろから敏子もやってくる。
敏子「留久子どうしたん?」
水を受け取り飲み干す留久子
留久子「敏子!ビリケンさんがおらへん!ビリケンさんがおらへんねん!」
敏子「何ゆってん?ビリケンさんがおらんわけないやろ。そう言って、行ったらおるっていうオチやろう。わかってるんやで留久子のすることぐらいなぁ~」
留久子「ホンマにホンマにおらへんねん!」
敏子「ビリケンさんがおらへん?ビリケンさんがおらんことないやろ!はいはいもう」
留久子「はよう・・はよう来てや!」
そう言って敏子を引っ張る留久子
留久子「はようはよう!」
敏子「痛い痛い!なんやねん。今行くがな!」
ビリケンさん前に移動した2人。
留久子「ホンマやねん」
敏子「もーわかったわかった。留久子はそそっかしいからな。」
とうそだろうという感じでたしなめる敏子
留久子「ほら見てみぃおらんへんやろう。」
敏子「何ゆうてんねん。ビリケンさんはいつも通りここに・・・・アアー!」
敏子「ビリケンさんがおらへん!ビリケンさんがおらへんねーん」
留久子「なあおらへんやろ!」
敏子「ホンマや!どうするだあー、どうするちゃっよ。ビリケンさんがビルケンさんが・・・ビリケンさんや・・」
留久子「なんで敏子の方が驚いとんねん。」
あたふたして走り回る敏子
留久子「なあホンマどうすんねん!」
敏子「とにかく警察に電話や!」
留久子「そうやな。警察に電話や!」
警察に電話する留久子。
大阪警察署の電話がなる。新聞を顔にかけて寝ている刑事の山さん。
山さん「ムニャムニャ・・・・はいだれか電話・・・ムニャムニャ・・・」
だれもでることなく鳴り続ける電話。その為、新聞をどかし起き上がる山さん。
山さん「おーいだれか電話!」
しかしだれも返事しない。なぜならそこには山さんしかいないからだ。
山さん「なんやーだれもおらへんのか!はいはい今とりますよ・・」
と言って歩き出し、電話をとる山さん
山さん「はいはいもしもし大阪警察です。」
留久子「警察さんですか?」
山さん「はいそうですよ。」
留久子「あの・・・その・・・えっと・・・」
山さん「はいはい落ち着いてください。はい深呼吸しましょう。吸って!吐いて!吸って・・・でなんでしたっけ。」
ふーはーと深呼吸する留久子。しかし吸うで終わってるので、息をとめたままなのでしゃべれない留久子。
山さん「あーしまった吸ったままになっていたか。はい吐いて。なんでしたけ?」
留久子「ぷはーー。ハァハァ。あの・・ビリケンさんがおらへん!ビリケンさんがおらへんのです!」
山さん「ビリケンさんがおらへん。そんなことないでしょう。あ!分かりましたよフリですね。フリ!もういたずら電話はやめてくださいよ。」
浜井「おはようございます。山さん。」
留久子「ホンマなんです。おらへんのです。」
山さん「はいはいじゃあ確認しますね。」
山さんは電話の受話器を外し、浜井に話しかける。
山さん「おい浜井!ビリケンさんがおらへんゆうてるんやけど・・」
浜井「はあ?ビリケンさんがおらへんってどういうことですか?」
山さん「いやあわからへんのやけど。フリやと思うねんけどな。とりあえす通天閣に確認して!」
浜井「あ!そういうことですか。はい分かりました。一応確認しますか。」
浜井はすぐさま通天閣に電話する。
山さんは状況を留久子に話した。
山さん「はいはい今確認していますからね。」
もうフリやろうというテンションの山さん。
浜井「もしもし。大阪警察ですけど、通天閣さんですか?」
通天閣の人「はいそうですけど。」
浜井「ビリケンさんがおらへんという通報が入ってるんですけど、ビリケンさんおらへんのですか?」
通天閣の人は覗き込んでビリケンさんを見るがそこにはちゃんとビリケンさんはいる。
通天閣の人「いえ。ちゃんとビリケンさんはおりますよ」
浜井「そうですよね。失礼致しました。わかりました。ありがとうございます。」
浜井は受話器を置く
浜井「いるそうです。」
山さんはやっぱりかという感じでうなづき、
山さん「今、通天閣に確認しましたがおるそうですけど・・」
留久子「通天閣?・・・そっちじゃないです。池田市のほうです。」
山さん「池田市?」
浜井「あーほんまち通りのところにあるやつですかね。」
山さん「確認できるか?」
浜井「じゃあ近くの交番の警察に確認にいかせます。」
山さん「今ですね。そちらに近くの警察官に行かせますから。少しまっていてくださいね。」
留久子「わかりました。はよう来てください!」
ガチャ電話を切る山さん
浜井「山さんなんか変な電話ですね。」
山さん「ビリケンさんおらへんってそんなわけないやろう・・・バカされとるわ。」
浜井「ホンマ大阪人は笑いをほしがって困りますね。」
近くの警察官がビリケンさんの近くに登場し、留久子たちに引っ張られている。
留久子「はよう来てください!おらへんのです。」
警察官「そんなことあるわけないでしょう。ビリケンさんがいないだなんて。」
敏子「ホンマなんです!いないんです。」
と言いながらビリケンさんのところに行く。
警察官「そんなビリケンさんがいないなんて・・・・えーーー!ビリケンさんがおらへん!ビリケンさんがおらへんやないかい!」
敏子「そんなんですよ。はよう探してください!」
留久子「ビリケンさんおらへんかったら明日から何に拝めばいいや?おじいちゃんか?」
近くのベンチに座るつえのついたおじいちゃんを拝む
敏子「やめえー死んでるみたいやろう!それじゃ」
警察官が大阪警察へ電話している。
警察官「もしもし浜井さんですか。ビリケンさんホンマにおらへんのです。」
電話口で話す浜井
浜井「ホンマにおらへんってそんなことあるんか。お前までフリにノりよって」
警察官「ホンマなんです。ホンマのホンマにおらへんのです。」
山さんと浜井がうそやろう、フリやろうとアイコンタクトする。
浜井「わかったわかった。今から行くからはいはい。」
電話を切る浜井
山さん「行くんかい!」
浜井「やあまー、一応確認しといたほうがいいんちゃいますか?」
山さん「まあー暇やからいいけど・・・」
浜井「それ山さんが仕事やらせてもらえないだけじゃないですか!」
山さん「何ゆうてんねん!難事件をたくさん解決してきた山さんに向かって。」
浜井「運だけやないですか。犯人が自首してきたり、たまたまいったところが犯人の家の近くだったり。後、犯人が自分が犯人ですって看板持って山さんのところ来たやつおりましたよね。めっちゃうけたんですけど。」
頭の中ではその時の状況が浮かぶ。
山さんの前に、看板に(私が犯人です)と書いてあるのを首にかけている奴が浮かんでいる。
山さん「うるさいは。運も実力のうちや!」
と言って振りかえると2人に眼光を開いてみる婦人警官がいる。婦女子警官の三戸だ。
婦女子とはBLにあこがれる女性で、人によっては男性2人で勝手に連想して妄想する婦女子もいる。三戸はまさにそのタイプだ。
山さん「三戸!なんやねん・・」
三戸「照れて張るんですか・・・・ハァハァ」
浜井「もう怖いわ。なんやねんなぁ・・」
そう言って逃げるように去る山さんと浜井。
三戸はそんな2人にいつまでも熱視線を送った。
現場に到着する山さんと浜井
山さん浜井「えーー!」
山さんと浜井はビリケンさんを見て、いないことに気付き、あっけにとられている。
浜井「ビリケンさんがおらへん!おらへんやん!・・・ねえ山さん!山さん!」
山さんはびっくりして声がでない。そんな山さんを呼びながら肩をたたく浜井
山さん「あ・・・・いた・・・いた・・・」
浜井「フリやないやん。これ山さん事件ですよ事件!」
そう言いながら山さんの肩をたたく浜井。
山さん「痛い痛い。痛いって!!」
怒り口調で浜井の手を払う山さん。
留久子「そうなんですよ。刑事さんどうしましょう。」
敏子「はよう解決してください!」
山さん「事件の状況を聞かせてくれへんか?」
留久子は昨日から今までの事を話す。
浜井「山さんこれだけではわかりませんね。」
山さん「よし浜井。聞き込みだ!」
浜井「分かりました。山さん」
刑事の山さんと浜井は聞き込みをしても手掛かりはない。
管理をしている会社も担当者が宇宙出張でわからない状態だった。
そんなことあるんかい!
何も手掛かりがないまま夕方近くになった。
4人は敏子の喫茶店で休憩することにした。
浜井「山さん。何も手掛かりがつかめませんね。」
山さん「うむ・・どうしたものか・・・」
敏子パパはナポリタンを山さんに出す。
敏子パパ「落ち込んでへんで、これ食ってもっと頑張れや!」
山さん「ありがとうございます。では頂きます。」
そして食べだすと・・・
山さん「からーーー!ゴーーー!」
山さんは口からゴジラのように火を吐きだす。
びっくりする留久子と敏子、浜井。
留久子「なんやびっくりするがな。」
敏子パパ「わしの特性タバスコ100増しナポリタンや!」
敏子「ホンマや!」
山さん「何してますの!こんないらんわ。この小説、サスペンスやから。こんなくだりいらへんねん。」
浜井「小説とかやめてくださいね。一応現実でやってるんで・・・」
敏子パパ「留久子ちゃんは大好きなグリーンジュースね。」
留久子「ホンマ!ありがとう敏子パパ!」
そういって飲む留久子。
留久子「まずーーー!ゴーーー!」
そう言ってゴジラのように火を吐く留久子。
敏子パパ「特性青汁や!」
敏子「ホンマや!」
留久子「きらいやーー敏子パパ!」
チャンチャン(なんかオチのような音が流れる)
しかし、そんなやり取りを見ていたある人が話しかけてきた。
みゅーじあむの人「あんたらビリケンさんがいなくなった事件追いかけてるんやって。」
浜井「そうですが?あなたは?」
みゅーじあむの人「私は向かいの落語みゅーじあむで働いているものやけど、昨日は展示物の入れ替えがあって夜中まで仕事をしててな。」
山さん「ホンマ・・・で・・すか?・・・すいません。タバスコが・・・」
浜井「山さんしっかりしてください。留久子ちゃんも聞いている?」
留久子「ちょー残るこれ・・・最悪・・・」
苦しむ留久子と山さん
浜井「それで何か目撃したのですか?」
みゅーじあむの人「昨日の10時ぐらいだったやけど・・・1人の男がビリケンさんのところにおってなどこかでみた顔だと思ってたら、あれは森ノ宮にある焼き肉店、焼き肉ハムラの社長やで。最近経営がうまくいってへんて聞いててな・・」
敏子「潰れそうやから、ビリケンさんを盗んで、幸福を呼び込もうしてるんちゃうか。」
留久子「そうや絶対そうや!すぐ捕まえましょう刑事さん!」
留久子敏子「逮捕!逮捕!逮捕!逮捕!逮捕!」
といって刑事さんに向かって何回も2人で言う。
浜井「いや~証拠もないのに逮捕できひんし・・・」
つづく!