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愛の星  作者: citrine
10/25

素晴らしい収穫

今日、幼稚園に行く途中の道で、ゴンボくんは、道端の木で、セミの抜け殻を見つけました。

{おお!なんだろ、これ?)

いっしょにいたお父さんにとってもらって、幼稚園に持っていくと、友だちが、これは、セミの抜け殻だよって教えてくれました。

(セミの抜け殻?今ないているあれ? へ~)

ゴンボくんは、この国に来てから、見るもの聞くものがまるで夢の国のようで、毎日次々と、まるで魔法のように、目の前に現れます。

(お日さまありがとうございます)

ゴンボくんは、いつも、太陽に向かって感謝していました。



キラキラ星の南のほうにあるゴンボくんの国は、電気も水も通っていない、乾燥する大地の上に建てた掘っ立て小屋に雑魚寝をするような、とても貧しい国でした

。飲んだり、洗ったり、生活に使う水を川まで行って、運んでくるのがゴンボくんの仕事でした。遠いところにあるので、朝早く出ても、帰ってくるころはもう、夕方近いころです。動物も同じ水を飲んでいます。

乾燥した土ぼこりの中、毎毎日、ずっと歩いています。


お父さんは、時々遠い国に出稼ぎに行っていましたが、とても貧しくお腹いっぱい食べることはありませんでした。でも、家族仲良く分け合って暮らしていました。


そんなある日、村にこの地域の生物を調査する調査隊がやってきて、長く滞在することになりました。

その時にゴンボくんは、その調査隊のゴーヤのお姉さんと、仲良くなりました。夕方、川から帰ってきたゴンボくんにゴーヤおねえさんが、話しかけたのです。虫の図鑑を見せて、どれか、いるところを知っているかと聞いたみたいなので、連れて行ってあげたのです。


ゴーヤおねえさんは、とても喜んで、それからときどき、話すようになりました。

おねえさんの、テントに入れてもらった時、おねえさんがなにげなくカバンにつっこんだ地元の広報誌を見せてもらったのでした。

その広報誌は写真もたくさん載っていて、自然の風景や、日常の様子、食べ物、お祭りの風景、笑っている子どもたち・・・何度見ても見あきずに、ずうっと見ていました。それから、いつも見せてと頼みにくるゴンボくんに、おねえさんは、その広報誌をくれたのでした。


ゴンボくんは、その国が夢の国のように感じました。美しくて、豊かで、カラフルなものたちや、子どもたちの笑顔に、こんなところが本当にあるんだとびっくりしました。

ゴンボくんの生活と全然違います。ゴンボくんは、自分もその国に行ってみたい、そこで暮らしてみたいなあ、と思いました。そして、ある朝、家族より早く起きて外にでていき太陽に向かってお願いしてみたのです。


(おひさま、いつもありがとう。ぼくはあの写真の国に住みたいです)

お願いしながら、写真の風景に自分も入って、その国で楽しく暮らして、幸せになっている自分を思う浮かべながら、にやにやしていました


いつもの生活が続いて、そんなことをしたことも、忘れていました。


ある時、お父さんは、いつもと違う国に出稼ぎに行きました。その国で忙しく働いていた時、ある国の会社が、その国で働く者を募っていることを、知ったのです。

出会った同じ職場の野菜が、何か書いているところに偶然いあわせて、それ、何?と聞いていると、君も応募するかと聞いてくれて、なんと、お父さんの分まで書類を書いてくれたのです。そして奇跡の雨が降ったように、お父さんは採用されました!


始めは、お父さんだけが、その国に行っていました。集団で一つの小さな家を貸してもらい、そこでみんなで暮らしていました。

お父さんもその国が気にいって、この国で家族で住みたいなあと思い始めました。


お父さんは、住んでいいたその地方に伝わっている伝統の器を見て、きれいだなあと思いました。色んな器が目につくようになり面白くなって、休みの日には、あちらこちらと、器を見て回くようになりました。実際に体験で作ってみて、すっかりハマってしまいました。面白くて仕方ありません。土をこねていると、時間を忘れるくらい熱中しました。こんなに夢中にあったものは今までなかったのです。

いつしか、お父さんは、ずっと作っていたいな、これが仕事になったらな、と思うようになったのです。


仕事の契約の期限が切れたとき、その器作りの師匠に弟子入りをしてしまいました。

お父さんの熱意と、後継者不足で困っていたので、許されたのです。


お父さんはとても喜んで、素直に熱心に取り組んだので、その師匠と心が通い合って、ある時、今使っていない家があるから、そこで家族と住んでも良いと、贈り物をもらったのです。


おとうさんは、ためていたお金で家族を呼んで、そしてゴンボくんは、今おひさま幼稚園に通っているのです。そして、それはまさしく、あのお姉さんからもらった広報誌に載っていて、ゴンボくんが行きたいと望んでいた、まさにその国だったのです!


ゴンボくんは、毎日夢の中にいるようでした。家はとても小さく質素な生活でしたが、家も家具も、電気で動く製品も、食べ物も、いろんな形や色でとても便利できらびやかでした。水も蛇口からふんだんにでます。第一生きていくために、一日中、水を運んで歩かなくてもいいのです。とても自由でたくさんの友だちと遊べるのです。

こんな生活があるなんて!お母さんや妹も幸せそうに笑っています。


ゴンボくんは、自分が恵まれていることがわかっていました。毎日太陽に向かって、心から、ありがとうと言っていました。


ゴンボくんは、ふるさとの野菜たちにも、この幸せをあげたいと思うようになりました。


(どうして、ぼくの国は、貧しいのかな?)

そんな風に感じるように、なっていきました。






今日もきれいな晴天で太陽が、サンサンと照っています。

まぶしい太陽の光を浴びながら、また、みんなで畑仕事です。

子どもたちの畑もたくさんの夏野菜の実が色とりどりに大きく育っていて、まるで宝石箱のようになっていました。

「わーお、せんせい、みてみて、ほおら、大きいよ~」

「ねえ、ぼくのも、ほらほら、大きくなってるー」

「あれ、こんなところにも、実があった!」


子どもたちは、大喜びで、ほくほくした顔で、野菜のお世話を始めました。雑草をぬいたり、いらない芽をとったり、風通しをよくしたり、・・・。教えてもらいながら、お世話をします。


苗に水をやっていたトマトちゃんは、ん?と、振り返って、そばにあったトマトの実を見つめました。

(あれ?)

なんだか光ったような気がしたのです。じーと見つめていると、ふぉわん、と光ってきました。

「うわ! ひかったあ!」


すると、ほかの実も光ってきました。トマトだけでなく、ピーマンもとうもろこしも、オクラも、モロヘイヤも色んなほかの野菜の実も次々に光って、ふぉわん ふぉわん、と輝き出し、キラキラと光ってきました。地面の下に、実っていた野菜も光って、光が地上へ上がっていき、ほかの光とともにしばらく頭上で浮かんでいました。それは、ひとつひとつまるで太陽の光のように、光輝いていました。

子どもたちは、声もなく、目をまんまるにして、見入っていました。


やがて、光は、どんどんと空へ上がっていき、ふっと消えた後、空が一面に弾けるように光ると、光がキラキラと舞い落ちりはじめました。金や銀や色とりどりの光が、ふんわりと優しく、まるで光の霧雨のようにキラキラキラキラ降ってきます。光は、畑一面に、子どもたちや先生のからだに、留まると、光の世界のように何もかも光って、消えていきました。


子どもたちは、しばらく呆然として、黙っていました。それから顔を見合わせると、目が輝いて、わあ~と、興奮したように話しはじめました。


「ねえ!今の!すごい!」

「わ~~光に包まれた」

「めっちゃくちゃキレーー」

「わあ~ 私のにんじん!光になったー」


みんなはトマト先生のほうへ、集まってきました。トマトせんせいも、頬をますます真っ赤にさせて、夢心地です


「せんせい、せんせい 何?今のは何?」

「光がふってきたよ」

「ぼくらの野菜、どこに行ったの?」

「せんせー  すごいね、すっごいきれいだったね」


「ねえ、本当にきれいだったね。美しかったーー!光が降ってくるなんて素敵だったーー。ふふ、なんだか、さっきより、きれいになった気がする。・・ねえ」


「あ、うん」

「うん、スッキリ」

「そういえば、気持ちいいみたい」


「どうして野菜が消えて光がふってくるかは、分かってないんだよ。どうしてかは、分からない。

でも、とっても美しい光景だったからせんせいは、天からの贈り物だと思う」


「うん!私もそう思う」

「うん。とってもきれいだった、みんな光ってた」

「光の中にいたね」


キラキラと降り注いだ光は、くっきりと刻まれて、子どもたちの心に中にに、スーーっと満ちていったのでした。











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