いきなり41世紀へ
西暦4000年の世界は21世紀に生きる我々にとって想像をするのに難しい時代である。
文明の発展、あるいは衰退か。
人類そのものが、地球上に存在しないことも考えられる。
この物語は、1人の少女が2016年1月20日から、突然41世紀に飛ばされたところから始まる。
~~第1話~~
はじめは、夢の中だと思っていた、しかし、この寒さは夢とは思えない。
暖かい布団で寝ているはずだ。
あたりを見渡してみても、霧のようなものが遮って、何も見えなかった。
「何コレ?怖い・・・」
少女の名は矢野ひかる、2月23日生まれの16歳で現在高校1年生だった。
ひかるという名前は本人は気にいってなかった。
少し古臭い名前だと、同級生にからかわれた事が何度かあったからだ。
一寸先も見えないし、寒いし、ひかるは困り果てた。
「だれかいませんか~」
我ながら間抜けな事を言ってるな、と思わないでもなかったが、返事も何もないのでもう一度言ってみた
「すみません、だれかいませんか~」
『あなたはどちらさま?』
音声ではなく、脳に直接話しかけられたような、それでいて優しい声が聞こえた。
「私は、矢野ひかるです、これ夢の中ですか?それとも天国とか地獄とかですか?」
最悪、自分は死んでしまったのではないか、ともひかるは考えていた。
それでも泣き叫んだりしないところが、ひかるの非凡なところでもある。
『ヤノヒカルさんですか・・・変わった名前ですね、外国の人ですか?』
「ここが日本でなければ、私は外国の人ですけど、ここはどこですか?」
『ニホンという国は私は聞いたことがありませんね、検索してみます』
「ニホンを知らない?ジャパン、ジャパニーズ・ガールです!」
『ニホンとは、昔のこの国の呼び名のひとつですね』
「昔?今2016年じゃないとか?」
勘のするどいひかるは、未来の世界、もしくは異世界に飛ばされた可能性を考えていた。
普通なら、ありえないと思うだろうが、普段からSFやオカルトに興味深々であった彼女は、
自分が危険であるかもしれない恐怖より、好奇心が優っていた。
『ニホン、ジャパン、完全に一致しました、過去のこの国の名称で間違いないです』
「あ~よかった」
何もよくはないのだが、ついつぶやいてしまった。
『今、西暦4038年ですよ』