2話
私には胸を張って友人と言える人が1人だけいた。
友人は自分に正直で、周りに正直で。
親にほしいものすら言えない、嘘ばっかりの私と全く違った。
でも、その正直さは皆嫌いなようで、彼女はいじめにあっていた。
「自分に正直にいろ。」
と大人たちは言うが、大人たちが教えてくれるのは
「その場の空気を読むこと。」
ばかり。そんなことを教えられて、正直でいられる訳がない。
そんな中でこんなまっすぐに自分の根をはるこの友人は私の自慢だった。
私と違う。周りと違う。
それがうらやましかった。
そして、何故染まらずにいられるのか不思議だった。
一度だけ、痛々しい青あざと大きな絆創膏を体中にちりばめた友人に、
「なぜ、笑っていられるの」
と聞いたことがある。
その問いに友人は小さく笑い、下を向いた。
「君は、人のために自分の人生をすべてあげるの? 他人のために死ぬの?」
それから数日後。友人は自殺した。
カッターだとか包丁だとかが転がった自室。
その中で丸く広がる血の真ん中に半分まで切られた手首を頭にのせた状態で横たわっているのを親が発見したらしい。
遺書などはなく、謎の団結力が発揮されたクラスのおかげで死因は今も不明のままだ。
私が思うに原因は私を含めたこの腐ったクラスだろう。
このクラスが腐ったのは、この汚らしい世界のせいだろう。
この世界を愛せなかった正直すぎた友人は自分がここにいたという印というばかりに部屋を赤く染めていた。
結局、友人は自分のために死ねなかったんだ。〝空気を読んで〟喜んで死んだ。
私の脳裏に、いつか見た友人の笑顔が浮かんだ。
私の誕生日まであと5日。




