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第一話:自分の道を

   

 聖はターシャと別れた後、すぐに家に向かって走り出した。彼は内心焦り、不安を感じていた。聖の母親は、明るく、些細なことは気にしない…いや時にはかなり大事なことも気にしないタイプの人で、わざわざターシャに頼んで探してもらうなんて、そうそうないのである。


 これはヤバいかな。と聖に思わせるには十分、いや十分すぎた。元ギルド員の怒った時の母親は、記憶に残る限りたった二回しかなかったが、絶対的な恐怖を聖に与えたものだった。


 何でも聖の母、アミリヤと喧嘩した父は決まって死にかけたらしい。最も、喧嘩の後は必ずそれまで以上に親密になったらしいのだが…ちなみに聖の父親は精霊の研究家で、多忙な生活を送っており三年前に家を出たきり戻っていない。

 

 「…ただいま。」


 まるで、この声が聞こえないことを祈るかのように、そっと家に入っていく。

しかし、聖の母は待ち構えていたように、   


「おかえり。また森の方行ってたの?見つからないからターシャちゃんに探しに行ってもらったわよ。ターシャちゃんには会えた?」


 あのターシャを使いに行かせられるのは、この母を含め町で数人しかいないだろう。

 

 「会ったよ。わざわざターシャに頼むこともないのに。会ってすぐ文句言われたよ…」


 「お礼後でちゃんと言っとくのよ。あんなかわいい子に探してもらうなんて幸せじゃない。」


 「………。」

 

 聖がそう思うことは、恐らく一生ないだろう。だが、ターシャは町では評判が高いらしく、フャンクラブというものまであり、一種のアイドルらしいのだが、幼いころから腐れ縁であった聖には、全く実感が湧かなかった。


 「それはともかく、ターシャに頼んでまでどうかしたの?」


 「照れちゃって。ぐずぐずしてるとターシャちゃん誰かに取られちゃうわよ?」


 こういう時、なぜ母親というのはそっちの方向に話を持っていきたがるのだろうか。

 聖は少し不満気な表情である。最も、せっかく自分から話を核心に持っていこうとしたのに、こんな返答が返ってきては、当然のことなのだが。


 「分かってるわよ。なぜ呼んだかでしょ。それはあんたが一番よく分かってると思うけど?」

 

 とたんに場の空気が変わった。母が真剣になる。たったそれだけのことでさっきまでの和やかな場が嘘のようになった。


 聖は、真っすぐに母の目を見た。母の発する気にのみこまれないように、負けないよう、自分の意思を通すために。


 極度の緊張感の中、ふと母が笑った。その表情には満足感が表れていたが、少し寂しさが混じっているようでもあった。


 「別に反対じゃないのよ?ただどうしても、聖の覚悟を確認してみたかっただけ。

 何の相談もしてくれなっかった仕返しもあったけどね。」


 ようやく極度の緊張感が解けた。しかし、聖は神経をすり減らし、立っているのがやっとの状態であった。


 「やっぱり遺伝っていうのは、怖いわね。まぁいいわ。聖がせっかく決心したんだものね。  あ、ちょっと待ってなさい。」


 待つもなにも動けないのだから、休ませた方がよさそうだったが、そんな聖の状態など関係なしに倉庫のほうに走って行った。

 

 「あの沈黙は辛かったな…けど許してくれたのかな。」


 未だに自分の母が、ギルドに入るのを許してくれたらしいのを怪しく思っていたが、

 数分後、どこから持ってきたのか黒いさやにはいった細長い刀を取り出したきた。


 「なに?これ?見たことない形だけど。」


 「昔、私の父さんが使ってたらしいんだけど、よく分からないわ。

  ただ父さん以外抜けないのよ。だから倉庫に放りこんでおいたんだけど、せっかくだからこれ使いなさい。」 


 この時の聖の表情は、何とも言い難い。母がふざけているのか、まじめに言ってるのか判断しかねているようだった。実は許してないんじゃないかと疑いつつ、その刀を手に持ってみた。


 「ちょっと試しに刀を抜いてみなさいよ?」


 聖は、決しかねるように、それでも力をこめて刀を抜こうと試みたが、無理だった。


 「あれ?…まぁそのうち使えるようになるわよ。

  それはそうと、ご飯にしましょ。お腹すいたでしょ?」


 と言って、キッチンに行ってしまった。聖は呆然としながら、


 「これを使うのは決定事項なんだ。」


 と一人ぼやきつつ、母が自分の意思を認めてくれたのを嬉しく思いながら、明日に備えて準備するのだった。

 

 


 


 

小説って書くの難しいですね。全然下手なので、もっとうまく書けるようになりたいです

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