54
お久しぶりです。なんとなく書きあがったので更新します。
一応、これまでの流れとして、生活をより快適にするために、属性石とよばれるアイテムを錬金師に作ってもらいに、原料である属性石を採取に来ていたハヤトたち一向。出会うモンスターは気配遮断スキルを持つ強敵。最後にはローリングス〇ーンという名前のモンスターが大量に山から転がり落ちてきた。しかもその中には地竜という上位のモンスターもいた。ハヤトは魔槍と魔法を駆使して攻撃を放った。
確かこんな感じだった気がします。(おい)
大変長らくお待たせしました。ではどうぞ。
修正:常連のあるまる→集まる
報告ありがとうございました。
「相変わらずハヤトさんはすごいです!!」
「ん?そうか?」
「そうだよ!あの龍と対等に話していたかと思えば、何だよこのでたらめな魔法は!!」
カイルとイヴは興奮しながらハヤトに詰め寄ってきていた。先の魔法によって転がりくる魔物の群れを一人でねじ伏せてしまったのだからそれも仕方のないことだった。
「ほら、さっさとあいつらから剥ぎ取り終わらせてブルーローズの街で属性石作りに行くぞ」
「でもさ、あれどうやって剥ぎ取るんだ?」
凍り付いている魔物の群れを見て首をかしげるカイルとイヴ。しかしそれを見て首をかしげるハヤトとステラ。お互いに何を言っているのかわからないといった様子だ。
「どうって、こうやって」
どん!という音を立てた、撃ちこまれたハヤトの拳は天に向かってそびえていた氷の木を粉々に打ち砕き、さくさくと剥ぎ取りを始めている。それに続いてステラも同様に氷を打ち砕いていく。それを見たカイルたちは思った。
(でた、超人コンビ・・・。常人がそんなことできるかよ・・・。)
ただ見ているのも悔しかったのだろうか、カイルたちも氷の木に向かって殴ったり蹴ったりしていたが、あまりの硬さに拳や足を押さえて悶絶することになった。それを見たハヤトとステラが氷を砕いていって、砕いてもらったものをカイルたちが剥ぎ取り始めた。すっかり日が暮れてしまったが、ようやく剥ぎ取りが終わった。
「よっしゃ、帰るぞ」
「「おー・・・・」」
ハヤトの掛け声にカイルたちはゾンビの様な様子で答えた。それをみたステラは苦笑いを浮かべている。カイルたちがこうなるのも仕方のないことだろう。一日中硬い敵を相手にしていて、剥ぎ取りも力仕事だ。そして、今から街に帰るまで休むことができないのだから。ただ、最後のほうでは、カイルたちも拳で岩を砕いても拳を痛めなくなる程度に上達していた。
「召喚」
山を下りたハヤトたちは、スキルによってレイとシャディを呼び出すと馬車も呼び出し、街へと向けて駆け出した。ここでカイルたちにとって幸いだったのが、馬車での移動中寝ていていいという福音が聞こえてきたことだろう。
馬車は夜道をぐんぐん進んでいく。時間でいうなら20時位だろうか。走ること1時間と少しで街にたどり着くことができた。風龍の加護のおかげで馬車の揺れを抑えるために馬車部分を浮かせるための魔法効率が向上し、かなりの速度で走ってきたがカイルたちはぐっすり寝ているので振動はほとんどなかったのではないかと思える。街に近づくと城門で警備についている門番がいた。ギルドカードを見せることで城内へ問題なく入っていく。その日の宿を手早く決めて、一行はベッドでの休息を得たのだった。完全に余談だが、ハヤトがカイルとイヴを抱えて運んだ。2人はもう十分に成長しており、カイルに至ってはハヤト並みに身長がある。それを片手で持ち上げ、担いで階段を上がっていく姿をとんでもないものを見ているかのような様子で宿のおばちゃんが見ていた。
「おはよう、女将さん」
「ああ、あんたかい。昨日はゆっくり休めたかい?」
「ああ、よく眠れたよ。ちょっと聞きたいことあるんだけどさ、錬金師ってどこに行けば会えるかな?」
「あんたも属性石を作ってもらいに来たのかい?」
「ああ、そうなんだ。材料は集めてきたんだがどこに持っていけばいいかわからなくてな」
「それなら、はじめにマードックのところに行くといいさね」
昨日の夜、本当は飯を食べながら情報収集をする予定だったハヤトたちだったのだが、一度ベッドに腰掛けてしまうと何もする気が起きなくなってしまい、気づくとそのまま眠ってしまっていたのだった。仕方がないので朝、宿の女将に聞くことにしたのだった。そして手に入れた情報では、気にいった客にしか技術の提供をしないことで有名なナイスミドルがいるということだ。この街では彼にいろいろな冒険者を紹介しては、認めるか認められないかで競うゲームがあるらしい。各段商品があるとかそういうわけではないのだが、優秀な冒険者を見極めることができる人間であると宣伝することができるらしい。というか、単に彼女たちの暇つぶしの一環というわけなのだが。
「失礼、錬金師のマードックさんという人を訪ねてきた」
食事を手早く済ませた彼らはおかみさんの勧めに従ってマードックのもとを訪れていた。店の奥から出てきた人物を見てハヤトは顔を引きつらせた。
「おう、俺がマードックだ」
ナイスミドルと評されたその男の顔には、大きな傷が走り、目は片方潰れていた。髪は短く刈り整えられ、口元にはひげが生えていた。
893
ハヤトが思ったことはまずそれだった。かつてハヤトは本物のヤクザと会ったことがあった。別にハヤトが直接お世話になったのではない。ハヤトのバイトの先輩が怖いお兄さんたちからお金を借りていたらしく、取り立てでバイト先に押し寄せたことがあったのだ。何も知らない純粋な高校生だったハヤトはいかつい連中が店に押し寄せ、先輩を連れて行き、ぼこぼこにしている様子を見てしまったことがあったのだ。そのおかげというと可笑しい気もするが、ハヤトは決して欲しいものがあっても自分で稼いだ金しか使わなかった。金を借りる=怖いお兄さんたちがやってくるという間違った方程式が彼の頭の中に出来上がってしまっていたのだ。
ゆえに、彼は最初にマードックを見たときに驚いた。まるで、日本にいたときに見た怖いお兄さんが目の前にいきなり現れたと感じたからだ。しかし、実際に戦えば負ける気がしないということもあり、極めて平静を装いながら話すことができていた。
「初めまして、俺はハヤト、こっちは俺の仲間だ。宿の女将さんに属性石についてはあなたの所にまず行ってみろっていう話だったんで来てみたんだ」
「ほう・・・」
用件を伝えるとマードックはハヤトを値踏みするかのように見ていった。続いてステラ、カイル、イヴの順で見ていき、ひとしきり見終わったのだろう。ふうと息をついてハヤトを見た。
「俺たちは不合格か?」
「お前たち強いな・・・。特にお前は別格だな・・・。後ろの犬耳の姉ちゃんも大概だが、お前はやべえ・・・。さすがの俺もお前を相手に不合格とは言えねえな」
「それはよかった。こっちも急いでいたから新しい人を探すのは面倒だと思っていたんだ。それとな、俺は大したことないぜ?俺の全力を笑って受け切る連中がたくさんいるしな」
ハヤトの言葉を正しく解釈できたのはステラだけだった。ハヤトの本気を受けてまた戦おうと言ってくる風龍の存在や、それと同格のものたちがたくさんいるという意味だ。しかし、カイルを始め、他の人々は違うことを思った。ハヤトの攻撃を受けきれる連中って誰だ!?と思ったカイルたちに非はない。彼らは思う。ハヤトが本気になったら街の一つや二つ軽く消し飛んでしまうだろうと。そう思わずにいられないような出来事が道中連続しすぎたのだ。無理もない。
「謙遜すんな。俺が見たところ、王都の王直属軍の連中と渡り合えるくらい強いと思うぜ」
「それがどれくらい強いかわからないが、ありがとうと言っておこう。早速だが、属性石の作成依頼を受けてほしい」
「任せな、きっちり仕上げてやるよ。材料は今からとりに行くのか?すでに取ってきたのか?」
「昨日一日かけて取ってきた」
この時、マードックは思った。一日だと持ち帰れる鉱石は大したことがないだろうと。それは長年の経験則に基づくもので、通常ならばその通りなのだ。
「これなんだが」
そういって、ハヤトが取り出した鉱石はおよそマードックの想像をぶち壊すのに足る量だった。
「こんなに!?いったいどこで手に入れてきたんだ?」
「ん?山だが?」
「山!?山ってハイロック山か!?」
「よくは知らないが、ごつごつした岩がたくさんある山だったな。亀とかアルマジロみないた奴がたくさんいたところだ。最後には地竜が転がってきて驚いたもんだ」
ここにきてマードックは悟った。さっき自分が感じたものは正しかったと。ハヤトを見たときにとんでもない奴が現れたと思ったのだ。それはまさにその通りだったと言える。
「属性は、土と水と火か、状態もいいしやるな!ん・・・・?これは・・?!!」
「ああ、それがさっき言ってた地竜から剥ぎ取ったやつだな」
「これは、風の魔鋼岩じゃねえか!!おい、兄ちゃんこれ売ったらしばらく働かずに暮らしていけるぞ!!」
風の属性石は、入手が困難なこともあり希少価値が高い。過程で用いるならば利用法としては、現代のエアコンや扇風機などを思い描くとわかりやすいかもしれない。風を生み出すことが可能で、驚くことに、ある程度は噴き出す風の温度を調整することができるのだ。これは主に貴族の家に置かれることが多く、快適な生活を求める貴族がかなりの値段をつけても手に入れようとする品だ。他にも、鍛冶師たちなど炎を扱う職人たちも必要とすることが多い。火の属性石と合わせて使うことで効率よく火を起こしたり、加熱することができるからだ。
あまり知られていないが、風による遮音効果もあるので、夜のお供にも有効だという情報は蛇足だったろうか。
「しかも、何だこの大きさは!!これだけあれば作れる属性石は一つや二つじゃねえぞ!」
そういえばとハヤトは回想する。氷の木が生えた地竜の剥ぎ取りを行っている時だ、岩石の中で生成されていた魔鋼岩が今までの比ではないほど大きなものだったのだ。重たかったからさっさと図鑑に押し込んでしまったため風の属性があることを見落としていたようだ。
「まあ、とりあえず、これ全部属性石にするとなるとどれくらいかかる?」
「そうだな・・・1週間、いや2週間は欲しいところだ・・・土とか水なら5日位でできると思うんだが、風があるとなるとこれはもっと時間がかかる」
マードックの話すように、属性石を作る時の所要時間は希少度に比例し長くなる傾向がある。これは単に練度の差で、希少ゆえにそれを頻繁に錬成することがなく、どうしても他の属性石に比べ時間がかかってしまうのだ。
そこでハヤトも考え込んだ。2週間。今日ここを発ってアルストロメリアまで急げば2日といったところだろうか。もしかしたらもっと早く着くかもしれない。帰ったらセラたちを説得する必要があるとハヤトは考えていた。ハヤトの考えでは、セラとマリアはアルストロメリアに残すつもりなのだ。孤児たちは連れていくつもりだが、あの二人には危険すぎるとの判断だ。恐らくマリアは壮絶に反対してくるだろうが対策が無いわけでもない。いろいろ考えた末に、ハヤトは属性石作成の依頼をだしてブルーローズを発つことにした。本来ならば完成を待って戻るのが一般的なのだろうが、急いでいるということもあり、先払いで店を後にした。
「よろしく!」
その言葉だけを聞けば無邪気な様子に思えるかもしれない。しかし、その言葉を受け取った時のマードックの額には玉のような汗が浮かんでいた。取りに来たときに知らぬ存ぜぬを決め込まれることだってこの世界では当たり前のようにある。しかし、そんなことをしたのならばどうなるか、易々と想像させてしまうような笑顔だった。
余談だが、ハヤトたちに依頼を受けたその夜、常連が集まる酒場でマードックは語ったそうだ。初めて自分より恐ろしい奴を見たと。人伝いに聞いたハヤトがずっこけたそうだ。
お読みいただきありがとうございます。
ざっくりとしか読み返していないのでもしかした内容に矛盾点があるかもしれません。まだ執筆リハビリ中なので生暖かく見守っていただければ幸いです。
今後とも稚拙で遅執な作者の作品ですがどうぞよろしくお願いします。




