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遅くなって申し訳なかったです。結局クリスマスの時書けなかった・・・。それだけが心残りです。昨日ようやく今年最後のバイト終えてきました。
では、どうぞ
誤字修正しました。報告ありがとうございました。
これは、きっと夢なのだろう。何度か覚えがある。夢だとわかっているのに目覚められないこの感じ。それにしても俺は今どこにいるのだろうか。
あれ?俺は一体何をしていたんだろう?
あ、そうだ。ドラゴンと戦ったんだ。あんなでかいやつと戦ったんだ。まるでお伽話に出てくる勇者みたいだったな俺・・・。そうだ。俺は今日本にはいない。異世界に来ているんだ。そういえば、あいつまた戦おうとか言ってたっけ。勘弁してほしいな・・・。俺はまだまだ弱いんだな・・・。
異世界に来てからいろいろあったな。俺はいったい何がしたいのだろう?今まで何も考えず流れ流され生きてきた。そしてこれからも・・・?このままでいいのだろうか・・・?わからない。何もわからない・・・・。
あ、そろそろ目覚めのときか。説明はできないがそう直感した。夢の中はふわふわと浮いた良いような心地で気持ちいいがそろそろ起きないとな・・・。
目を覚ますと、そこには見慣れた人たちが心配そうにのぞきこんでいる顔があった。
「おはよう」
何気ない、いつもの朝の会話の様に切りだした。
「兄さん!!!!」「ハヤト!!」「ハヤト様!!!」
順にステラ、アリス、セラだ。まだだるさの残る体を起こし、みんなを見やる。そしてあの後一体どうなったのか説明を受けた。どうやら、俺をここまで運んでくれたのはステラのようだ。あの6種混合魔法を発動させた後、引き返してきたとのこと。倒れている俺を必死に呼びかけ、その時俺は意識を取り戻したらしい。
まったく記憶にない。
さらに、俺は起き上がり、風龍の角を図鑑にしまったそうだ。
これっぽっちも記憶にない。
だが、確認したら図鑑に角が確かにあったからステラがウソを言っているわけではないようだ。その後、また意識を失った俺を支えながら街まで戻ってきたらしい。そしてそれから3日俺は寝続けていたと。
「なるほど・・・。まあとりあえずもう危険はないだろうから安心していいと思うぞ」
「本当に終わったの・・・・?」
「ああ、とりあえずはだがな。満足して帰っていったよ・・・」
アリスが心配げに聞いてきたので、大きく頷いてやる。そして、今気づいたが部屋の隅の方でマリアがいた。彼女も看病していてくれたのだろか。なんだか申し訳なくなるな。
「さて、早く出発しなきゃな」
「え??」
アリスがなぜか驚いているが、普通に考えてそうなるだろう。もともとアルストロメリアに向けての道中だったのだ。
「体にも異常はないし、早くアルストロメリアに戻らないととんでもないことになる気がするんだよ」
「なによそれ」
「わからない。だが、これ以上遅くなると危険な気がするんだ・・・」
第六感が告げている。急いで帰れと。こうした予感は大事にしなければならないと思っている。ベッドから起きて、うんと伸びをする。
「ハヤトさん!!」
「ん?」
「あ、あの・・・!」
マリアが顔を真っ赤に、もじもじしながらこちらを見ている。風邪か?そんなあほなことを考えていたことは内緒だ。
「どうした?」
「私も連れて行ってください!!」
「・・・えっす?」
んーと、状況を整理してみると、何故かマリアが俺たちに同行したいと言い出した。
Why???
もう一度考えてみよう。マリアさんがついてきたいといっている。
えっす?
「前に、この街が嫌なら連れて行ってくれるといったじゃないですか!!」
「・・・・ああ」
「あなたに救っていただいたこの命、どれだけ時間がかかってもこの恩を返したいんです!」
言ったな、そんなこと。でも、あれは恋人に捨てられてこの街に居づらいなら違う街にまで連れて行くって意味だったんだけども・・・。恩とか、別に気にしなくていいのになあ・・・。
「いや、大したことしたなっていう自覚はあるけど、気にしなくていい。何とかなったわけだし」
「いえ、そういうわけにはいきません!もうギルドに退職届も出してきましたし」
Oh, my god….
行動が早すぎるぜ御嬢さん。ま、いっか。なんか考えるのめんどくさくなったし。なるようになるか。もう知らん。それより、早く帰らないと!頭の中はそれでいっぱいだ。なんだろう、この危機感は・・・・。嫌な予感しかしない・・・。
「んー、まあいいや。好きにしな」
「はい!!」
今まで見たことなかった最高の笑顔で返事してきた。こんな明るい人だったんだな。暗いイメージしかなかったからこのギャップは好印象だ。
さて、そんなこんなで俺たちはバタバタとミスリムを出発した。出会う人々皆から感謝されたり、いい意味でからまれて大変だったからだ。大事にされるのは面倒だから御免こうむる。特に、この街の貴族とかがいちゃもん付けてきたりしたらもうめんどくさくて死んじゃう。俺は一刻も早くアルストロメリアに帰らなければならないのだ。ただ、俺たちはすぐに出発を決めたが、アリスたちはこの後の始末を手伝ってからアルストロメリアに戻ってくるそうだ。騒ぎの収束を聞きつけ、早くも街に戻ってき始めている住人もいるそうだ。
ハヤトは大事になることを嫌がっていたが、人々の口に蓋をすることはできないものだ。この龍撃退の話は広く広まっていくことになり、ハヤトの名前は本人の知らぬところで広まっていくのだった。そのことが今後彼らを事件に巻き込んでいく引き金になることを本人たちが知るのはまだ少し先のお話。
さて、話は変わって道中の出来事だ。一言でいうと、俺はマリアを連れてきたことを後悔した。なぜか、それはステラが般若と化し始めたからだ。こんなことを言われても露ほども伝わらないだろう。事の発端はマリアにある。同行を望んだマリアが俺に大胆にアプローチをかけてきたのだ。食事のときとか距離がなぜか異常に近いし、移動中仮眠を取っていて目を覚ませばいつの間にか膝枕していたり、見張りのための寝ずの番をしているとき、一緒だと常に肩が触れるような至近距離にいたし。そんなマリアの様子を見て、ステラが徐々に苛立ち始めたのだ。
俺も身に覚えがある。仲の良い自分たちのグループに誰か新しい人が入ってきたときの気まずさ、そしてそいつがどんどん自分の友達と打ち解けていくことへの焦燥感。そんな感じなのではないだろうか。まあ、俺としてはかなりの美人であるマリアが、明らかな好意を示してきてくれることに悪い気はしないのだが、ステラの機嫌が日に日に悪くなるのは放ってはおけない。リアルに、背後に般若が見える・・・。あれは、進化したら阿修羅とかになりそう。早めに手を打たなければ。
「なあ、マリア」
「なんですか?ハヤトさん?」
「前々から思っているんだが距離近すぎないか?」
「そうですか?普通だと思いますよ?そんなことより、あーん」
あーんじゃねえよ、あーんじゃ。うれしくない訳ではないが、ほら、ステラが爆発寸前じゃないか!
「一人で食えるから大丈夫だ。それよりステラ」
「はい!?」
背後に般若を出してマリアをにらんでいたステラがいきなり声をかけられ変な声を出した。
「この後の見張り先に頼んでもいいか?」
「あ、はい。大丈夫ですよ」
「それと、マリアも先に頼む」
「え!?」
え!?じゃないよ、え!?じゃ。お前が俺と一緒だとステラがイラつくだろ。俺は俺であんまり寝てないから順番的に今回は後半だが、マリアはさっき寝ていたわけだし、前半だろうが問題ないだろう。
「さあ、セラ。俺らは後半の見張りをするとして、先に休ませてもらおうな」
「えっと、はい!」
ちなみにセラだが、俺が目覚め、出発してから2週間ほどたって、今中学生くらいまで成長してきている。だいぶ大人びて来ているがまだまだ幼さが残っている。知力に関しては少しずつだが大人びた考え方になってきていると思う。特にマリアと行動を共にしてからはいろいろな知識を身に着けてきているようだ。
危険から逃げるようにセラと馬車に逃げ込む。最近の癒しはセラだけである。ステラとマリアは大きな騒ぎにはならないが、ばちばちと火花を散らしているようで、周りにいる俺の気が滅入ってしまう。
そしてこれは馬車で寝るまでのちょっとした雑談だ。余談だが、馬車の中は、最高級の布団に、ブラッディ―タイガーの毛皮を加工して毛布を作成してある。もふもふしてて気持ちいいのだ。
「なあ、セラ。なんであの二人はあんなに仲が悪いんだろうな」
「えっと、お二人ともハヤト様のことが好きだからじゃないですか?」
「・・・・・・・えっす?」
セラから返ってきた答えは想像もしなかったものだった。
「だって、ステラさんとあんなに仲がいいし、マリアさんはマリアさんでとても積極的にアピールしてるじゃないですか」
んー、マリアは、あれだけ露骨にアピールしてくるからなんとなく気づいていたけども、ステラは気のせいだろう。だって、俺たちは兄妹なわけだし。まあ確かに血がつながった本当の兄妹ではないけれども。
「ま、いっか」
時間が解決してくれるだろう。マリアはマリアで危機的状況が重なりそれを救った俺に対する感謝を恋とかと勘違いしていて、ステラも似た感じなのではないか、そんないい加減なことを考えつつ、セラと少しだけ談笑し意識を手放した。
そしてこれはハヤトたちが馬車に戻ってから、ステラたちが話した会話である。この時の会話はハヤトたちも知らないことである。ここで、ハヤトをめぐる水面下での女の戦いが行われていた。
「マリアさん、一体どういうつもりですか・・・?」
「どうって?」
「兄さんにべたべたしすぎです」
「あら、そうかしら?」
分り切っている癖に、シラを切るマリアの態度にステラがどんどんといらだちを強めていく。
「とぼけないでください!」
「そうね、まあはっきりさせておくのもいいかもしれないわね・・・。私はね、彼のことが好きなの」
「!?」
マリアの返答に驚愕の表情を浮かべるステラ。
「何を驚いているのよ。少ししか見ていないけど、アリスを圧倒する力、あんな強力な魔法を使えて、しかも龍すらも退ける力を持っているのよ?彼が魔法で開けた大穴を見たけど、もうその辺の人と比べることもできないくらいすごいじゃない。しかも、そんな力を持っているにもかかわらず、何も見返りを求めず、私たちを救ってくれた・・・。私も将来を考えていた人がいたけど、結局口だけの男だった。それに比べて、彼は違う。優しさだけでなく、確かな力もある。そしてそれに溺れない高潔な精神もある。これで惚れない訳ないじゃない」
「で、でも、いきなりこんな!」
狼狽するステラに対して、ふふんとどこか余裕を見せながらマリアはさらに続ける。
「愛する人を振り向かせたいと思ったら行動しなきゃね。ただでさえ、私はあなたと違って出会ってからの時間が短いわけだし。・・・でもね、妹として蚊帳の外にいるあなたにいくらにらまれたところで、私は怯まないわよ」
「!!」
「あなたのそれは自分だけを大切にしてくれていた兄を奪われることへの妹としての恐れ?それとも好きな男に手を出そうとする女への女としての怒り?」
これは、ステラ自体自分の気持ちに整理がつかずに困っていたので返答できなかった。なぜ、こんなにイライラするのか、その原因もわからず更に苛立ちが募っていたのだ。
「それは・・・」
「自分の気持ちに整理もつかない状態では話にならないわね」
「・・・・・・・」
「一応言っておくけどね、私は彼が求めてきたら、この身体をささげてもいいと思っているわ」
「・・・・!!!?」
マリアの覚悟に押し黙るステラだった。
そこからは、ハヤトたちが起きてくるまで、一言も会話がなかった。2人とも黙ったままだ。しかし、その表情は対照的であった。マリアの言葉が深く突き刺さったのか、ステラの表情はかなり暗い。一方のマリアは自分の気持ちをあえて口にすることで、どこか勝ち誇っているような様子も見て取れる。本人は認めないだろうが、ステラとハヤトの間にある確固たる絆に対するせめてもの抵抗なのだが。マリアの必死のアプローチもいまだ、ハヤトの気持ちを傾けさせるには至っていないのだから。
そして、まだ空は暗いが、交代の時間を少し過ぎたくらいで起きたハヤトとセラが馬車から出てきた。
「悪い、寝すぎた・・・!!」
「いえ、大丈夫ですよ」
「じゃあ兄さん、そろそろ休ませてもらいますね」
「ああ、飯ができたら一応声かけるから、そのつもりでな」
2人がハヤトに声をかけ、馬車に戻っていく。その途中ステラが小さな声でマリアに言った。
「これからは私もあなたと同じ土俵に上がるわ。このまま指をくわえて見ているつもりはないから」
どうやら、マリアは寝ていた虎を起こしてしまったようだ。これから起こるであろう、ハヤト争奪戦は激化の様相を見せていた。しかし、そんなことを全く知らない本人は、呑気にセラと今日の献立を話ながら見張りをしているのだった。
お読みいただきありがとうございました。
というわけでステラとマリアが恋のライバルということで今後進みます。ハーレム路線に行く可能性があります。次話でようやくアルストロメリアに戻ります。突然すぎる展開になっている気がしますが、今後も作者の気まぐれにお付き合いいただければ幸いです。
もしかしたら今日は連続投稿になるかもです。
では、また




