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城門を出たのが、だいたい昼位。時間の間隔が日本と同じかはわからないが、日が傾いてきてないから、多分昼位だ。城門の外は荷馬車用の道がひたすら続いていて、その道から外れると草原が広がっている。
城門からおよそ10分くらい歩いたところで草原をぴょんぴょんと跳ねる物体を発見した。真っ白な毛に真っ赤な目をした、これぞウサギ!って感じのモンスターがいた。あっちも俺に気付いたようで、勢いよくこっちに向かって跳ねてくる。体長およそ50㎝~60㎝ほどのため、文字通り俺の足元にも及ばないといった感じだ。所詮ウサギだと舐めていた。余裕かましていた俺の腹にウサギのタックルが命中。
「かはっ」
変な声が出てしまった。舐めていたよウサギめ。ずきずきと痛む腹を押さえながらギルドで支給された、ナイフを構える。ウサギはまたぴょんぴょんと跳ねながら突撃してくる。さすがにしっかり身構えていれば反応できる速さだ。タックルを躱し、ナイフで切り付ける。手ごたえあったと思ったが思ったほど傷は深くないようだ。しっかり刺しでもしない限り効果は薄いのだろうか。仕方ないのでまずは動きを止めることにする。
再び襲いかかってくるウサギを躱し、着地して方向を変えて向き直るウサギの脇腹に当たるところを思い切り蹴り上げる。衝撃でウサギが後方に飛ぶ。それをさらに追いかけて蹴りつける。何度か蹴ったころようやく動きが鈍った。その隙にナイフを体に突き立てる。血が勢いよく噴出したが気にしない。転生物の小説だと初めての殺生で落ち込んだり精神的なダメージを受けるといった描写があったが、俺は別に気にならなかった。
昔学校の授業の一環で鶏をペットとして飼っていた。小さな雛からクラスのみんなで育てたのだ。その鶏だが、俺たちが卒業するにあたってもともと卒業する時にみんあで食べるという取り決めで買い始めたのだが、育てているうちに愛着というものがわくのは仕方がないことで、クラスの半数近くが反対したのだが、今後育てるのを下の学年に押し付けることになること、もとより決めていたことっていうことから、最後はみんなで鶏を食べることになった。命あるものは生きるために他の命をもらって生きている。その時はひどいと思っていたものの、今ではその考え方を理解できるようになった。もちろんこの考えが唯一正しいものだとは思っていないが、ウサギを殺すことも生きていくために必要なことなのだと割り切れた。
生きていくために必要なことなのだと割り切れた。腹を捌くと体内に赤く輝く石のようなものを見つけた。恐らくこれが核石というやつだろう。
俺はすぐに『図鑑』を念じてみた。すると手にポンと本の様なものが出現する。これこそがチートその1だ。本を開くと、付箋でページがわかれており、モンスター(核石)図鑑とアイテムボックス(モンスター)とアイテムボックス(その他)となっている。図鑑の核石のページを開きつつ手に入れたばかりの核石を押し当てるようにしてみた。正直登録の仕方がわからなかったのだが、核石は図鑑に吸い込まれるように消えていった。その代わりに図鑑の1ページにはスモールラビットの情報が書き込まれていた。モンスター名、狩猟回数、規定数などだ。核石が吸い込まれたとき、頭の中でよく効いたファンファーレがなって文章が頭に浮かんできた。
スモールラビットを図鑑に登録しました。初回登録報酬でスキルポイントを10手に入れました。
だそうだ。恐らく規定数というのは核石をこれから吸わせていってその数に達したらまたスキルポイントがもらえるのだろう。核石以外の肉と毛皮の部分をそのまま図鑑に押し当てると、図鑑に吸い込まれていく。そして、モンスター素材の様のページに、スモールラビット×1と書き込まれた。ページの上に1/1となっているので恐らく今のレベルだと一種類しか図鑑にしまっておけないのだろう。その日は、日が暮れるまでウサギ狩りをしていった。驚くことに倒しても倒しても湧いてくるのだ。あまり詳しく言うと動物保護団体とかあったら苦情が来そうな感じがするのだが、襲いかかってくるウサギを蹴って蹴って蹴って、片っ端から蹴り倒していき、とどめを刺す。そのあとは核石を取って図鑑にしまっていく。その繰り返しだった。途中で、4匹くらいのウサギが同時に襲ってきて体のあちこちにタックルを食らって悶えたということは内緒にしておきたい。だが、レベルが上がるにつれて、ウサギのタックルの痛みが減っていき、動きを止めるために蹴る回数も減っていった。
今日の成果としてはスモールラビット20匹だ。レベルも2上がって現在3レベルだ。レベルアップとスモールラビットの核石の規定数を超えたため、レベルアップで20、規定数10の時に2、20の時に2もらって現在所有スキルポイントは34である。これの振り分けはギルドに報告してからでいいだろう。今から何を取ろうかわくわくだ。
ギルドに着くと、ギルドカードの提示を求められた。どうやらギルドカードにはモンスターの討伐数が記録されていくらしく、それをもとに報酬を支払うそうだ。この機能を利用してパーティーで狩りをしている人たちは報酬を決めたりしているのだとか。スモールラビット20匹分で銅貨20枚を受け取り、軽く挨拶してからギルドを後にした。ギルドを出てすぐに向かったのはもちろん宿屋だ。メルさんに紹介してもらった初心者向けの宿屋《満腹亭》一泊銅貨5枚で朝晩の二回飯付きだ。満腹亭はギルドのすぐ近くにあるのですぐに見つけることができた。
「すみません、1泊お願いしたいんですけど」
そういうと宿屋のカウンターにいたおばさんが対応してくれた。
「いらっしゃい、一泊で銅貨5枚だよ。ご飯はどうする?今だとすぐ準備できるよ」
「ではお願いします」
そういって銅貨を二枚渡し、部屋のカギを受け取り、食堂に行った。名前に違わず飯の量はかなりのものだった。スモールラビットの肉を焼いたものとパンだった。パンはおかわり自由だが、ぱっさぱさで硬いパンだった。3つほど食べたおかげでお腹はかなり膨れたが、味は今一つ。恐らく香辛料や添加物をたっぷり使った料理ばかり食べていたからだろう。そして何より、パンが固い。日本人好みのモチモチとした触感が懐かしい。そんなせいか、どうしても何か物足りない感じがしてしまう。料理スキルを究めて将来は自分で料理をしようと思ったのはこの時だった。腹いっぱい飯を堪能した俺は部屋に行きベッドに倒れこんだ。
ふぅと息をつき、すぐにスキルポイントの分配を行うことにする。頭の中でステータスを開き、続けてステータス操作を念じると、所有スキルポイントとスキル名がずらっと出てきた。ぽつぽつ見ていくと、剣や槍、弓といった武器に関するものから、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法といった魔法に関するもの、あとは鑑定、探知といった見覚えのあるスキルもあった。とりあえず探知と鑑定を取ることにした。それぞれ取得に必要なポイントは2ずつ。残りは30で、さっき決めていたように料理スキルを上げることにした。
料理スキルLv1 → Lv2 消費ポイント4
料理スキルLv2 → Lv3 消費ポイント6
料理スキルLv3 → Lv4 消費ポイント8
とりあえずLv4まで上げてみた。人間やはりうまい飯を食いたいじゃない。ついでに剣もLv3に。残りポイントが4余ったので、そしてほかにいい感じのスキルを探していくと、生活魔法というのを見つけた。内容は火と水の簡易魔法を使えるようになるらしい。木材を燃やしたり、1L位の水を出したりできるらしい。それも必要なポイントは2なので取得する。2ポイント残っているが、頭がうまく働かない。
現在のステータス
名前 オオカワ ハヤト
レベル 3
種族 人間
HP 500→700
MP 100→140
力 20→40
防御 30→40
知力 50→60
俊敏 30→40
スキルポイント 2
固有スキル ステータス操作 図鑑
スキル 剣Lv3 料理Lv4 鑑定Lv1 探知Lv1 生活魔法Lv1
と確認したところで俺はすぐに意識を手放した。
ちゅんちゅんちゅんと鳥の鳴き声で目覚める。
「知らない天井だ」
お約束のセリフ?知ったこっちゃない。だって本当に知らない天井なんだもの。目が覚めてカウンターに行くと昨日のおばさんがいた。この宿のおかみさんなのかもしれない。挨拶をすると朝飯を勧められたのでありがたくいただいた。うーん、やはり今一つ。まあ出されたものは残さず平らげたが。食い物を粗末にするやつはきっと罰が当たる。食材への感謝を忘れずいただきました。
今日も同じように、ギルドに顔を出して、ウサギ狩りの依頼を受けた。ついでに借金の銅貨10枚を払って完済しておいた。おかげで手持ちは銅貨5枚で500テイル。借金とか心苦しくてだめだ。ぎりぎり今日の分の宿代はあるのだが、またウサギ狩りをしてお金を貯めておかないと財布がさみしい。
朝方から昼過ぎまでウサギ狩りをしたところでいったん休憩することにする。やはり、昨日のレベル1の状態よりも早く狩れている。昨日上げた剣のスキルも影響しているのだろうか。
ここまでの収穫としてウサギ15匹。次のウサギの規定数は40なので今日中にまたスキルポイントがもらえるだろう。城門近くまで戻ってきて、ウサギ肉を焼いて食べることにした。戻りながら集めた枝などを生活魔法のファイアを使って火をだして燃やしていく。ある程度安定してきたところで、図鑑の中にしまっているウサギ肉を1匹取り出す。皮を剥いで、ナイフに突き刺すようにして火でよく炙っていく。20分ほどでウサギの丸焼きが完成した。初めて作ったにしてはかなりうまそうだ。外はカリカリで一噛みすれば、肉汁が溢れてきていて、ただ焼いただけなのに信じられない位美味かった。軽く意識飛ぶくらい。満腹亭の飯などもう食えなくなってしまうと感じるレベルで美味かった。料理スキルLv4恐るべし。これLv5とかなったらどうなるんだ?そして、料理だと味ですぐわかるが、剣とかのスキルをLv5まで上げたら・・・?俺無敵になれるんじゃないか?
本人は知らないがだいたいのスキルがLv1だと見習いレベル、Lv2で一人前、Lv3でプロ並み、Lv4で達人、Lv5で神レベルで扱われている。
ノンストップで一匹を平らげて、もう一匹を焼いていく。正直いくらでも食えてしまいそうだなと思いつつ、こんがり焼けて行く肉を感謝しながら食べて行くのだった。
勢いで書き上げました。スキルやステータスの値など今後誤差がでた場合順次編集していきます。




