20
さて、今俺が何をしているかというと、先ほどまで戦闘を繰り広げていた森を抜けて、しばらく行ったところにある大きめの川の近くで休んでいる。
さらに言えば、そこで飯を作っています。手によりをかけて、Lv4の実力を余すところなく発揮して。本日のメニューは蟻の肉と蛇肉のステーキ、そして土竜肉と野菜のスープだ。
亜人族の人たちは基本的に肉が大好物らしく、結構な量を求められた。
スープを作っているのは俺とアリスのためというのが強い。
蟻の肉は比較的柔らかく、鶏肉の様な感じで、蛇肉はロングヴァイパーという魔物から剥ぎ取ったもので、これまで食べたことがなかったので何とも形容しがたい感じではあったのだが、俺のスキルにかかれば、絶品になるので気にしない。
ただ焼いただけでは味気ないと思い、出発前に購入してきておいた醤油と、道中に狩った蜂の魔物、リトルビーの体内に溜めこまれていた蜂蜜を使ってソースを作った。ちょっと甘めだが、口直しにはちょうどいいように感じた。
スープに関しては、味噌をベースに味を整え、豚汁をイメージして作ってみた。土竜の魔物であるア―スモールの肉なのだが、こちらも何ともぷにぷにとした食感と淡白な味だった。まあおいしいからいいんだけども。こちらは野菜を多めに入れて煮込んで作り上げた。
「お待たせー。シェフ特製ステーキとスープだ。結構作ったから好きなだけ食ってくれ」
みんな会話することも忘れて、勢いよく食べ続けている。作った本人である俺ですら、時を忘れる勢いで食べた。
「ふぅ」
食後に、ほっと息をつく。みんな満足そうな顔で談笑している。俺は使い終わった木製の食器などを川に洗いに行った。それをステラも手伝ってくれる。
「ごちそうさまでした兄さん」
「ステラは今日頑張ってくれたからな、そのお礼みたいなものだ」
「そんな、兄さんが弱らせたところにとどめを刺していただけですよ」
「ははは」
そう、今日の蟻との戦闘後ステラはかなり頑張ってくれたのだ。というか、頑張ってもらった。俺が倒した魔物はあちらのものになってしまうので、俺が弱らせ、ステラがとどめを刺すということを繰り返したのだ。これなら、こちらの取り分も増えるだろ?まあ、そのことで少しアリスともめたが、約束には違反していないので俺が勝った。おかげで今、素材がウハウハな状態だ。すべて図鑑に収まっているのだが、さすがに図鑑のことをアリスたちに隠し通すことができなかったので、とある伝手から手に入れた魔法鞄と説明しておいた。
この世界には、普通にそのような鞄が存在しているようなので納得してもらえた。
手早く洗い物を終わらせて、馬車のところに戻る。
「「「ごちそうさま(でした)、ハヤト(さん)」」」
「お粗末様でした」
と口々にお礼を言われた。うん、さすがLv4だよな、俺もかなり満足している。
「今日はこのままここで夜を明かすわ」
「了解」
「見張りなんだけど二人一組で交代しながらやっていきましょう」
ということになった。アリスの配慮で俺とステラは一番安全な朝方の方の当番になった。でもまあ火の近くが一番安全ということもあり、みんな日の近くで思い思いにくつろいでいる。しばらくすると、疲れと満腹感から眠気に襲われた様子のステラが俺の方に傾いてきた。
「おいで」
そう声をかけて、胡坐で座っていた俺の膝を貸してやる。申し訳なさそうな顔していたが眠気に勝てず現在ステラは俺の膝で眠っている。
んー膝枕はするよりしてもらいたいものだ、なんて考えつつ、今日手に入れたスキルポイントを振り分けて、スキルを入手していく。
ちなみに今回新規で獲得したのは、身体強化からの派生で取得できる剛力スキルと俊足スキル、威圧スキルだ。剛力と俊足は文字通り力と俊敏に大幅な上方修正をかけるものだ。
威圧スキルは相手を少しの間行動不能にするものらしい。効果は確率によって変動するが、基本的に自分より弱いものに対しては確実に発動し、自分よりも強い魔物だと運がよければかかるみたいだ。威圧で述べた効果は魔物に対するものがメインではあるが、対人効果もあるらしい。対象を選ぶことが可能なので、面倒なやつに絡まれたときに便利そうだ。亜人差別とかうるさいやつがいたら使うとしよう。
剛力、俊足はともにLv4まで上げて消費ポイントは合計40、威圧はLv5まで上げておいて30ポイント
そして、強化したスキルが魔力操作とMP回復速度上昇のスキルだ。魔力操作はLv1からLv5に、MP回復速度上昇はLv1からLv4にレベルを上げた。
新規獲得の方で70ポイント、強化の方で48、合計118、差し引いて残りが6ポイント。残りの奴はステータスにそれぞれ振っておいた。
名前 オオカワ ハヤト
レベル 21
種族 人族
HP 2500 (+3)
MP 500 (+3)
力 220 (+3)
防御 130 (+3)
知力 140 (+3)
俊敏 130 (+3)
スキルポイント 0
固有スキル ステータス操作 図鑑
スキル 剣Lv4 料理Lv4 鑑定Lv3 探知Lv4 生活魔法Lv2 槍Lv4 重量操作Lv2 回復魔法Lv5 身体強化Lv4(→剛力Lv4,俊足Lv4) MP回復速度上昇Lv4 魔力操作Lv5 魔力消費減Lv4 威圧Lv5
とまあこんな感じになった。膝の上のステラの頭を撫でながら、魔力操作のスキルについて思考する。もっぱら、今日のアリスの戦い方を反芻していく。
あいつの戦い方を思い出す。
まず、魔力を足へ溜めて爆発させるように消費させることであのとんでもない加速を生み出していた。また、武器に魔力を通して、インパクトの瞬間、相手に触れる部分で魔力を爆発させることによってその威力を上げているようだった。そのころはこのスキルはLv1だったが、相手の魔力の動きが少しなら感じることができたので、アリスを見ていると、拙いスキルながら、足や武器にかなりの量の魔力を感じた。もしこれがほんの少しの魔力ならば感じることはできなかったのかもしれないなと思う。
最初の見張りが魔力の流れを見たり、感じたりできそうなアリスと魔法使いのアマンダさんたちなので、彼女たちがいない今のうちに、魔力を足へ、腕の先へ、体中の至る所へ纏い、溜めまた霧散させる練習を行う。
そんなことをしばらく繰り返していった。初めはスキルレベルが高くてもゆっくりだったが、慣れてしまえば簡単にできるようになっていった。俺の見張りの番の時にでも、溜めた魔力を爆発させるようにして加速できるか試してみることにしよう。
おっとそろそろアリスたちが戻ってくる頃だろうし、練習は一時中断することにしよう。すやすやと気持ちよさそうに寝ているステラを見ていたら俺も眠くなってきた。少しだけ仮眠をとることにした。ステラを膝に乗せたまま横になった。
「兄さん、起きてください」
声をかけられて目が覚めると、さっきまで膝で寝ていたステラが俺の体を揺すってきていた。まだ空が白んで来始めたかといった感じで、激しく二度寝したい気持ちがまぶたにのしかかってくるが、何とかそれに打ち勝って体を起こす。
「おはよう」
立ち上がってうんと伸びをすると固まった体が少しほぐれてくる。周りを見渡すと先に見張り番をしてくれていたアリスたちが寝ていて、ちょうど起きたころに二番目の見張り番をしてくれていたリンダさんたちが戻ってきた。
2人に労いの言葉をかけて、ステラとともに見張りに着く。
今回は、背に川を背負っている状態なので、片側だけの警戒で済む。水生の魔物もこの世界にはいることにはいるそうだが、この川にはいないらしい。馬車を中心にある程度距離を取って、警戒を始める。みんな寝ていることをいいことに、さっそく魔力操作を練習し始める。体の末端に魔力を溜めてそれを体の中をめぐるように移動させる。
ちなみに、魔力というのは大気に溢れている魔素を取り込んで自身の力とするエネルギーのことで、MPとは異なる。MPはもともと自分の体内にあるエネルギーで魔力は外からエネルギーを吸収して使う感じだ。
ちなみにこれに気付いたのは、魔力操作をしているときにMPが減っていなかったことによる。
操作に慣れてきたところで、次の実験に移る。足に魔力を溜める。初めてだから少なめの魔力を内側から爆発させるイメージで外側へ放出するに合わせて前に駆ける。ぐんっと体が前に加速したのを感じた。使えるなこれ、なんて分析して見た。思い切り転びながら。めっちゃ恥ずかしい。誰も見てなくて本当に助かった。穴があったら埋まりたい。また転ぶのは嫌なので少しずつ爆発させる魔力の量を増やして実験を進める。
しばらく練習してみた結果、この技術は、要修練ということが分かった。加速して動けるのだが、どのくらいの魔力を破裂させればどこまで加速で進めるのかを掴むのは時間がかかりそうだ。
加速の練習はとりあえずいったん止めて、攻撃への転用の練習を開始する。槍の中に魔力を通すイメージで魔力を通わせる。これで、耐久性などの面でも強化されるのだろうか?その辺は今後少しずつ実験していく必要があるな。そして、攻撃の練習だ。槍の先に魔力を集める。その状態で槍を地面に突き立てる。そして、魔力を炸裂させると槍を中心に軽く土が吹き飛び穴が開く。こちらはすぐにでも実戦投入可能のようだ。ただアリスの攻撃だと、インパクトの瞬間に炸裂していた感じなんだが、俺だと内部を抉りながら炸裂していく印象を受ける。相手が土だからそうなのか、魔物を相手にすると違うのかな。単に打撃武器と刺突武器だと異なるということも考えられるな。これは魔物との戦闘で確認してみることにしよう。
思いつくままに練習を行いながら、もちろん警戒だって怠らない。まあかなり見晴らしがいいので魔物や人が近づいてきたらもろ見えの状態だからそこまで危険はない気がするんだが。周りを見渡してみると、加速と槍での攻撃練習のせいで地面の至る所に穴が開いてしまっている。さすがにこれはやらかした感があったが、見張りもそろそろ終わりにしていい頃合いだし、気にしないことにしよう。うん、気にしたら負けさ!
お、そろそろ終わりかと思って馬車の方を見るとステラが手を振っている。どうやら終わりのようだ。
さて、戻ろうか。
お読みいただきありがとうございました。
勢い執筆です。構成など変なところあるかもしれませんがご容赦ください。
スキルに関してもしかしたら変更するかもしれません。
評価いただけますと今後の励みになります!
なるべく早く次話投稿できるようにします!
今後ともよろしくお願いします!




