表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ライフ  作者: Peach
第一章
17/55

17

最近ではバイト先にただいまといえるくらいに通い詰めている作者です。課題とバイトの合間の時間で現実逃避で書き上げました。



 今日の天気は雨。この世界に来て今までずっと天気が良かったため、曇りの日も確かにあったのだが、初めての悪天候だ。街を出て少ししてから降り始めやがった。

 何はともあれ、鎧熊の素材を使った装備が出来上がり、その試運転というか、試験というか、慣らしのために俺たちはまたあの森に来ている。前回来たときは、スモールディアの討伐に成功してすぐに、初心者殺しとして広く認知されているアーマードベアに襲われたのだが、幸運にも強敵を打破し生還することができたのだった。


 はたして、今回は特に何事もなくことが進んでいる。この依頼では、俺の装備は槍でステラは新規購入した鋼鉄の剣を装備している。この槍もステラの鋼鉄の剣と同じで鋼鉄の名を持つ鋼鉄の槍である。初めこの槍を買った時はあまりの重さにまともに構えることもままならない状態だったのを、スキルを習得することで無理矢理使用可能にしていたのだが、鎧熊との戦闘を経て、俺のレベルが向上したため、今では重さを気にすることなく振り回すことができるようになった。今回受けた依頼はスモールディアのオスの討伐なのだが、なかなか出会えず森を散策しているうちに、メスのスモールディアを3匹討伐に成功している。朝方はやめに出発していたこともあり、夕暮れまではまだまだ時間に余裕もあるので、焦らず散策を続けている最中だ。


 雨が降っていたために少し困ったことがあった。昼食だ。いつもなら火を起こして食事を作っていたのだが、生憎の雨のために火を起こすにしても場所を選ばなければすぐに消えてしまう。そのために、ご飯は抜きにしてなるべく早く討伐目標を探し出して、狩るということにした。洞窟でもあれば入口のところででも火を起こせそうだなと思いもしたが、下手に魔物の巣でも突いてしまった日には、いつかの二の舞になってしまいかねないので自重することにした。


 ステラが空腹で倒れてしまう前にさっさと終わらせて街に帰ることにしよう。あと傘があるわけではないので全身ずぶぬれになってしまっている。これは撥水性に長けた外套もしくはマントのようなものを購入しなければならないな。雨で体が冷えてしまっては体調を崩しかねない。行き当たりばったりの行動を反省しなければならないな。常に先の先を考えて備えておかなければならないということだ。


 いろんな反省点を頭でまとめつつ、しばらく散策すると街を出発して3時間、行の時間を考慮すると、森に入って2時間経った頃にようやく獲物を発見した。

 頭に生えた立派な角が特徴のスモールディアのオス。毎回のように思うのだが、スモールじゃないと思うんだ。メスもそうだが、オスだと日本にいたころに見たことあるような普通の鹿の1.5倍か2倍近いように見える。まあそこまではっきり見たこともないんだけどね。

 スモールディアのメスとの戦闘の時から試していた戦闘をオスでもそのまま採用して闘う。この戦い方は、この一週間弱の間でスモールラビットを相手にいろいろとスキルの使い方や戦い方を研究した結果生み出したもので、ついさっきメスとの戦闘で改良を加えたものだ。

 初めにステラが先行して相手のタゲを取ってもらう。ステラが敵のタックルを盾で抑え、躱し際に敵の足を剣で薙ぎ払い、動きを鈍くさせる。俺はその間にスキルを発動させる。常に移動の時は槍は重さが感じないレベルまで軽くしているのだが、それに追加して、自分の体重も軽くする。同時に腰に下げてある鋼鉄の剣を地面に置き、敵の真横に生えている木に向かって走る。重さを変えるときに自分自身を対象にすると、防具の重さも変わるらしく、体が軽い。跳べばかなりの高さまで跳べる自信がわいてくる。まあすでに跳べることは前の戦闘で確認済みなのだが。地面を蹴り、木に向かって跳躍する。三角跳びの要領で、木に一度着地し、木を足場に敵の真上に向けてもう一度跳躍する。そして、俺自身と槍にかけていたスキルの効果をカットする。これで俺の体重と槍の重さが元に戻ったことになる。そしてすかさずもう一度スキルを発動させる。今度は効果を逆方向に、つまり、加重。槍の重さを約倍に。ぐんっと地面に引き付けられるような感覚とともに地面に落下していく俺。槍を槍頭を下に向けて、石突きの方を持って、串刺しを狙う。敵はステラに集中していたためこちらへの反応が少し遅れた。ずぶっという手ごたえとともに槍が敵の腹を貫通して地面に突き刺さる。

痛みに暴れる敵からすぐに距離を取り、地面に置いておいた剣を素早く回収し構える。腹に槍が突き刺さったままの敵は暴れまわっているが、槍が邪魔でまともに動けていない。俺の方を憎らしげに睨み付けてくる敵を後ろからステラが体重を乗せた斬撃を撃ちこむ。さらなる痛みにもがきつつ敵がステラの方に向き直り精いっぱい威嚇している。その間に一気に俺は相手との距離を詰める。剣を左の脇、やや下段に構え、斜め右に切り上げるように、敵の首元を撫でるように切り裂いた。もちろんその場にとどまったりせず、勢いを殺さず距離を取る。首の動脈を断たれた敵は首から大量の血を噴出させながら、ゆっくり力尽きていった。こと切れる最後の瞬間まで地に這うことを拒否するかのように立っている姿にやや感銘を受けつつ、戦闘の終了にほっと安堵の息を漏らしたのだった。


最近の俺のモットーは日本人的普通からの脱却だ。こっちの世界では、時に日本人的思考がマイナスに働くことがある。特に戦闘において、もとの世界の当り前に縛られていたら、柔軟に行動することができない。いや、無理だろ、って普通に考えたら思えてしまうことも、スキルをうまく活用すればできてしまうのがこっちの世界なのだ。もっと柔軟に、スキルの使い方、戦い方を研究していくことが大切だ。


 倒した鹿から槍を抜き、核石を取り出し、図鑑にしまって、足早に街に戻った。雨で濡れた体は体温を少しずつ奪い、なんだかけだるい感じが付きまとっている。はやく美味い飯でも食ってゆっくり休みたいものだ。



「おつかれさまでした、兄さん」

「ステラもお疲れさま。早く帰って飯にしような。我慢できそうか?」

「もう、子供じゃないんですからそれくらい」



そうステラが言いかけたところできゅーっとかわいらしい音が聞こえてきた。ステラが顔を赤らめてこっちを見てくる。



「い、いまのは!」

「んー?雨音で何も聞こえなかったぞー?」



少しにやついてしまったものの俺の準備不足のせいで飯を食わせてやれなかったのだから、今回はスルーしてやることにしよう。今度は雨の中でも火が起こせるように何かしら対策を考えなくては。なんとなく納得のいっていない様子のステラだったが、わざわざ混ぜっ返すこともなく、ステラのお腹の虫については流されていったのだった。


 それからは少し足早に街に戻り、満腹亭のおかみさんに俺の手料理を振舞うことを条件にキッチンを借りて、遅めの昼食を楽しんだ。最初こそかなり色濃く亜人嫌いを示していたおかみさんだったが、最近ではステラとも普通に話してくれるようになったようだ。今日は一緒に飯を食ったわけだしな。まあ俺が作った飯だし、俺のパーティメンバーと一緒に食うことに文句は言わないか。まあ何はともあれ、少しずつだが、おかみさんの意識も変わってきているのではないだろうか。人は知らないからこそ恐れを抱き、知らないからこそ嫌悪し、知らないからこそ偏った認識を持ってしまう。直接触れて、話して、行動を共にしてみれば、今まで持っていた考え方が変わることなんてたくさんあるはずだ。

 実際、ステラに至っては顔は普通の人間で犬耳としっぽがあるくらいでほとんど人と変わらないし、礼儀正しいいい子なわけだしな。俺のごく身近な周りの人間からでも、考え方が少しでも変わっていってくれたらいいなと思いつつ、料理スキルLv4から生まれてくる絶品料理に舌鼓を打ったのだった。



 ちなみにだが、予想外に雨が続き、夕方過ぎでも雨が一向に止まないので、今日の副業は休みにした。出店はただ立っているだけのプレハブみたいなものだから、雨が降ってきてしまったら火が消えてしまって、とても商売になんてならない。一応いつも店を出している時間帯に店を出しているところに赴き、今日も店を出すと思ってきてくれた客に謝りつつ、即席の本日からしばらく休業の看板をおいて宿に戻ってきたのだった。


 いよいよ明日はアリスたちとの依頼に向けて出発だ。武器の手入れをして、夜更かしすることなく眠りについたのだった。


お読みいただきまして感謝感謝です。


レポートは一旦落ち着いてきましたが、もうすぐテスト週間が来てしまうので、またバイトが基本毎日5時間以上あり、空いている時間でちょくちょく書き溜めていますので更新が遅くなる可能性があります。


可能な限り早めに次話投稿します。


誤字などあれば感想ページにお願いします。今度時間を見て、一気に指摘されたところ修正しますので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ