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II「卒業式」「妖精」「正義の記憶」

 枕元に現れた妖精は言った。

「あなたは正義の味方になるのです」と。

「ごめん意味が分からない」

 俺はそんなことに関わっているような暇はないのだ。何よりも金がない。どれぐらいないかというとサラ金に足を突っ込んでいるぐらいない。そんなだから進学という道も諦めて就職するしか道はなかった。その上バイトを掛け持ちしても借金はさっぱり減らないんだが、一体こんな借金をこさえた親父はどこをほっつき歩いていらっしゃるのだろうか。

「ですから! あなたは正義の味方になるんですってばー!」

「うるさい、そんな一銭にもならんことをなぜやらなければならん」

「え、お金になりますよ? とりあえず契約で1億ほど」

「よしやろう」

 妖精の言葉に対して俺の反応は早かった。一億もあればかなり借金も楽になるだろう。それで手を返さないやつはただの馬鹿である。

 そんなわけで正義の味方になった瞬間、俺はなぜか裸になっていた。もちろん路上でである。

「おい妖精よ、どうして俺は今裸になっているんだ?」

「正義の味方になるってそういうことじゃないですか」

「正義の味方が裸になるとは聞いていない。今すぐ辞めさせてもらう」

「えーもうしかたがないですねー。これだから人間は。わけがわか」

「それ以上はやめろ。いろいろと危ない」

 そして俺の手元にはスーツケースに入った1億と正義の味方とやらになる前と同じ自分がいるのを確認する。うむ、丸々儲けた。妖精もよくわからないやつである。やめるといったら1億も返せと言いそうなものなのだが、彼らに金は必要ないのだろうか。

 俺は気分も爽快に銀行で借金返済を行うと、そのまま自宅に帰って寝た。

 そして翌朝、仕事場に行くと辞職させられた。俺は特に何かをしたような記憶はない。……なんだろうこの急展開は。まるで尺に困った作家が事態を動かすために辞めさせたかのような唐突さである。しかし俺には金が必要だ。アルバイト先なら勤務時間外でも働かせてくれるだろうとめどをつけてそちらに向かうと、こちらでももう来なくていいよと言われた。意味が分からない。何が起こっているのだろうか。周りの人間が皆俺を見ている気がする。そして一様にひそひそ話をしているようでそれが気に障る。でも俺はもう帰るしかないのだ。借金の返済をどうするかなんてもはやどうでもよかった。なにせ職がないのだ。これ以上はどうしようもなかった。家に帰るとその途中でも噂話をされているようだった。そして自宅に妖精がいた。

「なんですかその顔は。路上で全裸になったなら当然でしょうが」俺は人生の卒業式を迎


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