1話目
4月7日(入学式)
朝
柚「今日から高校生です」
柊「お兄ちゃんだよ!」
柚「うわぁ……」
柊「やぁ、柚ちゃん! 清々しい朝だね」
柚「はい、貴方がいなければ最高の朝でした」
柊「ははは、柚ちゃんはツンデレだなぁ」
柚「違う」
朝その2
柊「そうだ!」
柚「なんですか?」
柊「今日から高校生になる柚ちゃんに教えておこうと思うことがあるんだ」
柚「……なんですか、一応聞いてあげましょう」
柊「うん、実はね……」
柊「柚ちゃんと俺は、実の兄妹じゃないんだ」
柚「……え? なんで、このタイミングでそんな重大なことカミングアウトしたんですか?」
柊「だって、フラグが立つかもしれないじゃないか」
柚「ねぇよ」
昼
柚「今日は帰るだけですね」
柊「やぁ、お兄ちゃんだよ!」
柚「ひっ!?」
柊「そんなに驚いてどうしたんだい、柚ちゃん」
柚「いきなり机の下から出てこないで下さい!」
柊「ははは、絶景だったよ。柚ちゃんのスカートのな――ガッ!?」
柚「死ね」
夕方
柚「兄さん、夕御飯は何が食べたいですか?」
柊「柚ちゃん♪」
柚「…………ちっ」
夜
柚「ねぇ、兄さん?」
柊「なにかな、柚ちゃん?」
柚「なんで私のベットに入ってるんですか?」
柊「ははは、愚問だね、柚ちゃん」
柊「俺は布団が暖まってないと眠れないのは知っているだろう?」
柚「はい」
柊「だから、俺が今日使う布団を暖めているのさ」
柚「……えっ?」
柊「さぁ、おいで! 愛しの柚ちゃん!!」
柚「おとうさーん! 私の部屋に痴漢がいるー!!」
4月10日
朝
柚「……うぅぅ」
柊「どうしたんだい、柚ちゃん? なんだか辛そうじゃあないか」
柚「わかりまず?」
柊「そりゃ分かるさ」
柚「実は、花粉症でっ、鼻水が……ずず」
柊「ははは、お兄ちゃんがどうにかしてあげよう!」
柚「どうにがって……なにをずるんでずか?」
柊「具体的には、鼻水を舐めとったり……」
柚「あっ、完治した」
昼
柚「兄さん」
柊「おお、柚ちゃん! どうしたんだい、うちの教室まで来て」
柚「お弁当届けに来ました。今日忘れてたみたいなので」
柊「ははは、そうかそうか。俺はてっきり、身体を捧げに来たのかと……」
柚「はいはい、わかったよ、このエロゲ脳」
昼その2
柚「お弁当美味しいですか?」
柊「ああ! 今日は柚ちゃんが作ったんだね」
柚「はい」
柊「裸エプロンで♪」
柚「NO」
夜
柊「柚ちゃん、高校には慣れた?」
柚「まぁまぁですね。一応、新しいお友達も出来ましたし」
柊「そうかそうか。お兄ちゃん嬉しいな」
柚「兄さん?」
柊「昔は病気がちで身体が弱かった柚ちゃんが、今はこんなに元気になって、高校にもちゃんと通えるように……ははは、なんだか涙が出てきたよ」
柚「……兄さん……」
柚「話を作るな」