すれ違いの恋
わたしは今、素敵な人と出会ってしまった。
彼は近くにいるのに、思いはとっても遠くて届かない。
羅武さんがこの学園に入ってきてから
わたしと日向さんの間が広くなっている・・。
羅武さんがいなければ・・思いはきっと届くはずなのに。
あと5日間で休みが終わってしまう。
わたしは今まで、ずっと自分に甘かった。
だから、少しの傷も痛く感じるように
恋愛だって、苦しみが強くなってしまう・・。
自分に強くなりたい・・強くなりたい・・・
毎日そう強く心の中で願っている。
その頃日向さんと新さんは
「日向はさ、來琥のこと、どう思ってるんだ?」
「何で?」
「いや、來琥って女みたいだからさ」
「來琥は正真正銘男だよ。」
わたしが女じゃないかということがB組ではうわさになっている。
現在、大地さんと日向さんはわたしのことを知っているけれど
そのほかは知らない。
日向さんも最初は抵抗があったらしいけれど、今は影で見守ってくれている。
わたしは今、ピアノの練習をしています。
エスポワール、メジャーデビューをするために
毎日毎日、デビュー曲用のパートを
3時間練習しています。
音楽室に羅武さんが入ってきました。
「あなた・・女でしょ。」
「え・・・?」
「体も女っぽいし、声も顔もすべて女子から見たらお見通しよ。」
「あの・・・」
「え?やっぱり本当なんだ~罠に引っかかるなんて、ドジね」
まんまと言葉に引っかかってしまい、女と知られたわたし。
あんな性格の羅武さんだから・・きっとばらされる。
「どうして女子がこんな格好してんのよ」
「このこと・・秘密にしてください!」
「いいけど、条件があるわ、日向くんとわたしをくっ付けて。」
「え・・・?」
まるでわたしが日向さんのことが好きなのをわかって言っている様に聞こえた。
でも・・逆らったらわたしは学園に入れなくなってしまう。
「・・・はい・・。」
「あなたは精々大地くんとでも結ばれることね、彼、優しいから。じゃあ」
今日から日向さんと羅武さんをくっ付けないといけなくなってしまいました。
誰にも相談できない・・・。
大地さんのこと振っちゃったし・・
新さんはわたしのこと男だと思っているし。
次の日
朝から羅武さんは日向さんにくっついてばかり。
「今日はライブですよね・・!わたくしもついていきます。」
「あ、ありがとう・・來琥?付いていくんじゃなかったっけ?」
「いいです・・。お2人で行って来てください。」
実は昨日
羅武さんに言われた。
「あんたはグループにいたら駄目なのよ。」
メンバーでもない羅武さんに何が分かるの?って
言い返したかったけれど、ちょうど新さんが
音楽室に入ってきたため、何も言い返せなかった。
学生服に着替えて、B組の教室に入ると
大地さんと新さんがいた。
「羅武をこの学校から出してみない?」
と新さんが言った。
「來琥も嫌なことされたりしたんだろ?」
と大地さんが言った。
もしも、わたしたちが羅武さんを学園から追い出したら
わたしのこと、ばらされるかもしれない・・
わたしは必死に追い出すのは駄目と言った。
優しい大地さんは
「まぁ、そこまで來琥が嫌がるなら、そのままにして置こう。」
そういわれて、ほっとした。
夕方日向さんと羅武さんが帰ってきた。
その頃わたしは部屋で勉強をしていたけれど
頭の中は日向さんでいっぱい。
わたしを守ってくれるって言ってくれたけれど
口だけで何も守ってくれない。
「でも・・・・」
日向さんが笑っていると何でも出来る気がしてくる。
この学園に来て、楽しいって思えたのは
日向さんのおかげ・・・。
2人が帰ってきて、わたしたちの部屋に2人がやって来きました。
そうすると羅武さんが
「あ~楽しかったね!」
と大きな声で自慢してきました。
本当にこの空気・・大嫌い・・・・。
日向さんにちょっと来てと言われ
やってきたのは誰にも見つからない秘密の場所。
「あの・・・なんですか?」
「來琥はさ大地のことがすきなんでしょ?」
「え?」
「僕は応援するから、ただそれだけ。」
違うとも言えないほどすぐにわたしの前からいなくなった日向くん。
このままだと想いが届かない・・。
わたしは日向さんのことが好きなのに・・
きっと羅武さんがうそのことを教えたに違いない。
わたしはそう思った。




