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第6話:迫る影

お久しぶりです。

面白い話を考える方法って誰から教えてもらえるんですかね?

それでは、どうぞ。

 サークル1日目は、結局姉さんと鏡の間に変な空気が漂って終わってしまった。

 そして、現在あれから1週間たったが、1度もサークルに行っていない。・・・というより行かせてもらえないのだ。

 理由としては姉さんが「あのサークルには良くないものを持ってる人がいるから、ハルちゃんはお姉ちゃんと一緒に別のサークルへ行こうね」だそうだ。

 きっとそいつは矢波のことだろう。

 確かにあの矢波って野郎は本当にムカつくぜ。

 つーわけで、毎日いろんなサークルを見て回ってるんだけど全部微妙な感じですぜ。

 まぁ、これだったら矢波はムカつくけど無気力サークルにいた方が可愛い子ちゃんに会えたし良かったのかもしれない。

 ちなみに今日も授業は終了し、習字サークルに行く予定ではあるけど正直あまり気が乗らない。

 ボクと姉さんは今、食堂の隣りの3号館にいる。

 3号館はあまり大きくなく少人数の授業しか行わないので基本的に人は少ない。

 小さい館は、基本的に5限以降は小規模のサークルの場所になる。

 習字サークルは3号館の2階にある。

「姉さん、やっぱり無気力サークルに戻らない?このままだとボク達だれも友達ができないまま大学生活を送ることになっちゃうよ」

 ボクは7割本気で姉さんに伝える。

 するとボクの右で歩いている姉さんは優しさの中に何かを秘めながら「お姉ちゃんは、ハルちゃんと一緒にいれるならそれでもいいよ。というよりお姉ちゃんからしたらそのほうがいいかも。ハルちゃんを独占できるからね」と笑顔で返してきた。

 恐ろしいのはそれが事実ということだ。

「それは困るよ。お願いだからさ、無気力サークルに戻ろうよ。あそこはなにかと居心地が良かった「だめ。あそこは良くないよ。良くない」し・・・」

 くい気味で、ボクが喋り切る前に姉さんが言う。

 しかも俯いて目の位置まで影になってるから余計に怖く感じる。

 たまにあるんだよな、こういう姉さん。

 おーい、姉さんどうしたんだーい?お腹でも痛いのかな?なんてボクには言えない。

 なぜなら、それ以上言ったら殺すよと言わんばかりに冷たい視線を向けてきたからだ。

 気のせいかもしれないけどね。

 気のせいじゃないだろうけど。

「そ、そうだね。なんか良くないよねぇ。あの矢波っていう先輩。姉さんの言いたいことはわかるよ」

 慌ててフォローを入れて習字サークルに向かう。

 隣で姉さんが「わかってないよ。ハルちゃんはお姉ちゃんが心配している本当の意味を」と、悲しく呟いているのをボクは怯えながら聞き流した。

 この時ボクはまだ気づいてはいなかった。姉さんの深い愛と、影からボクを見つめる赤髪の存在を。





 本日も収穫なしと。

 習字サークルもこれといって入りたいという気持ちにならなかった。

 今は帰宅途中でこれから大学の最寄駅のラーメン屋に行くところだ。

「姉さん、明日こそはサークル決めようよ。姉さんと二人だけの大学生活も良いけど、もしそうなったとして姉さんが卒業しちゃったらボクはどうするの?きっと4年生になったら即ぼっちフラグが立つよね」

 実際今までの人生もほとんどぼっちだったけどね。

 だからこそ大学には希望を抱いていたんだ。

「大丈夫。お姉ちゃんねハルちゃんとお姉ちゃんの未来の計画はしっかり立ててあるから」

 姉さんは任せなさいとばかりに胸をドンと叩く。

「具体的にはどういう計画なの?」

 ついボクの中に眠る何かが期待していけないと警告してくる。

「それはお店に入ってからのお楽しみね。おいしいラーメンでも食べながらゆっくり話しましょう」

 姉さんの笑顔が恐ろしい。

 いつも姉さんと一緒にいるボクのことを周りの人間はひがんでいるけど、みんなにも営業用じゃないこの笑顔を見せてあげたいよ。

 若干の優越感を味わいながらそのことを隠し姉さんと共に店に向かう。

 ボクと姉さんが歩くその後ろには赤い髪の少女がいたが、ボクたちはこのときまだ気づいていない。








 駅から歩いて2分のところにある少し汚いが味は一流のラーメン屋に着いた。

 扉を横に押し店員のいらっしゃいませを貰い4人までのテーブル席を探す。

 残ったテーブル石の中で一番奥の席に着く。

 椅子は4つあり、2席ずつ向かい合っている。

 ここまでは普通だがボクらはいつも隣り合った2席に荷物を置き、ボクが座った席の隣りに姉さんが座る。

 なんでも隣だと一緒にメニューを見れるし、ボクの体温をより感じることができるからだそうだ。

 今日も普段通り荷物の列と人の列で座った。

 店の出入口に背を向ける形で。

 しかしこのことが後にボク達に影響を与えることになる。

 なぜなら、ボクたちは喋っていて気づかなかったがボクたちが店にはいった1分後に赤い髪の少女も入店していたからだ。









 ボク達は一緒にメニューを見てこの店一番人気のスペシャル醤油とんこつラーメンを頼んだ。

 姉さんはいつもボクと同じものを頼むから別に隣りに座らなくてもいいんだけどなぁ、とは言わないでおこう。

「それで、姉さんがさっき言っていた未来の計画って何?嫌な予感がするんだけど」

 隣に座る姉さんは自分の向かいの席のバッグから書類を出し、ボクに見せてきた。

「この書類ね、この間無気力サークルに出席していたときに大学の職員さんに持っていったものなの」

 その書類を見るとそこには『職員採用手続きを希望の方へ』と記されていた。

「どういうこと?もしかして姉さんこの大学を卒業したらこの大学の職員になるの?」

「その通りなのでーす!そうすれば、お姉ちゃんだけ卒業しちゃってもずっと一緒にいられるね。それで、次の年にはハルちゃんも大学の職員になるの。それで、そのまま職場結婚。子供が出来たらお姉ちゃんは仕事を辞めて子供と一緒にパパになったハルちゃんをお家で待つの。おいしい料理を作ってお風呂も沸かしておいて、帰ってきたハルちゃんに『ご飯とお風呂どっちが先?それともお・ね・え・ちゃ・ん』って言って、ハルちゃんは迷わずお姉ちゃんを押し倒して、ムフフなことに。キャー!!もうハルちゃんてばー!!あっ、でも仕事の間ハルちゃんの働く姿を脳内HDに焼き付けられなくなる。でも、ご飯、お風呂、お姉ちゃんの黄金選択もできなくなるし・・・そうか、朝に夜の分もご飯を作っておいてお風呂は最悪シャワーに変更しちゃおうかな。少しくらい妥協点があってもいいよね。んふ、ふふふ」

 この人大丈夫かな?

 結構早い段階からスルーしてたけど、要するに想像力が豊かなんだな。

 一瞬ボクの体を悪寒が走った。

 きっとこんな話を聞いていたからだろう。

 そういうことにした。

 ボクらを狂ったように見つめる赤い髪の知人に気づかずに。








 ボクと姉さんはたっぷりとラーメンの味を堪能した。

「やっぱりさっきのラーメンはおいしいかったね。ハルちゃんのチョイス最高!」

 日も沈み薄暗くなってきた道で、姉さんは歩きながらボクにサムズアップをしてくる。

 まぁ、さっきの店がいいって言ったのはボクだからね。

「また学校の帰りに寄ろうか。姉さんもたまには息抜きしたいでしょ。それともボクが作っておげようか?」

 半分冗談で聞いてみた。

 姉さんはいつもボクには危ないからという理由で料理をさせてくれないのだ。

 最初の頃は一緒に料理をしたりもした。

 でも、一回ボクが包丁で少し切っただけで「ハルちゃんが死んじゃうー!どうしよう?そうだ、救急車だ」とパニックを起こして以来包丁はおろか、まな板すら触らせてくれなくなった。

 とにかく姉さんはボクを過保護にしすぎなんだよな。

 ゆとり故に少し甘えてしまいたくなる自分も情けないけどね。

「ハルちゃんは基本はお姉ちゃんの作ったご飯をたべて。たまに一緒に外で食べてもいいけど。じゃないと心配だもん」

「わかりましたよ。ボク姉さんのご飯が大好きだから」

「ハルちゃん、も、も、もも、もう一回最後のところ言って!!」

「う、うん。姉さんのご飯が大好きだから」

「いいんだけど、のご飯の部分を取ってききたいなぁ。なぁ、いいだろうお嬢ちゃん。何色のパンツ履いてるんだい?」

「姉さん、途中から質問が変わってるよ。きっと、みんな姉さんが興奮するとおっさん化するって知ったらイメージダウンするよ」

「ハルちゃんさえ受け入れてくれれば、おっさん状態の方が楽でいいんだ」

「ボクはおっさんは嫌だな」

 少しイタズラ心が出てきた。

「ごめんなさいー。お姉ちゃんに戻るから嫌いなんて言わないで」

「はいはい、わかりました。嫌いじゃないよ」

「好きって言ってよ。そうしたら今日がもっと楽しい日になるから」

「一回だけだよ。姉さん、好きだよ。姉としてね」

「もぉ、ハルちゃん!!そのうちお姉ちゃん無しでは生きてけないって言うくらい好きにさせてみせるからね」

「楽しみだな。多分、ボクは逃げ切るけどね。でも今日も楽しかったね」

「うん。でも、あの女がハルちゃんをずっと見ていた・・・」

「えっ、なんだって?でもの後からよく聞こえなくて。もう一回言って」

「あっ、なんでもないの。明日はどこのサークルに行こうか?」












「遥、可愛かったな。でも、いけませんよお姉さん。今日も一日ずっと遥のことを見ていたのに。私が監視していることに気づきながら見せつけてくるもんな」

 遥の家の前には『ミラクル・霊羅』の霊羅のフィギュアに口づけをする鏡がいた。

「遥をあのお姉さんから逃がしてあげないと。いくら将来義姉になる人だからって私のことを汚いものでも見るかのように顔を歪めてるんだもん。あんな人、遥に近づくだけでもイライラする。おかしくなりそう。待っててね。もう少しで、遥を私との幸せな未来へ救い出してあげる」

 鏡は、バッグの中から物を取り出す。

 取り出されたものは、遥の家の窓から漏れる光により姿を照らされる。

 それは、霊羅の姉である幽亡のフィギュアだったものだ。

 体中にたくさんの彫刻で削られた跡があり腕も片方取れかかっていたり、顔にも泥が塗りつけられていて、悲惨な姿になっていた。

「あなたさえいなければ」

 そう呟き、バッグから彫刻刀ともう一本のフィギュアを出す。

 そのフィギュアも『ミラクル・霊羅』のキャラクターの一人『アリス』だ。

 そして、アリスのフィギュアの体と腕で彫刻刀を挟ませた。

「アリス、邪魔な敵にはお仕置きしましょうね」

鏡はアリスで再び幽亡のフィギュアに傷を一つ加えた。


お疲れ様です(_´Д`)ノ~~

少し気分転換ということでもう一本連載始めました。

この作品とは少し違う方向の作品なのでどうなるかわかりませんが、どちらとも頑張ります。

もしよろしければそっちも覗いてみてください。

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