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第5話:危険な出会い

お久しぶりです。

この作品を待っていてくれた方がいるかはわかりませんが、ようやく投稿できました。

ただいまの時刻、午前10時37分。

ボクと姉さんは不安と恐怖に支配されている。

何故かって?

昨日の無気力サークルのことでだ。

基本的にボク達の受ける授業は、テストの点数さえとればいい、みたいな方針のものばかりだから、ほとんど出席しない。

よいこのみんなは真面目に出ようね。

ってことで、面倒な授業は受けずにテストの直前で姉さんに教えてもらうことにしたから、学校では暇だ。

その暇を潰すために、無気力サークルの会場に行くことにしたんだけど、眼鏡とお気にのパツキンさんが教室内にいたらどうしよう。

なんか怖そうな人たちだったから、足がなかなか進まない。

「姉さん、やっぱり行くの止めない?怖くて怖くてたまらないよ」

「何言ってるの。昨日はあんな態度をとってたけど、本当はいい人たちかもしれないし」

そう言ってるけど、手が震えてるよ、姉さん。

そんなやり取りをしていたら、とうとう202号室に到着してしまった。

ボクと姉さんはお互いの顔を見たまま、どちらも教室に入ろうとしない。

その状態が数分経った頃、不意に教室の扉が開いた。

「なにやってんだ?とっとと入ってくれないか」

開けたのは眼鏡ノッポの方だった。

チッ、美人の方じゃない。

「じゃあ、失礼します」

とりあえず、中に入ってみると眼鏡の他に例の金髪さんと、もう一人女の子がいた。

誰だろ、もう一人の子も相当かわいいぞ。

その子は、綺麗な赤い髪をしていて読書をしている。

アン(仮)としておこう。

そんなことを考えていたとき、眼鏡が「このサークルの説明をしようと思う。が、その前に、ここにいるメンバーの紹介をする。まずは、俺からしよう。俺は、この大学の経営学部3年の矢波迎(やなみむかい)だ。そして、そこにいる金髪でガラの悪い女が文学部2年鬼龍院奏(きりゅういんかなで)、それから、赤髪の方が、法学部1年千堂鏡(せんどうきょう)だ。さぁ、お前らの番だ」

そうか、てめーは矢波っていうのか。

先輩だけどイライラする喋り方だな。

ボクは、ムカつきながら教壇へ歩く。

そして、姉さんを含めたボク以外の4人を見渡し、ボク達義姉弟の紹介をする。

「ボクは、法学部1年京橋遥です。それで、この人がつい最近義姉になった法学部2年の命さんです」

ボクがここまで言い終えたところで、矢波が「このサークルは、やることは特に決まっていない。あるとすれば、現実逃避や暇つぶしってところだな。ちなみに今日はいないが本当ならもう一人メンバーがいる。だが、今日は遊びに行ってるらしい。ここにいるメンバーは遊びに行かない限りは、ほとんどここで過ごしている。ボーっとしたり睡眠をとったり。だから無気力サークルという。このサークルは、なぜか何も活動をしていなくても消されることはない。ただ、毎年新入部員を入れさえすれば存在しつづけることができる。説明はこんなところでいいだろ。自由に寝るなり、ゲームをしたりダラダラするがいい」と言って、椅子に座り読書を始めた。

こんなことが許されるなんて、ぶっ飛んでるよ。

姉さんもそう思ってるんじゃないのかな?

ふと、姉さんを見ると「ハルちゃーん、時間はたくさんあるからいっぱいイチャイチャしようね」とこっちへ迫ってきた。

まったくかわいい顔してるぜ。

 でも、簡単に捕まるわけにはいかないね。

 小さいころから見知っている姉さんもいいけど、せっかくの大学生活はあの鬼龍院さんが気になる。

「姉さん、少し落ち着こうね」

「だって、授業なんかに出なくてもこうやって二人でイチャイチャできることがすごくうれしくて。お姉ちゃんこの大学に来て正解だった」

 嬉しい気持ちはわかったけど、この教場にあと3人いることを考えてほしい。

 矢波さんと鬼龍院さんはそんなボク達に見向きもしないが、千堂さんはちらちらこっちを見てボクと目があっては手元の本に目をうつす。

 それにしてもこのサークルは3人とも本を読んでいて、非常に読書率が高い。

 便乗してボクもこの機会に文学少年になってみようかな。

 突然姉さんが何かを思い出したこのように「あ、ハルちゃん。お姉ちゃん、大学に書類の提出があったの忘れてた。すぐ戻ってくるから待ってて」とバッグから書類を取り出す。

 マンガだったらビューンという擬音を付けたいくらいに姉さんは走って行った。

忙しい人だ。

「あの…、元気な人ですね」

 ふいに声をかけられた。

 声をかけてきたのは、もちろんこの部屋でそんな言葉づかいしないであろう方々を除けば千堂さんと特定できる。

 少しオドオドしながらボクのほうを見ている。

 胸元あたりまで伸びた綺麗な紅の髪はお姫様結びになっている。

 お姫様結びはボクが最も好きな部類の髪型だ。

「まぁ、元気が一番ですから。千堂さんは何を読んでるんですか?」

「きっと知らないと思うんですけど、『ミラクル・霊羅(れいら)3~旋律の覇者~』っていうラノベです。こんなの読む女子は引きますよね」

「そんなことないですよ。実はボクもその作品のファンで、グッズとかも持ってるんですよ。可愛いですよねー霊羅」

 ちなみに『ミラクル・霊羅』とはシリーズが現在、文庫で7巻まで出ている幽霊バトル作品なのだ。

 今までもそれなりに人気があったが、人気キャラの途中退場や作者の不定期連載などが足を引っ張り、連載5年目にしてこの巻数でようやく来春アニメ化される予定だ。

 実際、ほとんどぼっちで学校に通っていたので休み時間はラノベを読んで時間を潰していた。

 これだけが今までの学校生活での心の支えだった。

 霊羅の他にもたくさんの種類を読んでいたが、お気に入りの中の一つなのでコミカライズされたときは大変よろこんだ。

「まさか、霊羅のことを語り合える女の子と出会えるなんて。千堂さんは、どのキャラが好きですか?」

「私は2巻から登場する『アリス』かな。アリスは強いし、優しいし、霊羅を愛する力で戦うところも好きです。えーっと…は、遥さん?は誰が好きですか?」

「さん付けしなくていいですよ。なんかそうゆうの慣れてないし、同期だからタメ口でいこう」

「そうで…そうだね。私のことも鏡でいいよ。遥…は誰が好き?」

「ボクは霊羅の姉の『幽亡(ゆうな)』かな。霊羅のことを本当に愛してるし、かっこいいからね。あ、でも鏡はまだ3巻を読んでるよね。幽亡は5巻からだから、ネタバレになっちゃったかな?」

「大丈夫。私も全巻読んでるし6週目だから」

「そんなに読んでるの。ボクよりも詳しそうだね。来月にまた新巻出るから楽しみだよ」

「私も。アニメもキャストが豪華だから期待できそうだし」

 ガラーー!!

 鏡と話していたそんな時、姉さんがハァハァ、息を切らせながら教場に帰ってきた。

「ただハァ、いま、ハルちゃん。ハァ、ハァ、気の利かない教師とハァ、部活のかん、勧誘のせいでハァ、時間がかかっちゃった。あなた鏡ちゃんハァ、だよね。ハルちゃんと何の話ハァ、してたの?」

「姉さん、落ち着こうよ。呼吸を整えてから喋ろうね」

こんな息を切らしていたからか、姉さんが来てから今日の様子がおかしい。

 最初から少しオドオドしてはいたが、今はやけに落ち着かない様子だ。

 まぁ、ハァハァしてる初対面の美人が目の前にいたら誰でもそうなるか。

「いえ、わ、私は…ただ読んでるラノベが共通していたもので…」

 俯きながら鏡はそうこたえる。

「鏡ちゃん、私も話せると思うよ。だって私とハルちゃんは趣味が何から何まで一緒だからね」

 後半部分をやたらと強調し姉さんは笑顔で話す。

「だから、二人の話にお姉ちゃんも混ぜてくれないかな~?ハルちゃん、いいでしょ」

「別に許可なんていらないよ。鏡は霊羅のアリスが好きなんだって」

「そうなんだー。ちなみに私は主人公の霊羅が好きだな。だって、愛くるしいじゃない。あの何も知らない無垢なところが。ただ、姉の幽亡が無垢すぎる妹にいつまでたっても、何度思いを伝えても霊羅に想いが伝わらないのは、読んでいてとても苦しいけど」

 そう言う姉さんの表情はいつまでたっても霊羅に振り向いてもらえない幽亡に重なるものがあった。

「霊羅を愛しているのは幽亡だけじゃない」

「え、鏡今何か言った?」

「いいえ、何も言ってないですよ」

このとき、ボクは鏡のつぶやきを聞くことはできなかった。

 そして、姉さんの鏡への鋭い視線にも気づくことができなかった。


投稿までに大変時間がかかってしまいすみません。

時間がなかったことや精神的に少しまいってしまったことがあり、しばらく書けませんでした。

これからも時間がかかっても完結を目指しますので、こんなダメな自分に付き合ってくれる方がいらっしゃるかわかりませんが今後ともよろしくお願いします。

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