第裏3話:2度目の大学デビュー
命視点でお送りします。
あとがきでたいしたことないですが、発表があります。
ハルちゃんとの初めての登校はドキドキとワクワクでいっぱいなものでしたよ。
なんかハルちゃんは周りの視線が気になるようだけど、そんな姿も可愛いな。
だから余計にいじめたくなって、歩くときは常に腕を組んでみたり、女の人を横切るときは少しオーバーに遠ざけさせたり、人がたくさんいるところで好きって気持ちを連呼したりしちゃった。
ちょっとやりすぎな感じもするけど、ハルちゃんを誰にも取られたくないからね。
家から大学まで40分強で着いちゃうから便利ではあるけど、ラブラブ登校タイムは楽しいせいもあってすごく短い。
体感時間にして15分くらい。
だから、余計に大事にしたい時間なんだ。
朝早いと、ラッシュで電車の中で悪びれる必要もなくイチャイチャできるからすごく幸せ。
でも、たまに自分を抑えられなくなりそうな時もあって、痴漢になっちゃっいそうで怖くなる。
あ、女だから痴女か。
私の方がハルちゃんより背が高いから、ハルちゃんに抱きついても、ハルちゃんが抱きつかれているというより、抱かれてるように見える。
無性に興奮してきちゃう。
ハルちゃんには、悪いけど背が低いままでいてほしい。
「人が多くて窮屈だからしょうがないよね。うふふ」
ダメだ、しょうがない表情が作れてないのが自分でもわかっちゃう。
数十分後に大学に着いた。
私がこっちへ来る前にハルちゃんがオリエンテーションとか出ておいてくれたから、ハルちゃんから説明が聞けてラッキーだよ。
「いちおう家で教場のコピ-は取ってきたから姉さんにわたしておくね。ボクがなにか急用ができて一緒に行動できないときは、その紙を見て移動してね。今日のスケジュールは、月曜日だから1、2、3限に授業があるから。そのあとにサークルとか部活のことを話し合おう。姉さんの意見も聞きたいからさ」
ハルちゃんはなんていい子なんだろう。
「ありがとう。でも、急用はなるべく作らないでね。じゃないとお姉ちゃん寂しくて死んじゃうかもしれないから。部活とかはハルちゃんがやりたいものに一緒に入るよ。お姉ちゃん、がんばってハルちゃんの入りたいところでも活躍するから」
ハルちゃんと同じサークルに入ればハルちゃんに私のなんでもできる才能を見せることができる。
私が才能を発揮していくことができれば、ハルちゃんは私を見ていてくれる。
私がハルちゃんより何かが優れていれば、ハルちゃんは私に失望しないでいてくれる。
だからこそ、同じ場所で、同じスタートで才能の差を見せつけなくちゃいけない。
どこに入ろうと、1番にならなきゃ。
ハルちゃんはどこに入りたいんだろ?
スポーツ系は嫌いだから、きっと文化系だろうな。
まぁ、文化系でも1番になる自信あるからいいんだけどね。
「姉さん、ボクアニ研に入ろうと思うんだ」
ハルちゃんがそう言った。
えっ。
えーーーーーーーーーーーーーーー!!
アニメや漫画や特撮は、私からいつもはるちゃんをとっていった。
最初は私も好きだったけど、いつの頃からかそれが理由で嫌いになっていた。
「ハルちゃん、他のサークルに入らない?例えば、・・・そう、スポーツとか」
あぁ、私、焦ってるよ。
顔も引きつってる。
最低だ。
「ハルちゃん、他のサークルに入らない?例えば、・・・そう、スポーツとか」
よりにもよって、とっさに出たのがハルちゃんの嫌いなスポーツだなんて。
こんなんじゃハルちゃんに見捨てられちゃう。
「姉さんがソッチに入りたいなら入ればいいよ。ボクは運動が、夏休み最終日に溜まってる宿題と同じくらい嫌いだから絶対入りたくない」
どうしよう、ハルちゃんに嫌われちゃった。
こんなお姉ちゃんを見捨てないで。
「そんなぁ~。ハルちゃんと離れるなんて嫌だよ。わかった、お姉ちゃんもアニ研に入る」
私も入るから、一人にしないで。
「わざわざ入りたくないサークルに入る必要ないよ。卒業までずっと活動しなきゃいけないんだよ。姉さんがやりたい方を選んでよ」
「お姉ちゃんはね、一人で好きなことをするのもいいけど、ハルちゃんと二人で居られる方が好きなの。だから、姉さんがやりたいことは、アニ研でハルちゃんの活動を隣で見守ることなんだ。それに、一緒にいないとハルちゃんはカワイイから、ワルイ女の子に誑かされるかもしれない。そんな時にお姉ちゃんがいなかったらハルちゃんを守れないからね。ハルちゃんを守護することもお姉ちゃんのやりたいことだし」
心の底からそう思う。
だからこそ、自分にツライ環境でもハルちゃんっていうオアシスを他の遭難者に分けるわけにはいかない。
頑張らなくちゃ。
燃えてきたー!!
初日だったから、授業らしい授業も無かったな。
でも、1つ気になる。
ハルちゃんが、今日1日中ずっとボーっとしている。
「ハルちゃん、今日の授業はなんか上の空だったね。お姉ちゃん心配しちゃうよ。ちゃんと単位は取ってね。じゃないと、お姉ちゃんも留年しちゃうぞ~」
そんな風に、さりげなく本音をぶつける。
あれ、ハルちゃんがさらにグッタリしちゃったよ。
放課後になって、気がのらないままアニ研の新入生歓迎会に来てしまった。
イメージ通りのスタイルの人たちがたくさんいる。
会場に近づくにつれて、オタクの皆様の会話が聞こえてくる。
「俺、3次に興味ねーから」
勘違いナルシストがそうおっしゃってる。
私たちが会場に入った瞬間、さっきの勘違い君を含めた全男子諸君が私をガン見してきた。
突然の私の登場に会場は静まった。
ハルちゃんが綺麗って言ってくれるのはうれしいけど、他の男に凝視されるのは最悪だ。
ふと、会場を見渡すと数少ない女子まで、私を見てうっとりしてる。
こんなお姉ちゃんを持って、ハルちゃんは幸せ者だね。
でも、ちょっと気まずいな。
そんな時、その教室の中の部長らしき人物が声をかけてきた。
「あなたもこのアニ研に興味を持ってくれたんですね。こんなにも美しい人は初めて見た。
ぜひとも我がアニ研に入っていただきたい。申し遅れましたが、僕は、このアニ研の部長をやっている池照彦です」
あーあ、ナルシスト君2号ってところか。
世間一般では、優れた部類に入るのだろうが、ハルちゃんの足元にもはるかに及ばないね。
こういうタイプは苦手だな。
「まだ、完全に入ると決まったわけじゃないんですけど。ただ、説明とか聞き終わった時点で決めますので急かさないでほしいんですけど」
イライラするなぁ、こういうの。
「ハルちゃん、早く席に着こう」
この場をどうにかしたい一心でハルちゃんの背中をそっと押す。
それが気に食わなかったのか、「君、この女性のなんなんだい?もしかして、こんななりで彼氏だったりして」と、ハルちゃんを侮辱した。
キレそうになったけど、なんとか抑える。
「だったら、なんなんですか。あなたに言われる筋合いはありません」
ハルちゃんに向きなおり「やっぱり帰ろう。こんな人がいるサークルに入るのは間違ってる」と、ハルちゃんの腕をつかむ。
「おい、待ちたまえ。怒らせてしまったなら謝るよ。ただ、そんな影の薄い貧弱そうなやつより、僕みたいな男の方が釣り合うんじゃないかってね。だから、君だけでも入ってくれよ」
ダメだ、私は私を抑えきれない。
気づいた時にはナルシスト2号をぶん殴っていた。
ピクピクしてるけど気を失ってる。
辺りは騒ぎになっている。
「うちのカワイイ弟をそんな風に言わないで。悪いですけど、入部以前に説明会も遠慮させていただきます。ハルちゃん、早く行こう」
この場を出ていきたい。
気持ちが溢れそうだった。
ハルちゃんの手を引っ張り教室をなんとか後にした。
ハルちゃんとの大学デビューは失敗するわけにはいかなかった。
それなのに。
「ゴメンね、ハルちゃん。お姉ちゃんのせいでもうアニ研は入れなくなっちゃったね」
ハルちゃんに、大学デビューを失敗させてしまったことと、嫌な自分を見せてしまったことに悔しさと、悲しみが溢れ、涙を瞳の中に閉じ込めておくことができなかった。
小さいころから、ハルちゃんはいじめられることが多かった。
その理由も、私がハルちゃんにしか興味を懐かなかったからだ。
私のわがままのせいで、ハルちゃんは傷つき、私は周りを攻撃して、醜い自分を見られて、かってに泣き出して、そんな私をツラいはずのハルちゃんが慰めてくれる。
1番悪いのはこの私なのに。
「別にいいよ。ボクもあの池ってやつ気に食わなかったし。姉さんのおかげでスッキリした。サークルはあと1週間、新入生歓迎会の時期だからそれまでに決めよう。今日は帰ろっか」
今日もハルちゃんは私を慰めてくれる。
数年ぶりにハルちゃんの方から、私に手を差し出してくれた。
私はゆっくりと差し出されたその手を掴み、大切な人から笑顔をもらう。
「ありがとう。ハルちゃんは優しいね。明日から、もう1回頑張ろう。それで楽しい大学生活を送ろうね」
さっきまでの怒りや悲しみが嘘のように消え、優しい気持ちが私を包む。
やっぱり、私はハルちゃんが大好きだ!!
明日からも二人で頑張ろうね。
発表の方ですが、夏休みの行事として大学の部活で合宿に行かなければならないので、2週間ほどお休みさせていただきます。
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