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第7話:かけちゃうぞ♥

迷走中です。


 只今のボクたちは食堂で午後のひとときを過ごしている状況にある。

 悲しいことにボク達は無所属芸人となってしまった。

 新入生歓迎の時期を逃してしまい、ボクたちは結局どこのサークルにも入ることなく大学生活をスタートさせてしまった。

 ボクと姉さんが入ってみたいと思うサークルは一応全て回ってみた。

 どのサークルも行けば必ず姉さんばかりが注目されボクのことなんて誰も気づかない。

 気づいたとしてもただ妬まれるだけだ。

 別になれてるからそんなこと屁の突っ張りはいらんですよ!!

 冗談はさておき、居心地のいい場所がどこにも見つからないのだ。

 姉さんの言うとおり本当に姉さんと二人だけがボク達にとって最善なのかもしれない。

 ボクの隣で学食のオムライスを食べながら、姉さんより一回り小さいボクの肩に頭を載せ腕を絡めている姉さんの顔を見てるとそう思ってしまう。

「姉さん、暇だし今日こそは授業に行ってみる?」

 気分を変えたいのが半分、このままだと留年してしまうのではないかという不安から授業へ行こう言ってみる。

「大丈夫だよー。お姉ちゃん、頭はとってもいいからテスト範囲さえ分かれば単位取れるし、ハルちゃんにもテストが近くなったら勉強教えてあげるから。それよりも、もっともっとイチャイチャしたいな。毎分毎秒ハルちゃん分を補給しないとお姉ちゃん死んじゃうー」

 絡めている腕に更に力を加え姉さんは甘えてくる。

「姉さん、ここ食堂だよ。みんなに見られてるから放してよ」

 実際、周りのボク達を見る視線は毎度のことでありながらとても鋭く、嫉妬や憎悪でボクだけを突き刺している。

 姉さんは男女ともに人気があるので、なんでボクなんかが姉さんを侍らせているのかと周囲はボクに対して敵意をむき出しにしている。

 今は姉さんがいるからなんとか守られているけど、一人になったらどんな目にあうことになるのやら。

「もーう、ハルちゃんは照れ屋さんなんだから。じゃあ、お家帰ったらたーくさんくっついてもいい?」

 少しボクよりも高い目線で姉さんは目を潤ませながらたずねてくる。

 その質問に周囲は「あいつ、家でイチャイチャしようと思ってやがるのか」、「あの命さんを・・・奴め許せん」、「お姉さまは私たちが保護してみせる!男なんかに渡してたまるもんですか」と様々な意見だが結局はみんな姉さんとお近づきになりたいのだ。

 姉さん、ヒューヒューだね。

 なんだかんだ言ってボクも優越感に浸ってしまう。

 チョイ懐いか。

「えっと、その・・・とりあえず今は離れようよ」

「じゃあ、家ではいいんだよね?」

「それは・・・時と場合によるというか、そんな感じであって・・・」

 沢山の痛い視線があるのでどうやって返したらいいものかと困っていたその時だ。

「あっ、遥だ。お姉さんも。今食事中?」

 声のする方を振り返ると鏡がいた。

 不意に姉さんの絡められている腕に更に力が込められた。

「鏡、久しぶり。あの日以来だね」

「そうだよ。急に次の日からサークルに来なくなったんだもん。どうしたのかなって気になってたけど、良かった元気そうで」

 そのまま自然に隣りのテーブル席から椅子を引っ張りお誕生日席のようにしてボクたちのテーブルに来た。

「いやぁ、なんかさ他のサークルも見てみようかなって思っていろんなところを回ってたんだけど、どこもパッとしなくて」

「じゃあ、戻ってくればいいじゃん。そうだよ。また私たちのサークルに戻ってきてよ」

「でも、姉さんもボクもサークルに嫌な奴がいるからさ。矢波さんのことなんだけどね。あっ、でもこのこと誰にも言わないでね。それで、ボクは我慢できるんだけど姉さんが良くないものを持つ者がいるから絶対嫌だって言ってね」

「だったら別いいんじゃない。遥だけ私たちのところに来れば。だってさ、オカシイよ。義理のお姉さんと一緒じゃないといけないなんて」

「そ、そうだけどさ、姉さんを一人ぼっちにするのもかわいそうかなって」

「でも、遥の大学生活は遥のものでしょう。だったら遥の行きたいところに行って、遥の送りたいように大学生活を送ればいいじゃん。そうでしょう?」

 鏡が微笑みながらボクの目を自分の両の眼で捕らえて逃がさない。

 すると、隣にいる姉さんが立ち上がった。

「鏡ちゃん、だったらハルちゃんがお姉ちゃんを取りたいならそうさせてあげるべきよね。ハルちゃんがお姉ちゃんを優先したいなら優先させてあげましょうよ」

 姉さんは笑ってはいる。

 だけど、なんだろう?

 目が笑っていない。

 そして、鏡も持ってきたばかりの席を立つ。

「それもそうですね。遥がお姉さんを取りたいなら取らせてあげましょう。でもあと1回はサークルに顔を出してください。二人共です。一応二人が抜けても1年生枠も2年生枠も一人ずついるのでサークルの存在自体はまだ認められます。しかし、サークルを抜けるには手続きが必要です。せめて辞めるならそれを済ましてからにしていただけませんか」

「わかったわ。いつ行けばいいかしら?なるべく手を切るのは早いほうがいいから今日にでも行きたいのだけれど」

「大丈夫ですよ。うちのサークルはあっても無いようなものなので。それに今日は全員部員も揃っているので。最後の一人とも会えますよ」

 そういえば、このサークルにはもう一人メンバーがいるんだっけ。

 どんな人だろ?

 たしか各学年に一人ずつだったから4年生ってことになるな。

 女の子かな。

 女の子ならいいな。

 女の子であってくれー!

「わかったわ。4限から私たち授業があるからここで一回お別れね。授業が終わったらハルちゃんと一緒に部室へ行くわ」

「えっ、姉さん授業行かないんじゃなかったの?」

「何言ってるの?大学は勉強するための場所でしょう。授業を受けなくてどうするの」

「そ、そうだよね。じゃあ、授業終わったら最後の挨拶に行くね。鏡、ボク達趣味合うからもっと話したかったな。別にサークルやめてもまた普通に話そうね。それじゃ、授業あるからまた後で」

 そう言って手を振る。

「早く行って席取らないとね」

 手を振るボクを姉さんはもう片方のボクの手を掴み足早に食堂を出ようとする。

 姉さん、そんなに角の席を取りたいんだ。

 窓近いから景色いいしね。

 そして、引っ張られる形でトレーを持って食器を返却する。













 遥と命が出て行った食堂で一人残された鏡は食堂の職員が気づかない隙に遥の使っていた箸を手にする。

 そして気づかれないように箸の使っていた部分を触らないように持ち、この大学で最も使用頻度の少ない3号館の2階のトイレに入る。

 やはり誰も使っておらず一番奥の個室に入る。

「待ってるね。この後絶対来てくれるようだから、今だけは監視しないでいてあげる。それまでこれで楽しんでよう」

 箸を持ったまま鏡は不敵に笑い、バッグ家からアリスのフィギュアを取り出す。

 そして、箸の片方を自分の口に含みしゃぶりつく。

 さらにもう一本の箸をアリスのフィギュアの口にこすりつける。

「ハァ、ハァ、遥の匂いと、味がするよぅ。ハァ、ハァ、おいしい」

 











 あー、4限クソだるかったのらー。

 きっちりと窓際の席を確保し、授業を終えた。

「サークルの人たちとはもう今日でおしまいになるんだね。でもさ、基本的に参加自由なんだから名前だけでも残しておけばいいのに」

「幽霊部員は良くないわ。ケリはつけなくちゃね」

「そっか。なんか寂しいね・・・。今日は久しぶりに全員集合らしいけど、まだ会ってない人にはなんか期待するものがあるよね。姉さん、賭けしない?最後の一人が男か女か」

「良いけど賭けに勝ったらどうしてくれるのかしら?お姉ちゃんにハルちゃんのその可愛らしい体を好きにしてもいいとか」

「姉さんって肉食系女子だよね。たまに本気で身の危険を感じるよ。賭けに関しては勝者が敗者になんでも1つだけ命令ができる。これでどう?」

「いいわ。むしろいいの?その賭けのったわ!!お姉ちゃんは最後のひとりは女の子に賭けるわ。なんとなく最後の一人も敵の香りがするから」

「女の子ね。・・・って、敵って何?」

「なんでもないの。気にしないで」

「う、うん。ボクは男だと思ったから姉さんの意見は通すよ。さすがに男子が一人って気がしないし。約束は絶対だからね」

「それはこっちのセリフよ。お姉ちゃんがハルちゃんをいろんな意味でお・と・なにしてあげるからね」














 部室に着いた。

 緊張してるからここまで来た描写はわかんないや。

「姉さん、ここに来るときって必ず緊張してるよね。特に今日は緊張がマックスハートだよ」

「ハルちゃん、言ってることはわからないけど言いたいことはわかるよ」

 ボクたちは勇気を振り絞って扉を開く。

 ギィーーー。

「やっと来たか。とっとと座れ」

 入って早々矢波だ。

 アーーーーン、この野郎上から目線で!

 ぶっ殺すぞ!!

 と面と向かって言う勇気が欲しい。

 ところでアーーーンって、文字にすると喘ぎ声ともとれそうだよね。

 どうでもいいか。

「すみません。ほらハルちゃんあそこの席に隣で座ろう」

 姉さんはこれまた窓のある席を指差した。

 窓好きだね。

 ボクたちが席に着き荷物を下ろしていると不意に鬼龍院さんに声を掛けられた。

「あなたたち今日で最後なんだってね。まぁ、最後になればいいけど・・・。適当に楽しんでって」

 そういうクールなところもいい!

 ボクはMだからそそられるよ。

「おい、千堂はどうした?お前たちと一緒じゃないのか?」

 矢波がたずねてきた。

「いいえ、知りません。あの子だったら授業が無かったようなのでこっちに来てるものかと思ってましたけど、何か急用ができたとか?私は千堂さんに必ず出席しろとは思わないので良いですけど」

 姉さんが含み笑いをしている。

 もしかして、姉さんは鏡のことも嫌いなのかな。

 思い過ごしだよね。

 ね!

「すみっません。ハァ、遅れハァました」

 噂をすればなんとやら。

 鏡が汗ダクになりながら部室に入ってきた。

 急いで走ってきたんだね。

「あっ」

 どうしたんだろ?

 ボクと目があった瞬間に鏡は顔を真っ赤にして目をそらした。

 なんかゲッソリした気がする。

 レディには聞いちゃいけないこととかあるから聞かないでおくボクのこの優しさを賞賛されたいものだ。

 もしかして嫌われたのかな。

 だったら飛びてー。
















 あれから30分経った。

 なのに、来ないよ。

 最後の一人が。

 姉さんは緊張が頂点に達して「ハルちゃんペロペロペロペロペロペロ」って瞳孔が開いたまま唱えてるし。

 姉さん、涎たれてるよ。

 ボクはポケットからポケットティッシュを出して姉さんのヨダレを拭こうとしたその時だった。

 あの人が来たのは。

「アハハー。遅れちゃったー。ゴメンねー」

 笑いながらその人は入ってきた。

「やっと来ましたか。まったく、あなたはいつもこうだ。時間にルーズだから予定の1時間前に集合するように言ってあるのに、それでも30分遅れなんて」

 イライラしてはいるが矢波が敬語を使うってことは4年生だな。

 そして今1番の問題はその人が男か女かだ。

 男なら僕の勝ち。

 命令はもう決まってる。

 女なら姉さんの勝ちでボクは大人にされてしまう。

 恐る恐る僕と姉さんは遅れてやって来たその人の顔に視線を向ける。

「ふふ、ふふふふふ。勝った」

 僕の隣の姉さんは喜びに震えていた。

 最後の一人は、とても綺麗な女神様だった。

 やっちゃった?

どうしましょう。

ストーリーが思い浮かびません。

助けてください。_(_^_)_

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