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飼い主のいない憂い
うなだれる木通が
ふ
と過ぎり
つっかけを履いて会いにゆく。
大きな篩をして
こうべを垂れる草ともども
熟れた柘榴が腸を撒き散らすうえを
闊歩し、斃して ああ、
糠床に足を突込むようだ、
ぶどう酒をすあしで拵えるようだ、
傍らで死を生が蹂躙する
傍らで絶えず淫靡と快楽のすきまに
死が這入り込んでゆく
ずぶずぶと
何時までも手元に届かなくて
飼い主のいない、憂い
永らく静謐を野放しに
物見高い心のありかはふらふらと
ふらふらと
飼い主を亡くした憂いよ
おいで
これから遠雷を眺めにゆくよ
きっと木通は、すっかりと
熟れていることだろう