くっつきロボット
廃墟で一匹の生き物を見た。
見たことのない生き物で、全身が鉄で出来ている。
形は人型だけれども、私のそれと違い皮膚がない。
小人かと思ったけれど声をかけても反応がない。
奇妙な生き物だ。
身体が完全に鉄で出来ているのに、見た限りでは確かにそれは生き物なのだ。
少なくとも私のよく知る生き物……それも人間によく似ている。
顔もある。
表情も浮かべてる。
もし、これが人ならば心配しているのだとわかる顔。
眉を曲げて、困り顔で。
鉄が軋むのか動く度に音がする。
捕らえて見たが抵抗らしい抵抗はない。
代わりにこちらの胸に思いきり頭を当ててくる。
気味が悪くなり突き放そうとしたが、先ほどまで抵抗がなかったのに、やけに躍起になって頭を当ててくる。
諦めて受け入れると、その生き物はおよそ一分耳を当て、やがて顔を上げて呟いた。
『異常なし。よく頑張ったね。お母さんも褒めてくれるよ』
声。
言葉だ。
意味は分からなかったけれど。
驚いた私は喋れるのか問いかけたが、それはニコリと笑うとひょこひょこと歩いて廃墟の何処かに姿を消した。
諦めて廃墟の探索を続ける。
幾つもの寝床のある不思議な場所だった。
途中、奇妙な絵画を見つけた。
まるで光景そのものを切り取ったかのような精巧な絵画で、そこには先ほどの生き物が描かれており、私には読みたくとも読めない古代文字が書かれていた。
『新型ロボット。小さく、可愛らしく、子供の心音を聞くだけで身体に異常があるか分かります』
古代文字は私には読めない。
けれど、書き写すことはできる。
最早、集落の外に出ることができない長老は文字を一つ、文章を一節、持って帰るだけで子供のように喜ぶ。
だからきっと。
「喜んでくれるかな。こんなにあれば」
今日の土産話も喜んでくれるだろう。
そう思いながら一人ほくそ笑み、私は文字をすべて書き写した。
*
俗に言う人が滅びた時代の話だ。




