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Death such as in nightmare  作者: C.コード
Episode.3:Wonderer's load
65/73

Miyanokouji Load

サブタイトル『Miyanokouji Load/ 宮ノ小路の道』

地平線から太陽が姿を見せ始めた。

その時にはすでに俺たちは旅路の支度をしており、

行動に移れる状態だった。

俺としては狩猟隊の行方はいざ知らす。

今は能力に頼るほか、道はないわけだが……


「うーん、見えない……。」

聖奈には何か見えているのではと思ったのだが、勘は外れてしまった。

どうやらあいつらは相当遠くまで逃げおおせたようだ。

「さて、どうしたものか……。」

「見つからなかったのか?」

「ああ、お手上げだ。」

「マジかよ? んじゃぁ、俺たちこの先どうすんだ?」

「さぁな……それは硲が決める事だ。」

俺は、ただ聖奈を手に入れようとしている弥栄がどうにも気になる。

あの時は言いなりだった。仕方がなかった。

だが、もし……もしも『能力が自由に発揮できる』ならば……。

夜中の時の俺はかなり挑発的な態度だった事は覚えている。

誰にも負ける気がしなかったし、それこそどんなゾンビ相手でも屈する事はなかったと思う。

あの状態ならば俺は……美鈴(やつ)を倒す事が出来るのだろうか。






「なぁ、硲。」

「どうしました?」

「お前、どうすんのさ。聖奈でもわかんなかったんだろ?」

「我々一行はただ歩き続ければよいのです。」

「……ちゃんと策はあるんだろうな。」

「練っていますよ。ちゃんと先の事は考えています。しかし……。」

「どうかしたのか?」

「根本的な要素が欠けていますのでね。ただ、もしかすると道はあるかもしれません。」

「へぇ、どんな?」

「それは幽君――――」


その時、何者か分からぬ人影が硲の目に移った。

「あなた……。」

すると、足が止まる。

「何か、用?」

「なかなか、良い目をしてますねぇ。」

「……」

「その紋章……まさか、宮ノ小路家の方ですか?」

「貴様、能力者か。」

「ええ、端くれのものですが。」

「俺には、そういう風には写ってはいないが。」

「宮ノ小路家はまだ人員を寄せ集めていますかね?」

「なんだ、志望者なのか? それなら、能力で探しても宮殿は見つけられないぞ。」

「え、どうしてですか?」

「宮殿には多数の能力者がすでに集まっているからな。密教も多い近頃は、

能力者対策に力を入れている。」

「なるほど。一度、宮ノ小路様に謁見できたらと思うのですけれども。」

「最近は取り込み中だ。だが、少しで良いなら会えるかもしれん。ついてくるか?」

「いいんですか? 我々はスパイかもしれませんよ?」

「かまわんさ。何しろ、宮殿は他の密教には負けん。」

「なるほどね。」










硲のおかげで俺たちはこの男について行く事となった。

宮殿は意外とここから近いとのことだ。

だが……そこまで世の中は上手く事が運ぶはずもなかった。


「なんだ、こいつらは。」

「ああ、こいつらしつこいんだ。どこかに遠征してるっていっていたけど。」

「最近宮殿にたてつく輩がいたが、まさかこいつらが?」

九条と後で名乗っていたこの男。相当の実力をもつ。

「邪魔はもう入らせん。次こそ君たちを仕留める。」

「皆、全力で行くぞ。」

もう、あの時に未練等俺たちにはなかった。

因縁を断ち切るべく、能力の全てを使って彼らを打ち払う体勢に入る。

「俺ももうあんたらに次を与えるつもりはない。」

「へへ、幽に同じく!」

「あの時の僕とは思わないでくださいよ。」

「決着をつけよう。」

「幽にィと一緒なら頑張る!」

「もっかい氷漬けにすんぞ?」

「あなた方には幻滅しましたよ、まったく。」

「愚かですね。」

「美鈴、存分にやりなさい。」

「幽、次は倒れんなよ?」

「全力か、こいつになら、出し惜しみしなくてもよいのだな。」

「くだらん密教の主か、所詮お山の大将よ。」


幕を切った。戦いの、密教と俺たちの大きな戦いが!




「ハァァァ!!」

ガッ 一人が体勢を崩し、地に伏せる。

やはり、もろい。にわか仕込みの戦い方で俺たちはつぶせないぞ!

「喰らいなぁ!」

ゴウッ


「ぎゃぁぁあ!」

思惑通りの断末魔が上がる。ふふん、見ただろ、俺の火力!

甘く見ると、火傷するぜ?


「ハッ!」

「ウグッ」

良成の一打が相手の隙を生んだ。

ドドドドドド!


こ、これは…!

「仕留めるまで気を抜くな。」

九条の一言が重く発せられた。

「は、はい!」

爆発する能力のようですね。


「フッ!」

ドスッ ジャブが入り、アッパーを入れる。

相手一人一人を確実に急所狙いで大門は突き進んだ。

「さ、流石だな。『急所距離(クリティリーチ)』……ここまで便利なものとは。」


「そぉら! 凍りつけ!」

冷気を漂わせ、敵を翻弄する様子はまさに悪魔のような裁きだった。

「凍って動けない奴は砕けて果てろ!」

悪徳信者の創生律(バッドスキル)』の稼働率はフルだった。


「ククク、なんと愚かしい!」

硲の代入による付加は恐るべきもので、それは攻撃面においても変わることなく発揮された。

「……代入、代入!」

次々に相手に向かって衝撃波と手から発する硲。受け切れるものは皆無だった。


「密教とは、こうももろいものですか。」

彼女、美鈴はものともせずに血しぶきを浴びることなく急所急所の連続攻撃。

もちろん、息の根を残さぬように本気であった……。


「僕が弱いと思ったぁ? 『斬鉄拳(スラッシュハンド)』!」

手からの一撃は相手の体を裂く!


「ひゃっハァァァァ! 弱い弱い!」

素でも強い九は遺憾なく実力を発揮していた。

攻撃はよけ、自分の攻撃は外さない。能力なしでも九は強い。


「ハァ! まだだ!」

影山 日向は実力の程は一般人には計れるものではない。彼女も

木刀をふるう一撃一撃が重く、受けられるものではなかった!


「塵どもが!」

九条は爆発の能力者であり、相手を吹き飛ばし、集団としての機能を停止させた。

最も、負傷者、死者も彼が一番多くたたきだしていたであろう。


それでも止まらない密教、一体、こいつらどこまで……!




そうして、日も暮れるほどのあくなき闘いにまで発展していた!

「くそ、こいつらいつまで……!」

「ふぅぅ……一瞬だけ出すなら、炎は何回でも出せる、かかってこいよ!」

「幽にィ、大丈夫?」

「心配するな、俺はまだいける!」


「くそ、いい加減に沈め!」

相手も本気のようだ。全戦力をここでつぶせば、もう密教が生き延びようと、

俺たちに突っかかる事はないだろう。決着は必ず俺たちの方に傾くはずだ。

今の状況が続けば……!!




「けっ、ザコが。あの時査定してやった上層部もこんなにカスなのかよ。」

啓が愚痴を吐く。

「幽ももう終わったよな。」

「ああ。」

「アガガ……!?」

幽の手が、残った人間の顎を掴んでいる。

「こんなはずじゃなかったって顔だな。大人しく俺たちの事なんか忘れてりゃ良かったのに。

とにかく、密教もここでおしまいだ。」

ゴキッ


この力で、密教を終わらせた。俺は、密教を滅ぼした。


「夜になっちまったな。宮殿には明日でいいか?」

「ああ。」

「疲れた。一日も浪費するとは……。」

「とにかく、寝よう。」

そういうとバッタリ倒れこんだ。

この一帯にはゾンビはもういないらしいが、そんなことは関係なしに俺たちは

地面に横になった。そして、意識は薄れ、明日に向かって時間は進んでいったのだった。

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