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Death such as in nightmare  作者: C.コード
Episode.3:Wonderer's load
56/73

They wait upon for the Queen Ⅰ

サブタイトル『They wait upon for the Queen / 女王のために彼らは(かしず)く Ⅰ』


忍ぶる者。


それは確実に迫りつつあった。


確固たる思いで命を遂行するために……!!













地を這いずる思いで建物を縫うように動く。

静かに悟られぬよう、まだ200メートルはあるであろう距離からでも

細心の注意を払い、集中し続ける程に彼らは油断はなかった。

「『透明細工(クリアサイト)』。」

そのうちの一人がじっと壁を見続けた。

やがて辺りを見回し始める。

「……見つけた。」

ピタッと視線を止める。

「動きは止まっている。だが、やや後方のビルの屋上にまだ人がいるみたいだ。」

「誘導作戦は気づかれるか。どうする……フェロモンに切り替えたほうがよくないか?」

「フェロモンは匂いが出る。人まで呼び寄せるかも知れんぞ。」

「……C¹²(シートゥエルヴ)がここまで来るのを待つか?

方向的にはいずれこの付近にまで到達するはずだが。」

「問題はあの人間らが強いのかどうかだ。無能力者なら我々には無害だが、

能力者なら勝算は薄い……。増援は呼べない。勝負の分かれ目だ。」

沈黙が彼らを包む。一歩、進む道を外せば落ちるところまで落ちる。

そういう状況で彼らは覚悟を決めていた。

一度決めた事には迷いがない。しかし、決める前は追及するのだ。

人として、そして主へとつくすものとして。

「……マスク。つけるか。」

フェロモンは自分以外には全て効果がある。それは味方においても同様。

それを防ぐ手段はガスマスクのようなもので遮断する事だ。

「フェロモンの作戦で行こう。ただし、誘導もする。」

「タイミングは、フェロモンのタイミングはいつごろだ?」

「誘導の……爆破が始まったらすぐに使ってくれ。」

戸惑いは捨て去らなければ。その一心が彼らを包んだ。

「いいか、躊躇は無用だ。俺たちは宮ノ小路(みやのこうじ)様に尽くさなければならない。

そしてここから生きて帰るようにと命じられた。生きるんだ! この任務を終えるまで!」

「ああ!」

「その命、生き残るにはハンデが大きすぎるみたいだ。」

「何?」

「人間。総勢12名。囲まれたらおしまいだ。しかも、『お告げ』通りだ。」

「……元から想定内だ。『お告げ』は外れない。だとすると、

まともに戦って勝てる相手ではない。フェロモン作戦で行く!」




「しかし、いざ決行してみるとな……。『念派系(テレパス)』がほしくなってくる。」

「フェロモンは重要な、作戦の要だ。俺たちと同じだとすぐに気付かれるから、

敢えて一人にさせて距離を置いた。だが、……いや、俺たちに失敗の二文字はない!

ここまで来たからには何があっても成功させなくてはならないんだ!」

道路を挟む2組。片方は2人、片方はフェロモンの能力を持つ1人。

この間、挟んだ道路から約100メートルの付近までC¹²(シートゥエルヴ)は近づいていた!

「行くぞ!」

男が右の手のひらを前に出す。すると……


シュボッ!  燃えたぎる球が出現した! 輝くそれは今も高い温度を周囲に放っている!


彼はさらに集中することで球をより大きくため込んだ。

「この規模なら! ……おっと、迎え撃つ分も必要だったな。」

左の掌も上に向けると、やがて熱量を持つ球が出現した。

左も右と同様の大きさにまでため込むと、

彼は左の球を目の前の道路に向かって放った!


ドゴォォッ!


派手な爆発音、コンクリートを弾け飛ばすほどの破壊力、粉塵が舞い上がる。


「ヴゥォォォォォオォオオォォォ!」

これに反応したシートゥエルヴ。ここまでは通常の計画通りの算段だ。

そしてこの声が発せられる前にはすでにフェロモンが向かいのビルの間から

匂いと共に漂わせる準備が始めっていた。


「今回は……『冷静』のフェロモンだったはずだな。」

『冷静』とは名ばかりだと、能力者自身の彼は思っていた。

相手にはただ落ち着きを利かせるための能力だったはずが、このフェロモンは

効力がやや高いため、それ以上の効果をもたらしてしまう。

過剰なフェロモンも、コントロールがきかないために多く使用してはならない。

が、それはマスクをしている味方には無効。外野の人間には有効なのだ。

最も、彼らが邪魔をする事は杞憂であると祈るばかりである。


やがて地を駆ける新堂が響いてくるが、その歩行速度は徐々に鎮まった。

「ヴォォォ……ヴヴ」

安全に静まった。

「おい、人間どもの守備はどうだ?」

「……屋上の外だ。降りてこちらに接近している。間違いない、彼らはここにくる!」

……どうすれば、爆風はフェロモンを吹き飛ばす。ここは無風だが、

フェロモンは使い続ければ徐々に一体を満たすだろう。

問題はいかに相手に悟らせないかだ。

俺たちが……命をかければ彼らは戦意を喪失させる域にまで彼らはフェロモンで堕ちる。


ただ、彼らは屈強な猛者どもだ。一度攻撃の姿勢を見せれば殺されることに……。

時間稼ぎすら、俺たちには許されないことなのか……!?


「……早まるなよ。俺たちは、シートゥエルヴが『子を産む』瞬間まで守り抜く事だ。

俺たちが死ねば……子は殺されるかもしれないし、

あわよくば敵に服従させられるかもしれない。」

本命をもう一度耳にするが、ますます現実的な作戦が難しくなる。

……戦わずに、相手に許しを、命乞いをするしかないのか?


いや、それも選択肢の一つだ。死なずに命を全うする方法。それが必要なんだ!

今はそれしかすべはない。

「……どうする?」

「戦うのはダメだ。だから、戦意は見せない。俺たちは素直に相手に頭を下げる。

それしかない……。化け物はシートゥエルヴだけじゃないんだ。」

「分かった。ならその役目は俺がやろう。」

「な、な!」

「俺は壁を透けるように透視する能力しかないからな。

フェロモンも、爆撃も大事なスキルだ。俺が欠けるならまだしも、他が欠けると支障は大きい。」

「……」

「だから、俺が行く。隙あらば、その右手をぶっ放せばいい。

采配は、お前に任せるよ。『(はやし)』もフェロモン使いで通ってきたんだ。

異論はないはずさ。あいつは察するのがうまいからな。」

「馬鹿野郎……! だからって――――」

「いいから、ここは任せてよ。大丈夫、シートゥエルヴについては上手くだますから。

後は、お前の隙にすればいい。北山。」

そう言って、大きく息を吸ってからマスクを外す。

それをその場に捨て、道路に走る。


総勢12名の多勢に向かって走るのは無茶がある。

不安を紛わせ、生を祈り、彼らは無言で潜み続けた。

なぜ彼らの元へ走ったのか、答えは簡単だ。フェロモン領域から脱出するためだ。

マスクを着けたままじゃ意図が伝わる。そして彼は

このにおいの原因もシートゥエルヴが関連していると『偽の情報』を伝え、

手中に落とす。それが魂胆だった。

やがて領域を出た彼は、止めていた息を吐き出し、新たな空気を吸い込む。

「ハァ、ハァ」

領域圏内は広くなっていき、もうすぐここも満たす。その前に彼は歩いた。

「さてと、狩猟隊か、それとも民間人か?」

「化け物の方から歩いてノコノコ来たってことは関係ありなんだろ。」

……相手も馬鹿じゃない。できうる理解はできていて、こちらには隙を見せない。

「君たちは、あれが目当てなのかい?」

後ろを指差す。シートゥエルヴが据わっていて、動く様子はない。

「……さぁな。」

「お願いです。命だけは、命だけは……!」

彼は頭を下げ、膝を地面に付けた。

「どういうつもりだ。」

「……お願いです。僕とシートゥエルヴの命だけは……勘弁してください!!」

「虫がよすぎるとは思わないか? あり得ない話だ。」

「どうして、あなた方は狙うのか。その理由だけでも、利かせていただけないでしょうか。」

「……どうする?」

「冥土の土産にはちょうどいいんじゃないでしょうかねぇ?」

やはり、俺はもとより殺される。そういう風に相手に決定されていたのだ。

俺だけが出てきて良かった……。

「俺たちは、普通にあんたらを始末しに来たんだ。あの怪物も、お前らの命も。

そうしなければならなかったんだ。」

「そういうことです。」

ムゥゥ……ダメだ。なら、悪あがきに終わっても、いいだろうか。

フェロモンを吸わせ、蹴りをつける。それが、最後の……。

「分かりました。ならば、せめてシートゥエルブの元でお願いします……。」

殺される。殺される。殺される。


だが、焦りや焦燥はない。なぜだろう。覚悟を決めたから? それとも、……。


「う、ここ、匂いが!」

「シートゥエルヴのせいです。ここを根城にするつもりだったのでしょう。」

「まったく、あと50メートルが苦しいぞ!」

愚痴をこぼす相手の面々。

フェロモンだとも知らずに。


これで、大体OK。これで勝てなければ、我々には元から勝機などなかった。それだけの話だ。

そしてついにシートゥエルヴにまでたどり着いた。

林も、北山も、ビルの間から顔は覗けない。場所を移したのだろう。それでいい。

後は、時間をかけて落とすだけ。俺が、こいつらを落とし、皆を守る……。


「うわ、なんか気持ち悪くなってきた!」

胸ガッと押さえて一人がふらつく。

「あ、俺も……!」

「目が霞んで……!」

俺も、そろそろだろうか。髪の長い白衣の研究員だけはなぜか平然としているが……。

膝を落とす。そろそろ、俺も限界だ。体を張ってもここまでしかできなかったか。

命は、安いな。とてもじゃないが、『普通の命』一つじゃ軽すぎるよ。

覚悟を決めてもこの程度……。

林、北山、そして、宮ノ小路様――――


「怪物を始末、いやでも、これは……。」


――――後の事は、頼みます……!!


ドゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォ!


声を発する間も与えないほどの威力と炸裂音。

彼が、命を、意識を奪われる感覚をかみしめながら、最後の目を見開いて見た光景。

それは、まばゆい程の爆発の光だった!!

途中からおかしな部分がありましたので、

前部も修正しておきます。仲間の総勢は12名でした。すみません!!


感想なども受け付けております。何卒、よろしくお願いします!

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