The assembled company
執筆中に突然用事が入り、急ぎめで執筆してしまいました。
文章を修正しましたので是非見てくださいね。
サブタイトル『The assembled company / 集いし者達』
俺は粗方始末したゾンビを置き去りに、藤島達が駆けた道の後に続いた。
「あ、新堂! 早かったな。さっきはホント助かったよ! サンキューな!」
「いいってことよ! 俺達、修羅場を潜り抜けてきたメンバーじゃないか。」
「ああ、ところでそれ、俺の木刀か?」
「ん? ああ、これか。さっきのゾンビの背後にこっそりまわろうと思ってたら、偶然木刀が俺の足元に落ちてな。
ついでがてらにって感じでとってきたけど。ホラ、次は絶対に離すなよ?」
「おう、すまねぇな。」
「新堂、ゾンビはもういないか?」
「ん~、この辺はもういないと思う。女子供とその護衛はどこにいったんだか……。」
「ああ、女子供なら1階だそうだ。」
「1階!? マズぃぞ。藤島、行くぞ!」
「まぁ待て、そう焦るな。確かに1階だが、頑丈なバリケートを作って立てこもってるんだ。
言ってしまえば、2階経由じゃないといけない場所なんだ。だから安心して1階に籠れるってわけさ。」
「な、なるほど。そしたら、さっきの2階からの悲鳴はどうして?」
「食糧の確保だったらしい。バリケートを作った事で食品売り場までの距離がグッと伸びたからな。
皆で手分けして運ぼうってことになってたんだが、それでこの有様だ。ほら、2階に上らなとダメだろ?
ゾンビってホント厄介だな。」
「そ、そうだ。生存者がいるならコンタクトを……。」
「よし、早速行ってみよう。」
「バリケートの中は向こうのエスカレーターを降りた先だ。俺は向こうで手当てしている岸田と一緒に後で行く。」
「分かった。必ず戻ってこいよ。」
「そんな大げさだなぁ。岸田がいるんだぜ?」
「だといいんだけどな。」
大門さんが自信満々に言うので俺たちは信じてエスカレーターを降りた。
「さて、ここがバリケートの中だな。」
「うわわ、ゾンビ……の死体?」
「向こうにいるみたいだな。」
俺たちはバリケートの奥を進んだ。すると、本当に女子供、それに護衛を務めていたらしい、
武器を手にした人や、体格の良い男も一緒だった。
「君達も食糧目当てか?」
リーダー格の雰囲気を放つ男が言った。手には金属バットが握られている。
「そ、そうです。」
「そうか、よくここまで来れたな。ここは安全だ。そういえばさっき1階で愉快そうな声が聞こえたが、
あれは君達の声なのか?」
「あ……」
そ、そういえば!! テンションが上がっていてあの時はとんでもないような事を……!
こ、このままでは信頼に影響が…。
「その様子だと君達のようだな……。」
「あの、俺達、メンバーを集めてるんです!」
「メンバーだと?」
「はい、ゾンビに対抗するためにはどう考えても仲間は集まったほうが有利です。」
「確かにそうだな。だが……仲間を集めてお前はそいつらを導いてやれるのか?」
「導く……?」
「そうだ。仲間はいればいるほど、護衛も必要になってくる。集める食糧の量も増えるし、
小数精鋭で今まで頑張ってきた君達には無理があるだろう? さっきの声も尋常では
なかった。そんな信用もないやつらの言う事など聞けないな。」
「な、…………そうですか。藤島、行くぞ。」
「お、おい、新堂!」
「これ以上何を言っても無駄だ……俺達は信用を欠いた。これは当然の結果だ……。」
何をやっているんだ俺は! 大事な正念場で相手の信用を欠いてしまった。
これでは、チームのリーダー失格だ……。
「ま、待ってくれ!」
突如、護衛の後列の男が声を上げた。
「そ、その人はの命を救ってくれた人だ。 そこまでキツく言わなくても大丈夫だぞ、きっと。」
「お、俺もだ、ギリギリのところで助けてもらったんだ! さっきのは言いすぎなんじゃないか?」
「きっと良い人達ですよ。それに、こんな世界でも赤の他人を助けてくれるような人、
悪い人のはずがない!」
「…………」
リーダーと思しき人が真剣に考え込む。さっきのは助けた人たちじゃないか。
最初の人はゾンビの顎を蹴りあげた人。次にしゃべったのが、椅子で押していた人、
最後の人が、知能を持った厄介すぎるやつに襲われそうになってた人だ。
「新堂、どうだった?」
大門さんが聞いた。藤島が状況をこっそり耳打ちしてくれた。
「今がちょうど正念場なんです。大門さんは新堂を信じて見ててください。」
「あ、ああ。」
「分かりました。」
「岸田吉成まで聞いていたのか!? 大門さんだけに耳打ちしてたんだけど……。
も、もしかして、吉成って意外と地獄耳?」
「……わかった、君達のここへの出入りを許す。」
リーダー格の男が言う。
「ありがとうございます!」
頭を下げて言った。
「ね、ねぇ。一番前の君。」
「は、はい?」
一人の女子高生のような女性が聞いてきた。
「あなたって、新堂って呼ばれてたけど……新堂幽って名前だったりする?」
「え、ああ、そうだが……。」
「噂は聞いていたけど、意外と暴力的なイメージじゃなさそうな人ね。」
あ、噂はやっぱり知ってる人は知ってるんだね……。
「アハハ、そう言ってもらえると光栄です。」
そりゃ、そうだろ。高校に入ってからは律儀になったんだからな。
制服もしっかりボタンはきちんと閉めていたんだぞ、俺。
「え、地区最強っていうあの新堂!?」
「こいつは凄い来訪客だな……。」
「新堂君が味方なら安心ね!」
「よろしくね、新堂君!」
いっきに場のモチベーションが上がった。あれ、俺ってそこまで凄い扱いされてるの?
なんか贔屓されているみたいで気が引けるんだが……。
「そ、それと、ここは本当に安全なんですか?」
「ん、ああ、そこの壁際に置いてあるでかいやつでエスカレーターを塞げば、
寝床ぐらいは作れると思うんだ。 だが、実際はまだ心配だから、護衛が夜も見張りをするって感じだ。」
「な、なるほど……。や、やばい、そろそろ……目が……?」
「おい、新堂!?」
「新堂君!?」
俺はばったりとその場に倒れた。目が開かない。俺の身に一体何が……!
すまない、皆、俺はもう……ここでリタイアだ。皆だけは絶対に助かれよ。
藤島、大門さん、吉成。いままでありがとう。ここで、さようならだ。もっと皆と一緒でいたかった…。
視界だけじゃなく、意識まで暗闇に飲まれていく気分だ。 俺の意識は闇の中へと消えていった……。