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Death such as in nightmare  作者: C.コード
Episode.1:Around the Yokosaka Town
4/73

Be dueling!

サブタイトル『Be dueling! / 決闘中!』

叩き壊されていた自動ドアを、俺たちは形振(なりふ)り構わず突破した。

その先には床でピクリとも動かない死体と器官でさっちしてこちらを振り向くゾンビが待っていた!!


「こ、これは……ッ!」

ゾンビが5,10,15……だめだ、数えてる場合じゃない! とにかくここで生存者とコンタクトをとらないと!

俺は小声で指示した。

「皆、ここは下がっててくれ。」

「な、どうして!?」

藤島が聞く。

「この人数相手ではとてもじゃないが全員で無傷での突破は不可能だ。幸いにも入口は壊されていて、

以外と狭い。この狭さだと、おびき寄せる事が出来れば少人数のゾンビを延々と俺が片づけることで、

なんとか突破口が見えてきそうなんだ。これ以外は時間がかかりすぎるし、安全性に欠ける。

だから…………頼む!」

「あ、ああ、新堂がそこまで言うなら……。」

藤島も納得してくれたみたいだ。

「ハハ、心配ないって。地区最強ってお前も言ってくれただろ? それに新堂って呼び方、

俺の素性を知ったやつらはみんなそんな呼び方はしてくれなかった。呼ばれてみて俺、嬉しかったんだぜ?

だから、皆はここで見ててくれ。俺が、皆の期待にこたえてやるよ!」

「は、ハハ、そうか、……今後もよろしく頼むぞ、新堂ッ!」

ふ、藤島……!

「おうよッ!」

うおおお、今の呼び方はマジで親友っぽいような感じだ! やばい、俺、テンション上がる!!

「藤島は後方の見回りをしてくれ。大門さんは懐中電灯で店内を照らして下さい!

視力が機能してるやつなら気づくはずです!」

「よし、ゾンビ共! こっちだ!!」

大声で大門さんが叫んだ! 懐中電灯が店内を照らし、視力があるゾンビがこちらへと寄ってくる。

目がおかしな方を向いているゾンビもきてるが、多分大門さんの策略だろう。

耳が機能してるやつなら確実によってくるぞ!

「…………あの、新堂さん。」

「ん、どうした? 今から忙しくなりそうなんだけど!」

「皆も頑張っているみたいですから、僕も特技を見せようと思います!」

「ん、特技?」

「例えばこの石。これを使ってですね……。」

何の変哲もない石。そこら辺に落ちてたやつじゃないか?

「……ハッ!」

狙いを定めて石をゾンビの群れに投げつけた!

石は最前列のゾンビの頭いや、目に命中し、ゾンビが1体床に崩れ落ちた。ゾンビは目を押さえている。

「僕は投擲(とうてき)命中精度(コントロール)が人一倍優れているんです。

僕の投げた物は絶対にはずしません。これが、僕の特技です!」

「おお、凄いじゃないか! なら、重量のありそうな石でも持ってきて、手伝ってくれ!」

「はい!」

岸田は嬉しそうに重量のある石を拾いにすぐ向かいのところに落ちている石なんかを拾いに行った。

「さて、そろそろだな!」

ゾンビがいよいよ破壊されている扉にまで迫ってきた。壊れて崩れていて、通れるところが狭いからこそ、

この戦法が効果的なんだ! こんの、うめき声ばっかりだしやがって。今楽にしてやる!

「うらぁッ!」

大きく斜めに振り下ろした木刀はゾンビの頭部を正確に狙っていた。頭部への強烈な攻撃は、

やはり有効なようだ。それと、さっき石に命中して床に倒れたゾンビがいたけど、

あいつ、目を押さえていた。痛覚があるゾンビも存在してるみたいだな。

「まだまだぁ!」

すぐ後ろに控えていたゾンビをも頭部への一撃だけで沈め、続く3,4体目もあっという間に始末した。

ここまで倒したら次のチーム待ち。最前列ゾンビがまた入口のギリギリまできたら一気に頭部への

攻撃だけで方をつける。これを延々と繰り返すだけでいいんだ。俺らはこの方法で生き延びてやる!

「へへ、案外もろいな。藤島、守備はどうだぁ?」

「おう、全く問題ナーシ!」

「アッハッハ、さっさと始末してくれよ、新堂さんよぉ!」

「おう、任せとけ!」

「新堂さーん! 石たくさん用意できましたよー!」

「んじゃぁ、次のゾンビチームを潰したら一気に沈めてくれぇ!」

「はーぃ!」

こいつは確実にいけるぞ!  ……って待て待て、俺達、テンションがおかしくないか?

ゾンビだらけでむしろ焦っていてもいいはずなのに、俺らはなんか楽しんでないか??

気でも狂ってしまったのか、俺たちは……でも、気にすることは無いか! 何しろ今は楽しいんだからな!

そろそろ次のチームを始末しないとな。こっちに出てきちまう。

「そぉらッ!」

右下から左上への軌道で頭部を攻撃。ゾンビは俺から左側へとばたりと倒れ込んだ。

意識なんて残さねぇからな!

また入口の狭い通路の分だけ始末。そろそろ足場にゾンビがかさばってきたな。

うざったい限りだ。念のため、足場の安全のために頭を確実に割っておくべきか?

まぁ、そんなことは後だ後! さぁ、出番だぜ!

「岸田吉成ー! お前の出番だぞ!」

「はいはーい! 任せてください!」

そういうと、遠くにいるゾンビに今度は命中。もちろん頭部狙い。

入口の高さは案外高くないのに精度は素晴らしい! 吉成、お前はこのゾンビだらけの世界で、

唯一の遠距離攻撃が出来るやつなんだな! 頼もしい限りだ!

次々と頭部へ石が降り注ぎ、やがて大半のゾンビが地に伏した。

石で息の根を止められたゾンビもいれば、まだ息があるゾンビもいる。

まぁ、どの道起きれないようじゃ、頭を潰すのも簡単だろう。

「ふむふむ、後6体ぐらいだな!」

大門さんが言う。

「そろそろ突破するぞ!」

「おおー!」

と、他の3人が言う。

「残りのゾンビは俺が全部始末します。皆は手にしてる武器で地面でかろうじて息があるゾンビの

始末を!」

「御意!  ……って一度言ってみたかったんだよな! なんかカッコィィじゃん!」

藤島が言った。

「十分すぎるほどカッコイイじゃないか!」

「あははは、お前には及ばないけどなー。」

なんか、この状況でこの会話、不自然すぎる。あれ、頭では常識的に考えれるのに、

行動は全くおかしい。だ、だめだだめだ! こんなんじゃ、生存者とのコンタクトなんて取れない!

お、俺だけは正気に戻らないと。

そんなことを思っていると、4人全員がゾンビ6体ぐらいを通り過ぎていた。距離は遠い。

俺達どんだけ突っ走ってんだ!

「アハハ、ハ、そ、それじゃ、処理よろしく。」

俺が言った時には皆すでにナイフやら包丁やら木刀やらで床に倒れているゾンビの頭を、

生死を問わずに叩きまくっていた。鈍い音がめっちゃ響くんですけど!

「ハッ!ハッ!ハァァァ!」

気合いの入った声とともに3体のゾンビを一気に始末。おっと、左右に1体ずつゾンビが!

「ほっ! はあああっ!」

左の的には強烈な腹部への突き、左を落としたところで右へは大きく振りかぶって頭部を割る一撃!

俺、一度行ってみたかった台詞があるんだ。後ろからうめき声が聞こえてくるが、お前に言ってやろうじゃないか。

「背後からとは良い攻め方だな、だが、甘いッ!」

腰を捻って、木刀を横に()いだ。案の定後ろにはゾンビ……って近ッ!

俺とした事がつい慌ててしまい、木刀の軌道が少し下にずれた。

「あ!」

「フゴッ」

ゾンビは床に倒れこんだ。息の根はもうない。ハヤッ! 死ぬの早いだろ!

ああ、そうか、ずれた軌道は頭部ではなく、首を狙った一撃へと劇的変化を起こしていたんだね!

なるほど、首も弱点か。首の骨を砕けば、それだけで即死級だからな。

血こそでなかったものの、首の(ひね)り具合がこれまたグロテスクだ……。

「おーい、片付いたぞ、そっちはどうだー?」

「全部始末しといたぜ!」

「案外ちょぃもんですね。ゾンビって。」

「俺の木刀の活躍の場がもちだくさんだったぞ! 俺ももう一人前のゾンビバスターってかぁ?」

「ハハハ、まだだろ! でも、これから俺たちはそうなるかもしれないんだぜ?」

「そうだな、そうだったな! これからもこのメンバーで生き残ろう!」

「ああ!」

「僕もこのメンバーは良いと思います!」

「偶然(そろ)った面子(めんつ)がまさかこうも愉快なやつらだったとは!」

賑わってるな俺達! だが、まだ恐怖は終わらないぞ……。

「きゃあああああああああああ!!」

「来るな、来るなああああ!」

「怖いよ、お母さん! お母さぁぁぁん!」

「この化物めぇ!」

その後にゴスッと鈍い音が……


「まずぃ、2階に行かないと! 救える命はまだまだある! 行くぞ!」

「おう!」

「はい!」

(たぎ)ってきたぜぇぇ!」

藤島はテンションが特に高いな。いや、木刀を持ってる俺も相当高いんだけどな。

木刀を持ってるとテンションはここまであがるものなのか?

止まっているエスカエーターを俺たちは走りぬけた。2階には……確かに生存者がいる!

「皆さん、無事ですか!? いるなら返事を!」

俺が叫ぶように声を上げた。

「藤島と俺はゾンビ討伐と援護。吉成は遠距離で援護。大門さんもけが人の手当てなんかをお願いします!」

「了解だ!」

「うし、派手に逝かせてやる!」

「僕、がんばります!」

その時だった。

「だ、誰か、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇ!」

「今行きます!」

速攻で俺が声のもとへと走った。あ、あれはヤバイ! ゾンビがもう生存者のところまで!

だめだ、間に合わない! だが、いま生存者がなんとか時間を稼いでくれれば……!

「ゾンビの顔を蹴るんだ!」

とっさにその声でやられそうだった男はゾンビの顔に蹴りを入れた。

「うわわっ!」

ゾンビは床に倒れる。なんとか間にあったみたいだ!

「このクソが!」

木刀で勢いよく頭をたたき潰す。この木刀も、あの時はきれいだったのに、もう血だらけだ。

「あ、ありがとうございます!」

「礼には及びません。あなたは他の生存者達をまとめてください。ゾンビは僕も始末しますので、

援護を呼んでください! お願いします!」

すると男は言った。

「そ、それが、他の武器を持ったメンバーは他の女子供を守るのに手いっぱいで……、

俺たちにかまってる暇は無いんだ。すまないが、援護は……。」

「なら、武器になりそうなものの調達を! 軽めで丈夫で、棒状の物があれば回収してくれませんか?」

「わ、わかった。探してみる!」

男はすぐに走って探しに行った。

「あんなに急がなくてもよかったのに。」

すると、次の悲鳴が!

「クソ、クソ、どこから沸いてきやがるんだこいつら! どっかにいけ!」

荒い息使いで一人用の椅子を持ってゾンビを押している男が!

もう息も上がってるし、このままでは男の命が!

「クソ、クソ、ハァ、ハァ、ハァ、く、来るなァァァ!」

ついに渾身の力で男はゾンビの群れに向かって椅子を放り投げた。

7体のゾンビに対して3体が負傷、2体が軽傷と言った運の良いダメージとなったが、これじゃだめだ!

「ハア!」

男に気を取られていたゾンビに渾身の力で木刀を振り下ろした!

続いてもう1体! 更に男の近くまで寄っていたゾンビの脳天をカチ割るほどの強烈な一打!

軽傷のもう1体のゾンビを突きで飛ばし、その後に再び脳への一撃。

椅子でけがしたゾンビはまだ動けそうになさそうだ。

「大丈夫ですか!? ここは危険です。さぁ、逃げましょう!」

「あ、ああ、すまない! 君には感謝の言葉も出ない!」

「こっちです! あ、僕はこの椅子で動けない奴らも始末した後に行くんで、お気になさらずに!」

そういって何の迷いもなく動けないゾンビ3体相手にそれぞれ1ずつ、木刀を振り下ろした。

「さて、次は……。」

「な、なんだこのゾンビ!? クソ、いい加減にしろ!」

「その声は藤島か!」

走り寄って声のもとへ! 藤島の木刀をゾンビが手でつかんでいる! こ、これは一体…

「グッ……は、離せ!」

「…………」

ゾンビは何もしゃべらない。当然だ。ゾンビはゾンビ。しゃべるはずもな……

「キサ、マ ニ コンナ、モノハ 必要ナイ」

「なっ……!」

「ぐわっ!」

ゾンビが掴んだ木刀で藤島を押すと、藤島の体制は崩れ、床に倒れ込んだ。

「コン ナ、モノ」

ゾンビは木刀を投げ捨てた! ってこれは、捨てたのは俺の方じゃねぇか!

カラカラと床に落ちる音。そして俺はちょうど自分の足元に落ちた木刀を拾った。

「ツ、ギハ、 オマ エ ガ シマ ツ サレ ル ト、キダ」

「く、くそ! やっぱり俺じゃゾンビには勝てないっていうのか……」

俺は気配をでいるだけ出さずにそのゾンビの後ろへと回った。

「オレガ キサマヲ クッテ ヤロ ウゾ」

ゾンビが口をあんぐりと開けて藤島に襲いかろうとしていた!

「うわ、来るな! 新堂さえいてくれれば! クソがッ!」

上手い具合に藤島が繰り出した蹴りが(あご)にヒットしたらしく、勢い余って仰向(あおむ)

になるように倒れた。よし、俺の出番はここだろ!

「いや、違うな、お前が俺の木刀の餌食(えじき)になるんだよ!」

そう言って木刀を思いっきり顔面に叩きつけた!  鈍い音と、つぶれた顔面。想像以上にグロいな。

「藤島!」

「た、助かったぁ! ありがとう!」

「逃げるぞ! こいつ、危険だ!」

「うし!」

こうして藤島を逃がした。さて、俺はこいつにもう一太刀浴びせなくては!

ゴス 脳天への一撃。こいつ、ゾンビのくせにしゃべるとは。知能が生きてやがったんだ!

この事を急いで報告しなくては!


俺は粗方始末したゾンビを置き去りに、藤島達が駆けた道の後に続いた。

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