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Death such as in nightmare  作者: C.コード
Episode.2:Daily of a new base
35/73

Unknown

サブタイトル『Unknown / 正体不明』

広大な範囲を占めるアジト内で、俺を含んだ総勢8名は散った。

これからは、藤島達抜きで頑張らなきゃな……。

ここでの生活にも早く慣れることを願うばかりだ。


俺達はまず先ほどのリーダーの話を参考に、重要人物へ挨拶をした。

加川(かがわ) (かず)こと、リーダーはかなり忙しそうに去っていってしまったから、

きっともうしばらくは質問の機会を伺った方がいいだろう……。


アジトの主要人物はリーダーによると、

上から目線で超クールな『座光寺(ざこうじ) (みやび)』。

体格の割には比較的フレンドリーで温厚な『相馬(そうま) 來斗(らいと)』。

相馬 來斗の彼女で若干恥ずかしがり屋な『夜久(やく) 玲南(れいな)』。

更に、相馬さんからまた聞いてみると、

現在のアジト団員の最強能力者で仮名『Lunacy(ルナシー)』と名乗る少年ぐらいとのことらしい。

そしてLunacyは今日、遠征に参加していて、帰還するのはもう少し後になるそうだ。

しかし、最強の名を自分の者にしたLunacyは自分の過去の記憶がほとんどないらしく、

おぼろげに残っているものも、ほとんどが過去の特定に迫るほどのものは無かったと言っていた。

そんな謎多き少年だ。できれば、彼とも今日中にあいさつ程度は済ませておきたいな。







「ああ~、緊張した。」

「雅とか言う人、ずーっとこっち見てたよ。」

聖奈が座光寺 雅に目をつけられている。

座光寺もずば抜けた能力の持ち主で、相手の思考を読み取る能力を持っていて、

俗に言う『念力系(テレパス)』と呼ばれる能力者だ。

そんな彼がどうして聖奈に目をつけたかと言うと、聖奈だけが思考を読めないと言い出したのだ。

結果的に聖奈の血については口外されることは無かったが、

おかげで注目されてしまう事になってしまった。できれば知られたくないんだけどなぁ。聖奈の事。

ちなみに『相馬(そうま) 來斗(らいと)』さんは『加護系(セルフ)』の能力者。

夜久(やく) 玲南(れいな)さんも同じとのことだ。

「しかし、思ったよりは早くなじめそうだったな。」

影山さんが言った。確かにそれほど苦もなくなじめそうだ。


アジトの領域内を把握すべく、歩いていると突然頭の中に語りかけてくるように話しかけられた。


――――8名の部外者を確認、解析――――


「な、なッ!?」

「な、なにこれ!?」

「これは一体……!?」


――――判明、無能力者5名、能力者3名。詳細解析開始――――


「な、なんだこれ!」

「こ、怖いよぉ、幽にィ!」

「頭の中に直で届くような……!」


――――解析率50%、 70%――――


「気をつけろ……! 何が来るかわからないぞ。」

「承知!」

「幽にィ……。」

「大丈夫だ、聖奈。俺がついてる。」

聖奈を落ち着かせていても、内心乱れているのは俺の方だった。


――――100%、解析完了。1名『テレパス、Lv1』、1名『オリジンLv2』、1名『オリジン……Lv8』――――


「なんなんだよ!」


――――ミッション、スタート――――


「その辺にしておけ!」


!?


「ルナシー! こいつらは新人だ。敵じゃない。」

この声は……加川さん!?

「こ、これは一体……?」

「ルナシーの力さ。大丈夫だ。」


次の瞬間、上空から何かがどさっと落ちたような音がした。

振り向くと、人がそこに(かが)むような態勢でそこにいた。

「まったく、早計だな。ルナシー。」

「敵じゃ、ないのか?」

「安心しろ。そう簡単にアジトに敵を入れるかっての。」

「そうか、メモリーしておく。」

「ああ、早いとこ頼む。」

「あの、さっきから使われている語句がちょっと分からないですけど!」

「すまんすまん。それについては後で説明する。それで、こいつがルナシーだ。」

「よ、よろしく。」

「こちらこそ……。」

「おっと、すまない! ルナシー、説明はお前がしておいてくれ! 頼んだ!」

そう言うと、また足早にこの場を去っていった。忙しいのは本当のようだ。

「それで、君達が新人だってのは分かったけど、君は何者?」

目線の先には、聖奈がいた。

「え、え、聖奈の事?」

「そう。君、聖奈って言うんだね。アジトでも類を見ない能力者だ。」

「え、え、でも、聖奈は能力とかわからないもん。」

「嘘をつくな。……と言っても、自覚症状が無いだけかもしれないな。」

「……ッ!」

俺はこの意味を理解していた。自覚症状……は、確かに無かったと思う。

だが、今は認識してしまっている。血だ。恐らく、血の事だろう。これ以外あり得ない!

「もし、判明したなら僕に教えてくれない? すごく興味があるんだ。」

「判明したら、な。」

俺が横からくぎを刺した。ここで歯止めを利かせないと、面倒だからな。

「君には、聞いていないよ。」

「聖奈は俺の妹だ。赤の他人の事でも関係があれば黙って見てるなんてことはできない。」

「フフ、そうか。君が聖奈の兄か……なかなか優秀そうだ。」

「そりゃぁどうも。」

「どっちも、凄い能力者になりそうだ。期待してるからね。」

「期待されてるのかよ……。」

「君達8名は皆優秀そうだから、堕ち込む必要は無いよ。頑張って覚醒しなよ。

そうすれば、あっという間に幹部かもね。」

それを言い残すと、走ってどこかに行ってしまった。って、凄く速いな!

肉体強化が進んでいるのだろうか? ゾンビの影響ってのはホント怖いよ……。




ところで、覚醒って厳密に言うとなんのことだっけ?










―――― 一方、アジトの本部棟 ――――


「さて、そろそろいくか。」

座光寺が言う。

「どこに行く気だ?」

相馬が言った。

「ちょっと、目星をつけている奴がいるんだ。期待しちゃうな。」

「そうか。ま、ほどほどにな。」

「わーってるよ。」


座光寺 雅の頭の中は新堂 聖奈の事でいっぱいだった。

「ったく、やっとルナシーの野郎が離れやがった。これで心置きなく話が出来る。

……『念派察知(ポイント)』。」

静けさだけが残る。

「お、いたいた。それじゃ、行ってくる。」

「ああ。」

座光寺はまっすぐ聖奈のほうへと向かって行った。

以前から含んでいた不敵な笑みを未だに残したままで……。

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