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Death such as in nightmare  作者: C.コード
Episode.1:Around the Yokosaka Town
3/73

Operation name"supplementation"

サブタイトル『Operation name"supplementation" / 補充計画』

俺は、手に持っている木刀を渾身の力を込めて窓ガラスに叩きつけた!!

ガラスに(ひび)が入る。俺は何度もガラスを叩き割った。

やがて遮るものがなくなり、ガラスの戸の鍵を開ける。そして家の正面へ。

「守備は大丈夫だ。……で、どうだった?」

「ああ、多分誰もいないよ。深入りさえしなければ安全だ。」

俺達は割れたガラスの破片が散っている床を土足で入り込んだ。

「家の中を土足で入るのはなんだか気が引けるな……。」

「俺だって気が引ける。」

「そんなことより包丁ですよ。皆さん。」

岸田のまともな発言により会話は無くなり、あたりを警戒しながら台所へと向かう。

調達は仲間に任せることにした。俺は他の3人を守るために当たりへの警戒を解くわけにはいかなかった。

「……あ、あった! 肉包丁!  果物ナイフも!」

「良い包丁が見つかりましたね! 扱いには注意して下さいよ。」

「ああ、せめて収納できるようなものがあればよいのだが……。」

なんだか危なっかしいなぁ……。

「切れ味がよさそうな包丁はこれ一本だけ見たいです。後、ちょっとそこにある棚を調べていいですか?」

「ああ、割と手際が良かったからな。探してもいいぞ。」

「はい、…………」

何か見つかればよいのだが。灯りの代わりになるものとかはやっぱりもっと欲しいところだからな。

「何かあったか?」

「単3電池が買ったままの状態のやつがありました。」

「大門さんの懐中電灯の電池は単3電池で点きますか?」

「ああ、俺のは小型だから単3電池で使える。」

「よし、それを持っていこう。撤収だ。」

ガラスを割ったところから俺が先頭になる形で外に出ていく。家の正面に出たが、

ゾンビの気配はない。冬だから外は暗いのだが、いい加減目が慣れてきた。

「そろそろ目がなれてきたと思います。包丁は吉成。君が持ってくれ。ナイフは大門さんが。」

「分かりました。」

「おう。」

「次の民家はどこにするんだ?」

「あー……包丁で怪我しないとか安全なら良かったんだけど、思った以上に危なさそうだからさ。

他にいい武器は……。灯りもあればいいんだが……。」

「あ、あれはッ!?」

手を前に突き出しながらこちらに向かってくる人影……。視線は感じる。だが、もう少し様子を……。

「大門さん。あいつを照らして下さい!」

「あ、ああ!」

大門さんの懐中電灯の光が人影と思しきものを照らす。そこには青い顔をして血まみれの人の姿があった!

「に、逃げろおおおお!」

俺の一言で全員が駆けだした!

「に、逃げるってどこに!?」

「そんなのわかんねぇよッ!」

俺も無我夢中だった。喧嘩が強いとかそういうのとは関係ない。俺だって少しは怖いんだぞ。

前方だけを4人が走る。ゾンビは追いついてこれるはずもなくすぐに距離は開いた。

走っていると、横から目の向いている方向がおかしいゾンビが右から現れた!

しかしこちらに向かってくる。目が見えなくて耳だけ聞こえるタイプか!

手を前に突き出して耳だけでこちらを探ろうとするゾンビ。俺は空いている脇腹(わきばら)に、

向かって木刀を横に()いだ!

ゾンビは横に叩きつけられ、倒れた。うめき声をあげていたがすぐに起き上がった。

恐ろしい生命力だな。おまけに手ごたえありの一撃なのにダメージはたかが骨折程度。

そんなことをしている間にも俺たちは走ってゾンビから遠ざかった。

「こいつら、恐ろしく強いぞ!」

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、そんなにか!?」

「勝てる相手じゃなさそうだ。」

「やる時は頭を狙え、弱点は人間と一緒だと思う。」

「頭だな? 了解だ。」

「分かりました!」

しばらく走っていると流石に俺も息切れしてきた。冬場は寒いから体力が持たない。

「こ、この辺で休憩にしよう。」

「ぐへっ、つ、疲れた。」

「ゲホッゲホッ、そ、相当、ハァ、ハァ、走ったんじゃないですか?」

「ここまで走ったら流石にな……。」

「思ったけどここどこだよ?」

大門さんが聞く。

「ここは住宅街の橋の方ですね。」

「ならあの橋とは結構遠いな。別の橋なら割と近いけど。」

「何ッ!? ならショッピングモールまでかなり時間短縮が出来るぞ!」

「なるほど……ここで聞くがショッピングモールに突入するか?」

「な、なぜ今?」

「民家で武器は揃ったが灯りがほしいのは事実だ。しかし、外は思った以上に寒いし、

体力も持たないと思う。暖を取って、今日は休んだほうがよさそうだ。」

「ショッピングモールが、最適だっていうのか?」

「それもあるが、生存者との合流もあり得る話だろ? 睡眠も交代でやれば、安全性を高めることだって、

可能な話だ。生き延びるためにはまだまだ足りないものが多すぎる。ここは、危険な所でも、

行ってみるべきだと思う。」

「今危険を冒してまで行きたい場所なのか!? 危ないって!」

「それに、生存者が続々と集っているとしたら? 俺達のような奴がすでにショッピングモールに、

集まっているとしたら? 防衛も完璧だろう。戦力的にも足りていて、食料もある。

それに、団結しなくて戦っていける相手か?」

「う、そ、それは……。」

「リスクに伴う価値はあると思う。知能的にレベルが低いなら、面倒事も起こせないし、

隠れることもできると思う。」

「そうか、お前が言うなら俺も信じてみよう。」

大門さんが言った。

「大門さん……ありがとうございます。」

「僕もその意見に乗るよ。」

吉成も続く。

「吉成……恩にきる。」

「マジなのか、皆。」

「俺は、マジだ。」

俺が言うと真剣な面持ちで考え込む藤島。

「……分かった、俺も行くよ。」

「よし、意見一致で、ショッピングモールへ行く!」

「この寒さ……ヤバイ。もう行こう! 寒くて体が縮こまってもう激しく動けそうにない!」

「よし、橋は近くだ。こっちの橋はそう大きくないから、ダッシュでも駆け抜けれる!」

走ってすぐに橋が見えた。これを渡れば、もう一息だ! ……俺はそうでもなさそうだけど。

「うおおおおおおおおおおおお!」

藤本が最後の力を振り絞ってのダッシュ! 凄いぞ、あの長い橋のダッシュの時よりも早い気がする!

「ああああああああああああああああ!」

大門さんも全身全霊の力で走っている! 冷静さを明らかに欠いているが、

この寒さで天国が近くにあるとなればもう全力で向かわずにはいられないってか!?

一方岸田吉成は……

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、さ、流石にこの寒さじゃ…ゲホッゲホッ、辛……い。」

冷静でありつつもこの寒さで俺の前を走っている。俺はあえてペースを合わせて、

最後尾を走っている。吉成がもし途中でだめそうなら、俺が吉成を助けなくては!

やがて全力で走った大門さんと藤島はペースがガクッと落ちていった。

まぁ……予想はしていたが。

「吉成大丈夫か?」

「え、あ、はい。たぶん……ハァ、ハァ、」

「うっしゃあああ!」

ゴールを目前に大はしゃぎする藤島。俺たちはショッピングモールの外で走るのをやめた。

ゾンビの気配はなし! 素晴らしい! 素晴らしすぎる!! パーフェクトだ!

「み、皆、大丈夫か!?」

「ああ、もちろんだ!」

「ゴールだぜ、ゴール! 天国だ!」

「やっとですね!」

みんな嬉しさを露わにしている。

「よし、それじゃ、ショッピングモールに入るぞ。俺が先頭、右は大門さんが、左は藤島が、

後ろは吉成が見張っててくれ。」

急に緊張感が伝わる。無言で皆が(うなず)く。

すると、突然ショッピングモール内から悲鳴が聞こえてきた!

「うわ、な、なんだこいつ! いったいどこから……待て! や、やめろぉぉぉ! うぐああああ!」

「ゾンビだ! ゾンビが入ってきたぞ!」

「きゃあああああああああああああ!」

「女子供は下がって! ここは俺達が!」


「お、おい、中は大変な事になってそうだぞ!」

「恐らく2階からだ。生存者がいるってこともこれで潔白になった! 突入だ!」

俺が先陣を切ってショピングモールの入口へと走った。なんだかんだで俺、体力がまだ余ってたんだな。

他の3人が揃って、形態を整える。それぞれ配置についた。

「この形態で走るぞ。何があっても俺の先には行くなよ!」

「おう!」

「ああ、そうさせてもらうぜ!」

「いつでもいいです!」

「よし、入るぞ!」

叩き壊されていた自動ドアを、俺たちは形振(なりふ)り構わず突破した。

その先には床でピクリとも動かない死体と器官でさっちしてこちらを振り向くゾンビが待っていた!!

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