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Death such as in nightmare  作者: C.コード
Episode.1:Around the Yokosaka Town
27/73

Observers of occurrence Scene.2

サブタイトル『Observers of occurrence / 観測者の出来事』

『Scene.2 / 回想2』

江田(こうだ) (はざま)視点&番外編です。

事実が組織内で公開されるまでの間にしっかりとプランを練っておきますか。

……やはり、ここまでViltisについて知ってしまうと否が応でも単独行動を取らざるを得ない。

複数犯だと、裏切られる可能性も出てくるし、何より計画を丸ごと取られるなんてことも考えられますしね。

Viltisを使えば始末も用意。生かしたままで何も語らぬ人形を作り上げる事は可能ですからねぇ。

……とはいっても、全ての基盤は今回の公開にかかってます。

考慮を重ねたうえで、穴一つ見落とすことなく……それくらいの完成度で臨みたいですね。

今の私にできる事は自分自身の事だけということになりますか。

とはいっても、最初からこういう事については念のために前もって準備は欠かさなかったので

ほとんどはもう準備済みなんですけどね。


居ても立ってもいられなくなった硲は公開予定時間よりも早く移動を始めた。

そして、いつの間にかやや頑丈そうな扉の中へと足を運んでいた。

「江田氏か。」

「これはこれは、細川氏。久しいですね。」

「まったくだ。江田氏も席取りか?」

「……ええ。私のポジションは不動ですから。」

「なるほどね。そこもいいが、今回はしっかりメモ取れるような位置の方がよくないか?」

「このポジション……何故か落ち着くんですよ。今もこうしてそわそわときているのに、

ここ以外の場所だととても耐えられそうにありませんからね。」

前から3段目。そして端側の机。ここが私のお気に入りポジションなんです。

妙に落ち着く感覚が神経を冴え研がせる気がするんですよ。




暫くして、ようやく公開が始まった。

我々のような、下層部の前に上層部らしき男が立って、説明を始めた。

「まず、人体の体力面での向上の部分だが、ここは――――」

ただひたすらにメモを埋めてゆく。

「ゾンビ化した被験者も同じく大幅な体力向上が確認されているが、

人間にもその効果があったと報告がある。周囲で限られた条件を満たせば生存者にも効能があるが、

こちらもまだ全ては把握しきれていないので、それについては追々公開の機会を設ける。

ゾンビ化した個体に比べると見劣りするが、それでも向上効果は登用可能なレベルだろうと

すでに憶測も立っていて、今後の被検体にはゾンビではなく生身の人間としての被検体も

実験する機会を設ける側に意見が偏っていて、約2週間後に控えている。」

やはり、実験に関しては上層部が勝手にきめてしまっている事なんですね……。

「次に、人体の覚醒の件についてだが、……こちらは先ほどのものよりもかなり発生条件、

及びその効能についてこの場で明確に証明できる物が少なく、今後も実験を重ね、

検証していかないと証明は困難である。しかし、ゾンビ化していない生身の人間が、

危機的状況において覚醒は起こり、様々な異常を引き起こすとの声もある。

これに関しては体力面の向上よりも発生頻度も少なく、今後の研究がカギとなるだろう。」

ドンピシャですか。危機的状況。

さて、早くその異常とやらを公開してもらいたいですね。

「能力は完全な検証ではなく、信憑性も薄いが『治癒』、『斥力』、『超常現象(ポルターガイスト)』等々、

確認されているだけで十数種類に上っている。能力の詳細だが――――――――」






部屋に帰ってメモを読み返す。覚醒の能力が多様すぎて……嫌になりますね。

治癒はゾンビ化の進行妨害。

斥力はゾンビの苦手な成分を常時放出する。

超常現象はその名の通り、摩訶不思議な現象を起こす。

透視は若干だが未来線を読む(らしい)。

器官強化は視力聴覚嗅覚等々五感の機能を引き上げる。

導話術はテレパシー能力により、脳で直接コンタクトが取れる。


色々とアレすぎる……こんな能力の数々、対処法なんて皆無に等しい。

「なんなんですか、一体これは……。」

こればっかりは鵜呑みにできないです。

……そして、これらには大きな問題点がある。生きた人間にしか使えないというところだ。

これはゾンビにはできない。しかし、ゾンビへの影響で生きた人間のみが使える。

それなりの条件がそろって初めて使えるみたいですが、厄介ですね。

まさか、こんな事実を知る事になろうとは……。


その2週間後、本当に実験は行われ、恙無く終了した。さらに衝撃的な告発が上層部からあった。

大規模な実験が近い未来で行う事が可能になったそうだ。その規模とは…………


現在6月18日10時49分。大規模な実験への参加を自主的に硲が乗り出そうと決心した瞬間でもあった。

そして、とある被検体が本格的な活動を示し始めたこの組織内でも奇跡的な出来事も、

同時に起こり始めていた。この時間帯が大きな分岐となったのだった。

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