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Death such as in nightmare  作者: C.コード
Episode.1:Around the Yokosaka Town
15/73

A meeting

サブタイトル『A meeting / 会議』


「幽にぃ! 死んじゃ嫌だよぉ!」

「嘘だろ、新堂……!  起きろよ、お前の言ってたビルだぞ! 安全地帯だぞ!」

「……藤島、もうよせ……!」

大門さんの一言でついに藤島からも涙が溢れる。大粒の涙が頬を伝う。

「新堂……! うああああああああああああああああああああああ!!」

藤島の咆哮にも似た声がビルを包んだ。





……ここは、どこだ?


目を開けると見慣れぬ部屋の天井が見えた。ベットに俺は運ばれたようだ。

どうやら、命は助かったようだ。痛みも大分引いてきている。

早期に聖奈の治癒を受けたのは正解だったようだ。

俺がベットの上で横になっているが、俺の腹部の上にかぶさっている聖奈の姿が見えた。

ベットの隣に椅子をおいて上半身の重みが……って、案外軽いぞ。

聖奈は寝てしまっているようだスースーと心地よさそうな寝顔が目に移った。

ここで起こしてしまうのもかわいそうだ。せっかく安眠できる時間を手に入れたのだ。

まだ寝かせてやろう。さて、俺もそろそろ起きなきゃ……

「ウガ、痛テッ……!」

思わず大きな声を上げてしまった。そうか、俺は最後の最後で……しくじったんだっけ。

どうやら、起き上がるのは至難の業だ。聖奈をどうにかすればなんとかできなくもないが、

聖奈を動かすことは不可能。背中の傷が開いてしまう恐れがある……。

必死に頑張って起き上がれたところで普通に歩けるかどうかも怪しい。

どうやら、安静にしていた方がいいみたいだな。

俺はどうにもならないような状況を打破することをあきらめることにした。

すると、ドアをノックする音が。一体誰だろう?

「いいですよ。」

すると、ドアの奥からは藤島が出てきた。

「おお、新堂! 目を覚ましたのか! よかったぁ!」

「こ、こら、藤島! 聖奈が起きるだろうが!」

思わず俺は起き上がった。あれ、背中の痛みが気にならなかったぞ?

「ん~、ムニャァァ…………幽、にぃ?」

「あ……!」

「ほら見ろ、起きちゃっただろ!」

全く、藤島のやつときたらってうぉぉぉい!?

「幽にぃ!!」

ガバッと聖奈が抱きついてきた。ああああ! 背中が……!

全身に走る痛みをなんとか声に漏らすことなく倒れることに成功した。

が、また横になってしまったということはまたおきあがらなきゃならないのか……。

「聖奈……心配かけちゃった?」

「聖奈ね、ずっと幽にぃの看病してたんだよ! 治癒もいっぱいしてあげたから大丈夫!」

「なんとか痛みも引いた見たい。聖奈、ありがとう。いっぱい治癒って、気絶する前に

やってもらっただろ?」

「んとね、ビルの人が『ゾンビじゃない何か』の跡が気になるからって言ってたの。

だから聖奈がもっと治癒したんだよ。」

「それってもっと血を出したってことだよな? ……一体どこを切ったんだ?」

「んとね、ここ。」

聖奈が無邪気な顔で見せた部位は腕だった……。左腕の綺麗な肌に一本の切り傷の跡が……!

傷を見て俺は心が痛んだ。本来ならもっと綺麗で美しく見える肌なのに、

今は傷痕がしっかりと残っている。

「聖奈の腕に傷が……。」

「ちょっとだけ痛かったけど、幽にぃが助かるって言われたからやったの。」

「聖奈……。」

俺は聖奈を少しだけ強く抱いた。聖奈がこれ以上傷ついていくのを俺は見てられない。

ゾンビ化のためならと俺も思っていたさ。でも、俺はもう我慢できそうにない。

「新堂、覚えているか? 背中の傷。」

「あ、ああ。」

「あの傷をつけたゾンビ。俺達が(こぞ)って戦って何とか倒したんだ。

死体を公開してるから見に来ないかって言ってた。島虎さんって人なんだけどさ。」

「そう、か。後で見に行くよ。もう少し痛みが引いた俺も聖奈と一緒に行く。」

「分かった。俺らの臨時の休憩室はここの隣だからいつでも来てくれよ。左隣だ。」

「ああ。」

藤島が部屋を後にした。

「聖奈、むやみやたらと治癒を使うのはやめるようにしてくれよ。」

「ど、どうして?」

「俺は聖奈がこれ以上傷つくのを見てられない。俺はお前に傷ついてほしくないんだ。」

「で、でも……」

「もしもの時は、傷口は左腕だけにしてくれよ。それ以外はダメだ。」

「うん。分かった。」

「すまない、聖奈。これもお前の為なんだ……!」

「大丈夫。聖奈、幽にぃの事好きだから!」

そう言ってまた抱きついてきた。俺も少しだけ抱きしめ返した。

「俺、もう少しだけ寝るよ。聖奈は?」

「聖奈もここにいる。」

「分かった。」

「ベットから落ちないようにねー。」

「誰が落ちるか! ……って言っても背中の傷のせいで動けないんだよ。」

「幽にぃ、今動けないのー?」

「悪い、傷が治ったらすぐに起きる。」

「そっかぁ~。えいッ!」

「うわわッ!」

聖奈がベットに侵入してきた! ちょ、待ってくれぇ! 俺は動けないんだァァ!!

なすすべは無く、背中の痛みが引くことをただただ祈ることしかできない。

「えへへ~、幽にぃと一緒に寝るの久しぶり~ッ!」

「こ、こら! 聖奈! 他の人に見られたら大変な事に……!!」

「他の人はこないよー。」

「ど、どうしてだ?」

「集中医療中の札が掛けてあるもーん!」

「ってことは……!?」

ずっと、このまんまか!? うおおおおおおおおおお!! このままでは……マズぃ!

なんか法律的にというか、関係的にいけない気がする! このままでは罪に問われる気がするぞ!!

「えへ~、幽にぃの体暖かい……。」

「ちょ、聖奈!?」

「もう放さないもん!!」

「グォォォ……」

なんか、もう、妹の数少ない願望を聞いてやるとかそんな感じじゃない!

俺はいつ来るかドキドキしながら後を過ごした。正直ドキドキしていて聖奈の感触は覚えていない。

こんなこと、聖奈が幼いころはよくしていたが、いまとなると恥ずかしい……。

「……幽にぃ。もう無茶しないで。聖奈を置いていかないでね。」

「ああ、すまなかった。俺はおまえをおいていったりはしないよ。」

「ホント!?」

「ああ、ホントさ! 聖奈は俺が守る!」

「嬉しい……ッ!」

「全く、聖奈は変わらないよな。」

「幽にぃへの思いも変わらないからね!」

「はいはい。」

「もー、真面目に聞いてる?」

「もちろんさ。」

背中に刻まれた傷の事も忘れて、俺達は寝ることにした。ああ、心地よい。

安心して眠れるってこんなにも心地が良かったんだな。






マズった! 寝すぎた! 急がなきゃ!

「聖奈、聖奈!」

「うーん、幽にぃ。どうかしたのー?」

「そろそろ起きなきゃ!」

「うん、わかった。」

あれ、俺……今気付いたけど上半身裸だ!! 服は……あった! 背中に切り裂かれた跡があるけど、

文句は言ってられない! 服は血がついてたけど……文句は言わないぜ!

急いで着た。

俺と聖奈は隣の部屋に行った。

ガチャ ドアを開けるといつもの面々が見えた。

「おお、新堂!!」

「心配しましたよ、新堂さん!」

「幽さん。無事で何よりです!」

「あれ、大門さんは?」

「大門さんなら会議に出席してるよ。」

「会議?」

「ああ。このビル、実は対ゾンビ対策の連合の拠点らしいんだ。山のように積まれている

保存食と水。緊急非難用の道具の数々。懐中電灯も電池もかなり揃っている。

ああ、これ、新堂に渡しておくよ。」

ひょいと渡された。これは懐中電灯か? 少しでかいな。

「懐中電灯だ。最新式で手動発電で電気を作れる。しかも光の強さは最高級。

電気の消費が少しだけ早いのが欠点だが……軽いし差し引いても便利な方だぞ。」

「あ、ああ。すまないな。」

えっと、これは確か……あ、あった。ここを回して発電するんだよな、確か。

早速発電開始だ。使いものになるように早めに充電だ。

「でも、これ俺が持っていてもいいのか?」

「全然問題ないよ。だって、俺たちもう持ってるから。」

「へ?」

「ビルの人達が全員分配給してくれたんだ。凄いよな、ここって……。」

ガチャッ ドアを誰かが開けた。大門さんだった。

「会議が終わったぞ。……新堂! 良かった、目覚めたのか!」

「ええ、おかげさまで。」

「えっと、ああそうだ。会議の内容を説明するから、全員集まってくれ。」

大門さんに寄る。

「色々説明することがある。まず最初に、このビルは『対ゾンビ殲滅連合隊員』への招待が来ている。

新堂の活躍が評価されていて、連合から直々に加入してほしいとのことだ。」

「対ゾンビか。人脈も欲しいところだしな……。入ろう。」

「軽く決めていいのか?」

「連合の会議がここであったってことは拠点はここだろう。このビルはガラスの壁だけど、

ゾンビは寄ってこない。階段の上に建てられてある分、ゾンビが来ない。

そしてこんなに人が集まるんだ。対策も出来てるだろうし。今は安全が第一さ。」

「そ、そうか。新堂がいいならいいんだけど。」

「加入するで通しておくぞ。

次だが、加入にあたって『部隊名』を決めてほしいとのことだ。ちなみに俺達は8番目のチームだ。」

「チーム名……か。良い案がないな……。」

「被らなければ何でもいいらしいぞ。文字数に制限もなし。」

「『High speed runners』ってのはどーだ?」

藤島の柄にもない意見が出た。

「ちょっとそれは……。『Six star』とかどうですか? 6人チームですし、六芒星(ろくぼうせい)を意識してみました。」

香憐の意見。これまた柄にもない……。でもいい案かもな。

「チーム名や編成の変更はいつでもできるから安心してくれ。」

「こだわらないなら『Six star』じゃなくて『Hexagram』が良い。意味合いは同じだぞ。

こっちの方が俺的にかっこいいと思うし!」

「あー、どっちも捨てがたいな……。」

藤島が言った。

「両方とって『Hexastar』ってのでどうだ? 臨時に決めて後でいくらでも訂正できるからな。」

「大門さんの案をとりあえず採用して次に行こう……。はりきりすぎたな。」

「次はだな。リーダーの選出だ。新堂でいいな?」

「ああ。」

「その次はリーダーが3階の会議室に行ってほしいとのことだ。リーダーの役割を教えてくれるらしい。」

「分かった。今すぐか?」

「できるだけ早くしてほしいとのことだ。」

「分かった。行ってくる。」

俺は部屋を出た。ここは4階だと壁の案内板に書いてあった。ここの下か。

階段を下りると木製で凄そうな扉があった。ここ……だな。

俺はごくりと息を飲んだ。行くしか……ないよな!!

俺は取っ手を握り、扉を開いた!

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