2話 新規事業
シャインとラートは、シャロルの国にたどり着いた。
この国はかなり文明が発展しているらしく、マリミアのように書籍もあるし、音楽や美術、そして何よりオークやゴブリンのような魔獣が、奴隷として働くことによって、国民は豊かな生活を送っていた。
シャインがマリミアの国から来たことを話すと、快く迎えてもらった。
天国のような国ではあった、しかし、船の食糧も尽きたシャインとラートは空腹で今にも倒れそうだった。
「旅人さん、これを食べな」
1人の若いエルフが、シャインとラートにパンを渡した。
「ありがとう、ところであんたの名前を伺っていいか?」とシャインは言った。
「俺はアルトフ。商人だ。」
「お、俺も商人なんだ!仲良くしようぜ」
「同業の者か・・・、よろしくな。
もし良かったら俺の仕事紹介してやるよ」
「本当か!」
「このうさちゃんにな!」
「えっ」
アルトフは、ラートに指差した。
「怪しい商売ではないのだがね、新しい媒体の店を行おうと思っている。」
シャインは興味を持った「どんな店だ?」
「美人喫茶・・・とでも言おうか。
文明発展が著しいと、戦争や商売に疲れ、恋愛や結婚をする人恋しい国民が溢れる。
だからこそ、そういう人を中心に顧客に商売しようと思って、色んな人に声をかけてるんだけど、いかんせん、人材が集まらなくてね」
シャインは、少し考え、こう言った
「じゃあ、俺が他の地域から人材を引っ張ってくる。これは素晴らしい社会貢献だよ。
例え顔が美しくても、虐げられてる種族は、多数いる。
だから、・・・」
「なんだ」
「もう少しパンをくれ」
「はは、もっとまともな飯を食わしてやるよ」
こうして、シャインとラートはアルトフに飲食店に案内してもらい、山盛りのパスタと大皿につまれた肉料理とサラダを頬張った。
こうして、翌日シャインは、国門を出てから10kmほど走っていると、森に迷い込んだ。
森の中には1匹のライオンがいた。
シャインはライオンを撫でると、ライオンはシャインに懐いた。
シャインを乗せたライオンは集落に向かって走っていった。
そこには、女だらけの集落があった。
「き、貴様誰だ!」と女は言ったが、ライオンはシャインの頬を舐めた。
「フランシス、彼は悪者ではないと言いたいんだな」
「僕は提案があってきたんです」
集落内の、民家に通されたシャインはお茶を出された。
「私たちは、ロクロク族で、夜になると首が長くなってしまうのです。
そのため、もともといた村からも迫害を受けてここに流れ着いたのです。
私たちは動物たちから懐かれ、木の実や果物を頂くことでなんとか生活できてます。
ですが、本当はこんな暮らしは嫌で、集落のみんなは、もっと豊かな暮らしを望んでます」
シャインは笑顔で「それなら答えられるぞ!
その前に・・・空腹だから、飯・・・」
ロクロク族の1人の少女アスミは、上半身裸の状態で、シャインに果実を差し出した。
「どうぞ」
シャインは、アスミの差し出す果物を差し出した。
「嬉しい・・・」アスミは興奮したのか、首をニョロンと伸ばし、シャインの頬を舐めた。
「大好き」
「これがロクロク族なんですか」
「はい…」集落の住民がいった。
「可愛いね
俺は好きだよ」
シャインはアスミにディープキスを交わした。
シャインの下半身は少しだけ濡れていた。
「なんでズボン濡れてるんですか?」
「いや、えっと、可愛いから」
他の住民たちも首をニョロんと伸ばした。
長い首は、シャインの性癖につきささり、そのまま鼻血を出しシャインは倒れた。
「まあ」
そして翌日、シャインたちはロクロク族を連れて、シャロルの国にいるアルトフに会った。
「この子たちを雇用してやってくれ」
「おお、人材集め、お疲れさん!これ報酬の100万ウェン」
シャインは100万ウェンを受け取った。
「どう?儲かってる?」
「ああ。けど、あまりに客が来すぎていて、ラート1人だと大変そうだ」
シャインはラートに声をかけた。
「ラート、ごめん」
「ん、いいよ。10万ウェン稼いだから今日はいっぱい食べようね」
「うん!」
こうして、アルトフが経営するロクロクカフェは、兵士や独身男性の癒しの場となった。
また、気に入ったロクロク族の店員は"お持ち帰り"もできるため、アルトフの店は繁盛した。
こうして、シャインが国に来てからしばらくは図書館でひたすらマネジメントや経営学、医学を勉強していた。
そして、図書館が閉まってからは、ラートと2人でシャロルの国を観光したりした。
こうして、2週間がすぎた頃、図書館で勉強してるシャインとラートにアルトフは、声をかけた。
「多角経営に興味があるんだ。
少し君の提案するアイディアを聞きたい。
もちろん金は出す」
美人喫茶が繁盛して、さらに大きい投資をしたいアルトフにシャインは、いくつか提案をした。
「まず、美人喫茶以外に美女と飲める、店を立てるのが第一だと思うんだけど、
そこにグレードをつけていけば良いと思う。
例えばロクロクカフェが一番下だとしたら、美人と飲める高級酒場を立ち上げ、さらにその上のランクで、その美人を抱ける高級酒場があればさらに客が入ると思う。」
「シャイン、俺はこのアイディアに500万ウェン払うよ」
「ありがとう」
アルトフは、シャインに500万ウェン渡した。
国の経済と女性の雇用の促進に大きく貢献したシャインとラートは、500万ウェンを元手に、シャロルの国にある、果実を400万ウェン分買取り、船に詰めた。
また、残りのお金で武具や書籍を購入した。
シャインとラートは、マリミアの国に向かった。
「久しぶりだな 元気してるか?」
国民がシャインとラートを迎えた。
そして、ラートを連れたシャインは、王室に入った。
「シャロルの国に行ってまいりました。
マリミアに戻れるか少し不安でしたが、なんとか生きて帰ってこれました
こちら果実です。まず、国王に献上します」
シャロルの国で取れる果実ファーロンを国王に渡すと、美味しそうにそれを頬張った。
「書籍もたくさんありますし、シャロルの国と貿易してみることを提案します」
国王は少し黙り込んだ。
「実は我々の国は、今エスタの国との戦争状態が続いてる。
今は一時的に休戦状態だが、いつ襲ってくるかもわからない。」
「・・・書籍の中にはシャロルの国の武器に関する本もあります。
最新兵器で、勝ち取りましょう、我が国の平和を・・・」
「シャイン・・・」
シャインは、文献の中から、マリミアでも量産可能な武器の設計図を調べた。
その中でも魔力を込めた誘導弾を"バズーカ砲"を呼ばれる武器で敵を撃退する戦術の記載があり、シャインは、バズーカ砲の生産と、バズーカ兵の配置を国王に依頼し、こうして戦争の準備が整った。
そして、エスタ兵達が馬に乗って、マリミアの国門に近づいた。
城から、エスタ兵達に向かってバズーカを打つ。
兵士の内臓や血肉が国門に向かって飛び散る。
兵士たちは恐れ慄き逃げようとするが、誘導弾は捕らえた獲物は逃がさない。
そして、攻めてきた兵士を1人残して全滅させると、マリミアのバズーカ兵は、エスタ国制圧に向かった。
その後は、エスタ国はマリミアの植民地となり、シャインの働きかけによりマリミアとシャロル国は軍事協定と並びに貿易を結び、シャインはマリミアの英雄として崇められた。
その後シャインとラートは、船に30冊の本と食料を積み、マリミアを後にした。
船の中でシャインは、移住の本を数冊ほど読んでいたが、とあるページに畳んである1枚の紙切れがあった。
よく見ると、それは宝のありかを示す地図のようなものだった。
しかし、情報も何もないため、次の国に向かい情報を向かうことにした。
たどり着いた島の名はアルファルド国。
ここは、サタオが洞窟内で鉱石の採掘途中に巨大な金塊を発見したため、その後は洞窟内で採掘をする者も多かったのだが、全長4メートルほどの巨大なモグラや、1メートルほどの巨大人食いアリの大量発生から、洞窟に近づくものがいなくなっていた。
シャインとラートは、金なんか特にいらなかった。
だが、それ以上に宝の地図に書かれた島の情報を得るために、どんな情報でも知っていると豪語する青年イザルに、シャインは交渉することにした。
「イザルさん、この宝の地図がどこの島、どこを示しているのかを教えてくれ」
「・・・では、現在洞窟内に入れなくて困ってる人のために怪物の討伐を依頼する。
この依頼に応じてくれれば、君の知りたい情報を教えよう」
シャインは火起こしの剣と、火縄銃とシャツとズボンで戦いに乗り出した。
「ラートも行く」と、ラートは、言ったが「ラート、君に危ない思いはさせたくない」とラードを待たせることにした。
そして、シャインはゆっくりと洞窟に入った。
この火起こしの剣は、シャインが船上で開発した武器は、大変優れもので、剣の持ち手の近くにあるホイールを回すと、鋭い1メートルほどの火柱が出来上がるのだ。
そして、洞窟内で火起こしの剣を使うと、火の明るさに反応した巨大アリや巨大モグラがシャインの方を向く。
一斉にシャインに飛びかかるが、シャインが火起こしの剣を右にシュッと振ると、怪物達の体は真っ二つに割れ、血しぶきがシャインの顔にかかった。
その後は、逃げる、魔獣達を必死に追いかけていると、シャインの眼前に魔獣の姿があった。
「お前人間か」
ツノを生やした5メートルほどの身長に広い肩幅。
大胸筋、上腕二頭筋、腹筋が目立つ筋骨隆々の青い魔獣の姿があった。
「我は、ブルーオーガ!
お前を殺す!」
ブルーオーガがシャインを殴りかかろうとするが火縄銃でオーガの胸を打った。
「効かない・・・」
オーガは「こんなもの効くか!」と笑った。
シャインは首を絞められた。
シャインが死ぬのも時間の問題、そんな中、ラートがオーガの背中目掛けて、毒槍を突き刺した。
「私、少し毒についても勉強したんだ」とラートが言うと、そのまま、オーガは倒れた。
「我の命とあとわずか、あと10分も持たないだろう」
倒れたオーガは話し始めた。
「我は、アルファルドの先住民族だ。
しかし、仲間のほとんどはアルファルド国の人間に殺されてしまって、私と1人の娘と、お前が殺した巨大アリや巨大モグラが唯一の生き残りだった。
だからこそ、洞窟内では人間に見つかる心配もないし、平和に暮らしていた。
時に洞窟を出て、果実や狩猟もしたりして、俺たちは飢えを凌いで慎ましく生活をしていたのだ。
しかし、サタオという採掘者がこの洞窟を発見してしまい、俺は、サタオを食べようとした。
しかし、サタオは、優しかった。
肉を全然食ってなかった俺に、骨つき肉をくれたんだ。
久しぶりの肉に俺は涙を流した。
サタオは、どうやら魔獣を迫害するつもりはなく、洞窟内の鉱石を掘りに来ただけだといい、サタオが鉱石を掘り終えたら、サタオを帰したんだ。
ただ、どうやらサタオが掘った鉱石は"金"と呼ばれるらしく、その金に目が眩んだ冒険家達が、俺たちの洞窟に入ってきた。
・・・俺たちは平和に暮らしたかっただけなのによ…なぁ、旅人さん…俺のような先住民族のこともきちんと伝えてくれ。
あと、一人娘をよろ・・・しくな……」
オーガは倒れた。
その後、オーガの遺体の後ろから走ってくるコウモリのような黒い羽と牙をつけた金髪の154cmぐらいの色白の少女がシャインに向かって走ってきた。
「よくもお父さんを!」
少女は何度も何度もシャインを殴った。
しかし、シャインは一切抵抗をしなかった。
そして、百発ほど殴られたシャインは笑顔で言った。
「本当にごめん…でもお父さんから事情は聞いた。
良かったら一緒に旅に出たい」
「何言ってるの?ふざけないで!」
「ふざけてないよ!シャインは」
ラートはとっさに言った。
「き、貴様も魔獣か!では、なぜ人間の味方をする」
「シャインはね、私たちを助けてくれたの。
私たちはハーフラビットという種族で人間でもなければ魔物でもない。
だけど、私達は縦に長いから、長い間エルフから迫害を受けていた。
だけど、1年という長い期間をかけて、シャインは差別をなくすために必死に行動をした。
1年、1年という長い期間をかけて、様々な改革を行い、そして私たちは解放された。
そして、あなたのお父さんは、シャインに言ってたよ 一人娘をよろしくって」
シャインはインキュバスに呪文をかけた。
「ハロメス」
インキュバスは、人間の少女の姿となった。
「この呪文はあらゆる別の生物を別の生物に変えることができる呪文だ。
インキュバスの姿で出たら君は、殺されてしまう。だから俺なりにできる最大限の配慮だ。
むしろこれぐらいしか出来なくてごめん。」
ラートは笑顔でシャインに言った。
「見直した」
こうして、シャイン達は、アルファルドに戻り、採掘者達から、礼として、300万ウェン受け取ったあとにイザルに宝の地図について尋ねた。
「宝の地図の島の形、それははるか西のヨーデス島だ。
ところでお前、"世界地図"って持ってるか?」
「いや、持ってない。
俺たちは、まだ知らない土地がたくさんあるからどんどん開拓したいと思ってる。」
「なら、俺を乗せた方が得策だと思うぜ。
俺は情報屋・・・ということにしておこうか、俺はそこら辺の探検家よりも情報を多く知っている。
俺を連れて行けば冒険の役には立つと思うのだがどうする?」
シャインは、イザルに手を差し伸べた。
「行こう、4人で」
その後シャインは本をいくつか買い込み、さらに多くの食料や武器や火薬などを乗せ、ヨーデス島に向かった。