8ー11 猶予ですか?
8ー11 猶予ですか?
俺は、だいぶん頭を悩ませたがいっこうに誰だかわからなかった。
『もういい!』
白狼は、痺れを切らしたのかもう一度深いため息をついた。
『しばらく猶予をやる。その間に思い出せ。もし、それでも思い出せなかったときは』
白狼がくわっとその大きな口を開けた。
『お前を食い殺してやる!』
マジですか?
そのとき、何かが俺の脳裏をよぎった。
なんだっけ?
「あっ!」
俺は、おもわず声をあげた。
白狼が俺にきいた。
『どうした?』
「もう1組パーティーがダンジョンにきてるんだ。そっちはどうなってるんだ?」
もしかして、オウラたちがもと人間だった者たちを虐殺してるんじゃないかと俺は心配になった。
だが、白狼は、ふん、と鼻をならしただけだ。
『そっちは、大丈夫だ。オウラたちがいるのだろう?それに人間だった者たちは、みな私の命令下にあるからな。お前たちを攻撃はしない筈だ』
そうなんですか?
俺は、ホッとしていた。
白狼は、俺をじっと見つめた。
『すべてはお前にかかっているのだ、クロージャー』
「わかった」
俺は、頷いた。
「なんとか頑張ってみるけど、まずは、ライディアのところに行きたい」
『いいだろう』
白狼は頷くと俺に告げた。
『私が案内してやろう』
話がまとまると白狼は、リリウスたちにかけた魔法をといた。
「わわっ!」
突然目の前に現れた白狼にリリウスたちは、驚き恐慌に陥った。
みな、反射的に魔法を繰り出して白狼から身を守ろうとするのから俺は、白狼を守ってやる。
「クロ?」
「みんな、きいてくれ!こいつは、味方だ!」
俺は、さっき白狼からきいた話をリリウスたちに話した。
リリウスたちは、半信半疑だったが白狼が抵抗することもなくただじっとうずくまっているのをみると徐々に納得してくれた。
「こいつがもと人間かぁ」
リリウスが白狼のことを見上げる。
「いったい誰なんだ?お前」
それがわかれば苦労はしないのだ。
俺は、苦笑していた。
白狼は、みなが納得したのを確認すると遠吠えを始めた。
俺たちは、その声に耳を抑えてうずくまった。
地響きのような声に耳の鼓膜が破れそうだ!
白狼が遠吠えをしてしばらくすると、遠くから何頭もの狼たちが駆け寄ってくる。
灰色の白狼に比べると少し小柄な狼たちが俺たちの周囲に集まってくると白狼は、何度か大きく吠えた。
どうやらそれで話は伝わったようだ。
狼たちは、俺たちを守るかのように取り囲んだ。




