7ー4 お前はお前だろう。
7ー4 お前はお前だろう。
俺は、ティミストリ父さんの執務室へと行くと父さんに相談してみた。
「父さん」
俺は、正直に話した。
「俺がもしも魔王になったらどうする?」
「うん?」
ティミストリ父さんは、眉をひそめてなんかの書類を読んでいたが俺に返事をしてくれた。
「そんなこと、どうでもいいことだろ」
はい?
俺は、ティミストリ父さんの言葉にちょっとショックを受けていた。
どうでもいいんですか?
俺は、うつむいていた。
すると、ティミストリ父さんが続けた。
「お前が何であれ、お前はお前だろう、クロージャー」
ティミストリ父さんが顔をあげて俺の方を見た。
「お前は、私の大切な息子だ。それだけで充分だ」
俺は、心を決めた。
ティミストリ父さんを信じてすべてを話そう。
「父さん」
俺は、ティミストリ父さんに魔法学校でのことを話した。
ダンジョンへ行ったこと。
そこで『魔王紋』を得たこと。
俺を魔王と呼ぶラーズのこと。
そして、俺は、ティミストリ父さんに頼んだ。
「俺、魔界国の魔族たちをこのトカゲの谷に迎え入れたいと思っている」
「そうか」
ティミストリ父さんは、頷いた。
「クロージャー」
ティミストリ父さんは、俺に語り賭けた。
「お前は、今までこのトカゲの谷にいろいろなものをもたらした。我々は、お前を信じてその後についてきた。私は、お前がしてきたことが間違えているとは思わない。他のトカゲの谷のみんなだってそう思っている」
ティミストリ父さんが俺に微笑みかける。
「だから、魔族のことも、お前の意思に従おう」
俺は、スキル『拡大縮小』でトカゲの谷を拡げていった。トカゲの村を中心にしてその回りの土地を拡大していく。
そして、トカゲの村の周囲にできた土地にティミストリ父さんや他のトカゲの谷の村の連中に頼んでいくつもの集落をつくって貰うことにした。
ラーズに訊ねると魔界国は、雪深い国なのだという。
春の訪れが遅い魔界国なので、きっと勇者一行は、雪が溶ける頃まで進軍するのを待つだろうということだった。
俺は、リリウスとマリージアの街へ行き、勇者たちの動向を探ることにした。
エディットには、先に魔法学園に戻って首都アルディスの様子をさぐってもらうことにした。
俺とリリウスがラダクリフ辺境伯の元を訪ねるとライディアが俺たちを迎えてくれた。
ライディアも魔法学園に戻るのを送らせてマリージアに残っていたのだ。
マリージアの街は、なんだか暗い感じで、勇者の率いる軍の兵士たちがそこここで幅をきかせているようだった。
ライディアが俺たちに話してくれたことによると勇者たちは、このマリージアの街に魔界国に進軍するまでの間滞在するのだという。




