6ー12 勇者ですか?
6ー12 勇者ですか?
なんか、気の毒になってきて俺は、ラーズのことをかなり甘やかしている。
食事もけっこういい肉をわざわざ買ってきて与えているし、毎日、ブラッシングしているから毛づやもつやつやだ。
最近では、犬を飼っているような気がしてきて可愛がっている。
マジで、もふり具合が最高なんだよ!
そうこうしている内に秋が過ぎ去り冬がやってくる。
首都アルディスに初雪が降る頃、俺たちは冬休みでトカゲの谷に帰ることになった。
今回は、ライディアは、一緒に行けなかった。
冬は、お貴族様にとっては、社交の季節だ。
ライディアも首都に残って社交界のお付き合いをしなくてはならないとラダクリフ辺境伯が主張したらしい。
「トカゲの谷にいく方が何倍も楽しいんだが」
ライディアは、すごく残念そうな様子だったが、最終的には笑顔で見送ってくれた。
またライドウがトカゲの谷まで荷馬車で送ってくれたんだが、ライドウは、ラーズに興味津々だった。
やっぱり同じ犬科の生き物同士だからか?
「すごいな、お前。その年でフェンリルの従魔がいるなんて」
ライドウは、感心して手放しで俺のことを誉めてくれた。
「これは、将来が楽しみだ」
ライドウは、俺が将来、宮廷魔道師にでもなると期待してくれているようだったが、俺は、そんな気は、さらさらない。
「楽しみにされても、俺は、トカゲの谷でずっと暮らしていくんだし。なんにも変わらないぞ」
うん。
俺なんかよりどっちかというと将来が楽しみなのは、リリウスとエディットの方だよ。
リリウスは、魔法学園ではもう1、2を争う魔法剣士になっているし、エディットは、毎日のように女神の神殿からの勧誘がくるような光の癒し手となっている。
だけど、2人とも将来は、トカゲの谷に戻って谷のみんなのために役立ちたいと言ってるけどな。
首都アルディスをたつ前にライドウの家に泊めて貰ったんだがそのとき俺は、気になる話をきいた。
それは、勇者が隣国のラミアトス王国に現れたという話だ。
「なんでも勇者は、パーティーのメンバーを集めているらしい」
ライドウが夕食のときに俺たちに話してくれた。
この話を俺は、何の気なしにふんふんと聞いていたんだが、それが後々大変なことになるなんて思いもしなかった。




