1ー4 焚き火をしよう!
1ー4 焚き火をしよう!
目覚めると俺は、暖かな温もりの中に包まれていた。
それは、母さんトカゲと父さんトカゲの温もりだった。
2人は、俺を挟むようにして眠っていた。
俺は、そっと2人の間から抜け出そうとしたのだが母さんトカゲが気付いて目を覚ました。
「おはよう、私の子」
「おはよう、母さん」
俺は、2人から離れるとぶるっと体を震わせた。
洞窟の中は、少し肌寒くって俺も母さんも鳥肌がたっていた。
寒い。
俺は、両手で裸の体を擦った。
見回すと他の連中も俺たちと同じように身内や友人とくっついて眠っている。
無理もない。
俺たちは、今までトカゲだったけど、その硬い皮膚の表面は薄い羽毛のような毛でおおわれていたから寒さにも強かったんだが、今では、まったくの裸だからな。
はやく、服やら何やらを手に入れなくては。
俺がそう思っていたときに、また頭の中で声がきこえた。
『ステイタスを確認しますか?』
ステイタス?
俺は、頭を傾げた。
ゲームとかでよくあるあれかな?
俺が頷くと、目の前に半透明の板のようなものが現れた。
名前 なし、年齢 5才、性別 男
種族 竜人族 レベル1
生命力 100、魔力 10000
攻撃力 300、防御 300
敏捷さ 250
(スキル)
火魔法 レベル3、水魔法 レベル3
風魔法 レベル3、土魔法 レベル5
鑑定 レベル5、時空魔法 レベル1
錬金術 レベル3、
治癒魔法 レベル3
(ユニークスキル)
魔法書『スキルイーター』、拡大縮小
名付け親
うん、よくわからないな。
俺は、ゲームとかあまりしたことがなかったのでこういうの全然わからない。
でも、とにかく、この寒さをなんとかしないと。
俺は、辺りに落ちていた枯れ草やら小枝やらをかき集めると火魔法で炎を起こすことにした。
だが、魔法なんて使ったことないし。
俺は、目を閉じて炎をイメージした。
手のひらの上にボールぐらいの炎を。
すると手のひらからごうっと炎が渦巻いて洞窟の天井までも燃え上がった。
マジか!
俺は、慌てて炎が弱まるようにコントロールしようとした。
集中して。
うんと弱い、小さな炎。
俺は、手のひらの炎に意識を集中する。
小さな炎が揺らめいているのを見て俺は、ほっと吐息をつくと枯れ草の山に火をつけた。
ぽぅっと洞窟の中が明るくなり、少し寒さがましになってくる。
が、みんな、トカゲだった頃の記憶からか怖がって火に近付こうとはしない。