4ー4 入学試験の朝
4ー4 入学試験の朝
俺は、クッキーを朝食の後でリリウスとエディットにも分けてやった。
2人とも一口齧るとほぅっと吐息をついた。
リリウスが呟く。
「トカゲの谷の匂いがする」
それは、春の香り。
新たに芽吹く新芽の香りだ。
俺は、ライディアにもクッキーを分けてやる。
ライディアは、一口齧ると不意にぽろりと涙をこぼした。
「母上の思い出の味がする」
俺たちは、少しの間、しんみりとしてしまったけどすぐにみな気を引き締める。
何しろ、今日は、魔法学園の 入学試験の日だからな。
ぜひ無事に合格してクローディア母さんたちを喜ばせたい。
俺たちは、それぞれ動きやすく、それでいて見た目もちょっといい感じの服装に身を包むと馬車へと乗り込んだ。
付き添いにヴォルツさんが来てくれるらしいが、やはりいい加減だ。
「まあ、俺は、あんまり心配してないががんばれよ、お前たち」
ヴォルツさんは、一応おれたちに言葉をかけてくれた。
俺たちは、それぞれ頷くと期待に胸を高鳴らせて魔法学園へと向かった。
魔法学園は、首都アルディスの中でも外れにある。
まあ、当然と言えば当然か。
魔法は、便利な道具かもしれないが、使い方によっては危険を伴うものだ。
町中に学園を作ることは、危険すぎる。
俺たちの乗った馬車は、高い防壁にそって走っていく。
この防壁は、魔法学園の周囲を囲んでいるものだ。
とんでもなく広そうだな。
切れ目なく続く防壁に俺は、学園の大きさを思っていた。
しばらく行くとやっと門が見えてきた。
俺たちは、門の手前で馬車を降りて歩いた。
門の辺りには、俺たちと同じくらいの年齢の子供たちがたむろしていたが、俺たちが近づくとみなぎょっとして何かを囁きあった。
やはり俺とリリウスが珍しいのかな?
竜人族は、このアルディスでもあまり見かけられないらしいし。
魔法学園は、本来このアナトリア公国のお貴族様の子弟のための学校だ。
近年は、平民にも門戸を開いているらしいのだが、やはりほとんどの生徒は、貴族の子供たちだ。
俺とリリウスは、ラダクリフ辺境伯の後ろ楯があるものの立場的には平民と見なされるしな。
だから、俺たちが少々冷たい視線を集めても仕方のないことだ。
生徒の中には亜人もちらほらいるようだったが、ほとんどは人間のようだしな。




