3ー9 お貴族様の屋敷
3ー9 お貴族様の屋敷
ライドウが興奮して力説した。
「砂糖なんて、めったに平民が口にできるもんじゃないんだぞ!」
マジですか?
ちなみにパイというものは、マリーナさんたちにとって初めて見る食べ物だったらしい。
だから、微妙な反応だったんだな。
マリーナさんは、すぐにグルの実のパイのとりこになった。
俺にレシピを訊いてきたので教えてあげる。
だけど、砂糖がいると知るとマリーナさんががっくりと肩を落とした。
「そんな高級品、とても手に入らないわ」
「なら、トカゲの谷から届けましょうか?」
俺の発言にマリーナさんの瞳がきらん、と輝く。
これは、砂糖の商品化を急いだ方がいいのか?
俺たちは、ライドウたちに案内されてそれぞれの部屋で休むことにした。
俺とリリウスは同じ部屋だったけど、エディットは、マリーナさんと同じ部屋に通された。
ライドウはというと1人でリビングのソファで休むことになってぼやいていた。
だけど、マリーナさんは譲らなかった。
「こんなレディを男たちと一緒の部屋で休ませることなんて許しませんからね!」
翌日、俺たちは、マリーナさんと買い物に行った。
ラダクリフ辺境伯の屋敷でしばらく暮らすことになるわけだから少し小綺麗な格好をしとかないとな。
クローディア母さんが用意してくれた服もあるんだが、それは、およそゆきだからな。
トカゲの谷の服は、だいたいレッドスパイダーの糸で織られたものだが、それは、高級品なのだ。
普段着には、もう少し、気楽なものがほしい。
俺たちは、お貴族様の家で暮らしても大丈夫なコジャレた普段着を数着買うことにした。
マリーナさんのおすすめの店で、俺たちは服をととのえた。
そして、新しい服に着替えると、いよいよラダクリフ辺境伯の屋敷へと向かうことになる。
俺たちは、クローディア母さんが作ってくれたフードをはおった。
ラダクリフ辺境伯の屋敷ではライディアが待ちかねていた。
「よくきてくれたな、お前たち」
ライディアは、まず、俺たちをそれぞれの部屋へと案内してくれた。
それは、客とはいえ子供にはかなり豪華すぎる部屋だった。
広いしな。
おそらく、他の2人の部屋もそうなんだろう。
なかなか慣れることができそうにないな。
俺は、部屋の窓際にあるソファに腰かけて小さくなっていた。




