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異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。  作者: トモモト ヨシユキ
2 初めての人間の町と望まれぬ王子
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2ー12 約束

 2ー12 約束


 どうやら俺は、そのまま眠っていたらしい。

 気がつくともう辺りは暗くなっていた。

 「はぁ・・」

 俺は、仰向けになって天井へと手を伸ばした。

 『責任をとってくれ!』

 ライディアの声が頭の中で響く。

 俺には、トカゲの谷の仲間たちへの責任がある。

 だけど。

 あいつのことも助けてやりたい。

 誰からも見捨てられたって泣いてたあいつのことも守ってやりたい。

 「俺は、どうすればいい?」

 トントン、とドアをノックする音が聞こえて静かにドアが開く。

 「クロージャー」

 ライドウのだった。

 ライドウは、薄暗い部屋の中へと入ってくると俺の方へと近付いてきた。

 「何があったのかは、リリウスにきいた」

 「ライドウ」

 俺は、がばっと起き上がるとライドウを見上げる。

 「俺は」

 「悩んでいるようだが、お前は、お前の好きなようにすればいいんだぜ?」

 はい?

 俺は、フリーズしていた。

 俺の好きなように?

 俺は、ライドウのことを見つめていた。

 ライドウがどんな表情をしているのかは、俺にはわからない。

 だが、ライドウは、神剣な様子だった。

 「俺は」

 俺は、ライドウの影に向かって呟く。

 「俺は、トカゲの谷の連中を守りたい」

 「そうか」

 「だけど」

 俺は、続ける。

 「俺は、あいつのことも助けてやりたい」

 「クロージャー」

 ライドウが静かに言葉を紡いだ。

 「これからする話しは、俺の独り言だ」

 ライドウは、俺の座っているベッドへと歩み寄ると背を向けて端っこに腰をおろした。

 ライドウの重みにベッドがきしむのを感じる。

 「このアナトリア公国の、いや、全世界の獣人は、ライディア様のことを望んでいる」

 ライドウは、語り続ける。

 「この世界は、我々亜人にとって厳しい世界だ。この国じゃともかく他の国では亜人は奴隷扱いされる所だってあるんだ。俺も家族を、マリーナを守りたい」

 俺は、ライドウの言葉に耳を傾けていた。

 ライドウは、続けた。

 「もし、ライディア様が王にならなければ、この国は変わってしまうかもしれない」 

 なんでも皇太子であるライディアの兄は、亜人嫌いで有名らしい。

 残虐で亜人差別主義者の皇太子が王になればこの国も亜人を受け入れなくなるかもしれない。

 だけど、正妃であるライディアの母は、病弱でライディアのことを守れない。

 そこまで聞いて、俺は、はっと気づいた。

 もしかすると王が王都からマリージアにいるラダクリフ辺境伯のもとへとライディアを預けたのはあいつを守るためなんじゃね?

 

 翌日、トカゲの谷へと帰る俺とリリウスを見送りにライディアがお忍びで現れた。

 ライドウが森まで荷馬車で送ってくれるというので俺たちは、それに甘えることにした。

 俺は、大門の外へと向かう俺たちを見守っているライディアを見つけると荷馬車から飛び降りた。

 ライディアに駆け寄った俺は、無言でライディアの手に指輪を押し付けた。

 「これは?」

 問いかけるライディアに俺は、素っ気なく答えた。

 「これは、俺の魂の一部を宿したものだ。お前のこと守ってくれるだろう」

 「クロージャー」

 ライディアの顔がぱぁっと明るくなる。

 俺は、ライディアの前に立つとぼそっと呟く。

 「俺は、今はまだ、トカゲの谷を離れられない。でもお前のことは、俺が守る。約束してやる」

 「クロージャー」

 ライディアの瞳が潤むのを見て俺は、慌てて荷馬車へと駆け出した。

 「約束だぞ!絶対、絶対に!」

 俺は、ライディアに頷いた。

 ライディアは、俺の乗った荷馬車をいつまでも見送っていた。

 「約束だからな!」


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