2ー4 アナトリア公国
2ー4 アナトリア公国
ライドウが話してくれたことによると俺たちが今いるこの国は、この大陸の中でも二番目に大きな国でアナトリア公国というらしい。
アナトリア公国の東には魔族の住む魔界国が広がっているのだという。
要するにアナトリア公国は、魔族と争っている人間にとっての砦なのだ。
だが、近年、アナトリア公国は、魔界国からの瘴気の影響で穀物の不作が続き国力が削がれてきていると、ライドウは話した。
しかも、今、アナトリア公国では世継問題が持ち上がっているらしい。
正妃の子である第3王子ライディアを推す者たちと第2夫人の子である皇太子を推す者たちとの対立があり、そのため国が揺らいでいるのだ。
だが、それでもこの国が大国なのは変わらない。
「ライディア様は、皇太子に王位を完全に放棄することを示すために王都を出てこのマリージアへと来られたんだ」
ライドウが妙に熱く語った。
「さすがは、幼くても勇者様の血を引かれているだけのことはある」
「ふーん」
俺は、ライドウの家でその家族と食卓を囲んで夕食をご馳走になりながら上の空できいていた。
だって、どの料理もトカゲの村での食事に比べたらすごいご馳走に思われたからな。
村には、塩すらなかった。
肉は、火で焼いただけだし、スープは、森でとれたキノコやなんかを煮込んだだけのものだったし。
リリウスも夢中で食事を頬張っていた。
「お前ら」
ライドウが呆れた様にがっついている俺たちを見ている。
「もしかして飢えていたのか?」
「嬉しいわねぇ、こんなに美味しそうに食べてくれるなんて」
ライドウの奥さんのマリーナさんが俺たちの食べている姿を見てにっこりと笑った。
マリーナさんは、赤毛の美しい人で兎族の出らしい。
ボンキュボンのナイスなボディの持ち主だ。
2人は、結婚してもう数年になるらしいがまだ子供がなく、マリーナさんは、見ず知らずの俺たちにも優しく接してくれた。
どうやら、このアナトリア公国には、ライドウ夫妻のような獣人は、かなりたくさん住んでいるのだという。
他の国の中には亜人を奴隷としている国だってあるのだというし、俺たちが最初に接した外の国がこのアナトリア公国だったことは、俺たちにとって運がよかったのかもしれない。
この国には、まれに竜人族も訪れるらしく俺たちのこともちょっと変わった種族としか思われてはいないようだ。
しかし、ほんとに魔族と思われなくてよかったな!
俺がほっとしていると、ライドウが真面目な表情をした。
「しかし、お前たちみたいな子供が2人だけでこんな町まで出てくるなんて親は、心配してないわけ?」
ライドウに訊ねられてリリウスが答える。
「俺には、親なんていないし」
「マジかよ」




