やたらと名前がクドい話
俺はグロウ・シャイン・グリッター、『光の勇者』の称号を持つ選ばれしものだ。
仲間達と『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイトを討伐するため旅を続け、俺達はとうとう奴の居城まで辿り着いた。
「へへへ、ここがダーク・シャドウ・ナイトの居城か」
「私達の旅もとうとうここまで来たのですね……」
「ですがここからが本当の戦いです。気を引き締めていきましょう」
俺の仲間である『炎の剣士』ブレイズ・ファイア・フレイム、『水の魔術師』アクア・マリン・ウォーター、『風の闘士』ゲイル・ウィンド・ストームがそれぞれ決意を新たにする。
「いくぞ! 俺達の手で世界に安寧を取り戻すんだ!」
こうして俺達の最後の戦いが始まった。
途中魔王軍の最高幹部である『土の戦鬼』グラン・ソイル・アースや、『雷の賢者』サンダー・ライトニング・フラッシュといった強敵とぶつかるが、俺達は必死の思いでそれを打ち倒した。
そしてとうとう俺達は魔王の待つ居城の最深部に到達した。
「くくく、来たか『光の勇者』グロウ・シャイン・グリッターよ」
「待たせたな『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイト! 俺はお前を討ってこの世界に光を取り戻す!」
「やってみるがよい!」
こうして俺達『光の勇者』グロウ・シャイン・グリッター一行と、『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイトの戦いは幕を開けた。
俺達は全力で立ち向かっていくのだが、それでも『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイトは強かった……、
「うわああ!」
「きゃあっ!」
「うぐっ……!」
「どうした? その程度か?」
「そ、そんな! あの三人が一撃でやられるなんて! 『炎の剣士』ブレイズ・ファイア・フレイム、
『水の魔術師』アクア・マリン・ウォーター、『風の闘士』ゲイル・ウィンド・ストーム……この3人は人類の中でも最高峰の戦力なのに!」
そう……たったの一撃で『炎の剣士』ブレイズ・ファイア・フレイム、『水の魔術師』アクア・マリン・ウォーター、『風の闘士』ゲイル・ウィンド・ストームの3人はやられてしまったのだ。
戦力差はあまりにも大きすぎると言わざるを得なかった。
魔王はククク……と、勝ち誇ったように笑っている。
これがあの『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイトの力なのか……!
「さあどうする? 『光の勇者』グロウ・シャイン・グリッターよ。我にひざまずき、許しを請うなら許してもやってもいいぞ?」
「ふざけるな! 俺は貴様なんかに決して屈しない! 『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイトの野望はここで打ち砕いてみせる! うおおおおおお!」
俺は全魔力と生命力を勇者の剣『ブレイブ・ヒーロー・ソード』に注入し、勇者の剣『ブレイブ・ヒーロー・ソード』はまたたく間に輝き始めた。
「……なっ!? なんなのだこの光は!?」
「これが俺達人間の可能性の光だ! 暗黒の世界に消え去れ、『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイト!うおおおおおおお!」
「ば、馬鹿な! 『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイトと呼ばれたこの我が……! 恐るべし『光の勇者』グロウ・シャイン・グリッター……!」
俺はこうして『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイトを打ち倒し、世界に光を取り戻した。
だが俺の活躍は目に見える形で後世に伝わることはなかった。
あまりに眩しすぎて仲間の誰も活躍を目撃出来ず、俺も王都『キングダム・エンペラー・プリンセスタウン』に辿り着くまでに力尽きたためだ。
だが俺に後悔はない……『闇の魔王』ダーク・シャドウ・ナイトを見事に打ち倒したのだから……。
こうして俺こと『光の勇者』グロウ・シャイン・グリッターの伝説は、詩として語り継がれるだけに終わったのであった……。
完