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もぅ・・・

暗き森の中、獣道を歩くマリーとレン。


「ここに何があるって言うんです!帰りましょうよ〜気味が悪いです・・・」


マリーが先を歩くレンの袖を引っ張り叫び出す。


「えぇ・・・じゃああと1時間ほど歩いたら帰りますからね!!」


どうやらレンはこの先に何かあると感じているらしく、先に進みたがる。



 真っ暗な道なき道をひたすら歩くこと数十分。


 突如森の雰囲気が変わる。


「ほえ~・・・何か綺麗な所に出ましたね~」


 木々の隙間から木漏れ日が漏れ、それが目の前の湖に反射し、森全体がキラキラと輝いているかのような場所だった。


 突如レンがピクリッと動き、剣に手をかけようとするが・・・。


「ん?どうしたですレ―――」


 ビタンッ!とマリーの顔に何かがぶつかる。


「ヒッ!?いやあああああああああああああ・・・・あれ?」


 マリーにぶつかってきた者は、すぐさま離れ、マリーの肩に乗る。

 それは手のひらに乗れるような小さな人だった。衣服はなにも来ておらず、性器もなくつるつるな体。そして背中から生えている透明な羽。


「妖精?妖精ですよレン!!ほえ~可愛いですね」


 レンの方を見ると、ぼさぼさの頭に二人の妖精が嬉しそうに座っていた。


「ん~危険はないです。それどころか歓迎してくれているみたいですね。・・・ええ。言葉は聞こえないので、そんな感じがする程度ですが」


 妖精の一人はマリーの前をくるくると回り、とある方向を指さす。


「そっちに何かあるです?レン」


 レンはコクリと頷く。

 レンを先頭に、警戒するように二人は進む。唯一緊張感のない妖精たちは、レンの頭で髪の毛を引っ張り、マリーの肩の上で嬉しそうに体を揺らしている。


 腰より高い草をかき分け、木々をくぐり、出た先には・・・。


「ふえ?こんな森の深いところに村・・・ですか?」


 レンとマリーの前には奇妙な村があった。

 木を伐採し作った家ではなく、大きな木の中をくり貫いて作られたかのような家々。

 上を見ると木と木の間に橋がかけられ、そこを行き来する人が見える。


「おや?人が来るなんて何十年ぶりだろうか。珍しいね」


 声をかけてきたのは中性的な人だった。興味津々にじろじろとレンとマリーを見ている。


「もしかしてですが・・・森霊種(エルフ)です?」

「ん?ああそうだよ。知らずに来たのかい?ここはエルフの隠れ里さ」


 森霊種(エルフ)・・・その種族に性別はなく、深き森でひそやかに過ごしているとされている。彼らは木々の持つ魔力から妖精として生まれ、長い年月を経て森霊種(エルフ)となり、そしていつかは精霊に至る謎の多き種族だ。


「し・・知らなかったです・・・。レンは知っていたようですね」


 ビクッ!?とレンの体が動く。


「ふむふむなるほど?言い訳はあとで聞くです!どうして私に隠してまでここに来たかったです?」


「ふふふ。仲のいい二人のようで。彼はきっと『星の降る場所』へ行きたかったのさ」

「星の降る場所です?」

「ああ。そこに入るには精霊様の許可がいるけど・・・君たちなら大丈夫だろう。なにせ・・・そんなに子供たちが懐いているからね」


 エルフはマリーの肩に乗っている嬉しそうな妖精を指さす。


「妖精っていうのは人の善悪に敏感だ。悪人ならそもそもここにたどり着けてないし、妖精が自ら寄ってくるって言うのは、よっぽど心が綺麗な人だけなんだよ」

「真面目な顔でそう言われると照れますが・・・」


 ポンポンとマリーの頭を撫でるように叩くレン。その顔はとても嬉しそうで・・・。


「勝手に頭を・・・触るなです・・・もぅ・・・」


 マリーは俯いてぼそぼそと何かを言っていた。


「明日にでも精霊様に会えばいいよ。今日はゆっくりしていくといい。ああそう言えば言い忘れていたね。




 ようこそ我がエルフの里に」



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