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一週間考えて構想を練って、休みの日にかいてる感じです。書けた話数を一日づつ投稿。調子が良ければ毎日投稿になるかもです。

まあ話を長引かせる気もないので言ってる間に完結となるかと。

「はぁ・・・はぁ・・・レン・・・」


「そりゃ・・・息も切れるです・・・」


「そりゃあ・・・私がレンの上に乗ってるのは認めますけど・・・」


「駄目です!やめるなです!!あああ・・・」



 マリーはレンの首にガシッしがみつく。

 おんぶしていたマリーを降ろそうとしていたレンは諦めてマリーを背負い直す。


 ここは帝国にある高山。この高山の名前は龍の牙。飛竜たちが棲み処としている高い山だった。


「なんでこんな山を登ってるんですかねー」


「・・・まあそうですけど・・・路銀が尽きたからですけど・・・だって報酬がおいしかったですし・・・」


「ごめんっていってるです!そうです!私が初めて食べる甘味にお金をかけたせいです!すいませんでしたー!」


 クエスト依頼:竜の牙にて調査をお願いしたい。

 詳細:最近小型の飛竜を森でよく見かける。飛竜の牙で異変が起きているかもしれない。調査を頼む。

    解決した場合ベット報酬を上乗せ有。


 報酬:金貨10枚



「さっと行って見て帰るだけだと思ったんですが・・・こんな罠が・・・」


 最初は意気揚々とレンを引っ張るように歩いていたマリーだったが、あまりの急勾配と、山の高さに途中でギブアップ。 

 中腹辺りからレンがマリーをおんぶして山道を歩いていた。


「でもこのクエストを達成すればあのパフェなる甘味を・・・」


「ぐうのねも出ない正論を・・・2杯で我慢してやるです・・・」


 はぁ・・・とため息をつくレン。それでも彼の足取りは軽く、嫌がっているわけではないようだ。


「あ!見えましたよ頂上じゃないですか?」


 マリーが指さす先には山の切れ目から空が見えて・・・。

 マリーはレンの背中から飛び降り走り出す。レンはそれを追うために走り・・・。


「わぁーーーー!すごいです!」


 山の頂上。そこは青々とした草と色とりどりの小さな花が咲き乱れ、日の光を浴びてキラキラしていて・・・。


 クエストのことをすっかり忘れ、マリーは走り出す。


「レンも早く来るです!!」


 レンは警戒しつつも、無邪気にはしゃぐマリーを見て微笑ましく思っていた。

 あの街ではほぼ無表情だった彼女が、こうやって笑顔で走り回っている。


 旅に出てよかったな、本当にそう思っていた。


「―――――!?」


 レンは突如走り出す。


「本当に綺麗な場所ですね。幻想的ですし、空気はおいしいですし、人もいねぇですし、ここで暮らせたらいいのに―――」


 ドスンッ!!とマリーの前に何かが下りてくる。


「へ?」


 目の前に降りてきた物体の正体を見るためにマリーは恐る恐る見上げる。


「グルルルゥ」


 全長10メートルはあろうかという真っ黒な竜だった。真っ赤に光る双眸が、マリーを見つめていた。


「ひぇ・・・レン・・・」


 いつの間にか駆けて来ていたレンが、マリーを守るようにマリーと竜の間に立ち、剣を片手で構える。


「グアァァァァァァァァ!!!!!!!」


 竜の咆哮が辺り一面に轟く。空気が震え、体の内側まで振動する。


 しかしレンは目線を外すこともなく、怯えることもない。ただただ目の前の相手の対処方法を模索する。


 マリーはギュッとレンの服の裾を握る。


「ちょっと待つですレン。この竜は私たちの言葉が分かるっぽいです」


 驚いたようにレンはマリーの方を見る。


「『ほう?小娘。我の思考を読むか。それにそこの人間なかなか筋がいい』だそうです」


 レンは龍に向き直り、好奇な目で見つめる。


「『お主と一戦交えたいが、この場所を荒らしたくない。場所を変えよう』」


 そう言うと竜は片翼を地面に降ろす。


「乗れってことですかね?」


 マリーは恐る恐る竜の翼をよじ上り、レンはタンタンッと翼を軽やかに駆け上がる。




 二人が背中に跨ると、竜は翼をはばたかせて飛ぶ。


「わああーーー!!ってあぶねえです!?」


 空を飛び始めた竜に感動し、立ち上がったマリーだが、体勢を崩し竜の背中を転がっていく。

 ポスンッとレンがマリーを受け止め、マリーが落ちないようにギュッとレンはマリーの後ろから体を抱きしめる。


「あ・・・ありがとです。それよりも!すごいです!空を飛んでますよ私達!!」


「そうですね。とても気持ちいい・・・」


 空をゆっくり飛ぶ竜。

 マリーははしゃぎ、レンはどこか気持ちよさそうに風を感じていた。


 戦いの前の安らかな時間を、二人は身を寄せ合って感じていた。


  


 



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