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勇者エルードに着く


 そうしてやっとの事で辿り着いた待望の街、エルード。

 ここではあいつとチフユ達がお尋ね者として手配されているらしい。

 あたしは自分のせいで、にぃにを危険に晒してしまったことを後悔しつつもにぃにの無事を祈っていた。


「しかし、入場待ちの列長すぎない?」


 この街は規模の割には陸からの出入口が一か所しかないという、旅行者には不便な街である。

 そして、その門にはエルードの街に入ろうと商人や冒険者たちが長蛇の列を成していた。


「確かに、この長さは只事じゃないな」


 そう言うのはこの街出身のドワイトだ。


「いつもであれば、半分位の長さしかないものね。しかも、今は魔王軍の幹部が来ていると言うのでしょう。それなら、いつもよりも短くても良い位なのに」


 アンジェラもドワイトに同意するかの様に頷いた。

 確かに普通の人達は魔王軍が来ていると言えば、危険を感じて寄り付く様な事はしない。

 それなのに、何でここの街にはこれだけの人が来ているの?

 それだけの危険を感じても来たくなる様な何かがあるって事?


「チナツ、考えていても仕方がないよっ。どちらにしても街には行かないといけないんだし」

「そうね」


 チアキのいう通りだ。

 指名手配を掛けられているというだけでも心配なのに、それ以外にも何かが起きているって、にぃに本当に大丈夫なのかな?

 あいつの事を常に把握できるチハルは、プライバシーの侵害になるからとあいつの状態について一切口外することはない。

 むしろ、チハルがプライバシーを侵害していると思うんだけど、その点については兄と妹は一心同体の存在だから良いんだとか、意味の分からないことを言われた。

 その理屈で行くなら、あたしも本当に心外ではあるがあいつと一心同体という事になるから、プライバシーを侵害しても良いと思うんだけど、チハル的には義妹は駄目らしい。

 納得のいかない話だ。

 実妹に比べれば、義妹の方が手を出しても何の問題にもならないし、妹に手を出すという背徳感も味わえるという、一石二鳥な存在で格が高い。

 その義妹が実妹に劣ると言うのだ。

 在り得ない話である。

 あいつの愛読している春画だって、実妹本より義妹本の方が多かった。

 一番多かったのは幼馴染本だったけど焚書しておいたから、現在一番多いのは義妹本である。

 つまり、あたしが一番なのだ。

 そのあたしを差し置いて、一番の座に座ろうなんて言うのは論外である。


 そのチハルは今もあいつの様子を見ているのか、中空に視線を向けながらニヤニヤしていた。

 傍から見れば、完全に頭のいっちゃった人間である。

 羨ましい……。

 何であたしには【鑑定】スキルがなかったんだろう。

 でも、あったとしてもチハルみたいに、あいつだけに使い続けるなんて思いつかなかったとは思う。

 そう言う意味ではチハルは一握りの天才なのだろう。


「でも、そう考えると天才って頭のおかしい人ばっかりね……」


 思わず口に出してしまった。


「何でその台詞をうちを見ながら言うのかなっ?」

「だって、あんただって頭のおかしい人の一角でしょ?」


 呟いた程度の声だったのに、チアキには聞こえてしまっていた様だ。

 不満そうに文句を言ってくるが、チアキの今までの行動を見ていれば、頭がおかしいというのは言うまでもない事だろう。


「そんな事はないよっ。うちよりも、頭のおかしい人なんて一杯いるよっ!!」

「それは本当に一部でしょう……。自慢気に言える程、そんな人はいないわよ」


 それにチアキクラスの人間が、そんなに一杯いるなんて考えたくないわよ……。


「言っちゃあ何だけど、うちよりもチナツの方が頭おかしいと思うよっ」

「な、失礼なやつね!」

「真面な人は結婚した男性を後から寝取ろうなんて思わないんだよっ」

「好きな人と何時までも一緒にいたいと思うなんて当然の事じゃない」

「そうは言っても結婚されたら、普通はそこで諦めるんじゃないかな」

「それはその程度の愛だったって事でしょ。あたしは違うわ。最期まで諦めない。それだけの話よ」

「それが頭がおかしいって言うんだよっ」

「他人の細胞を使ってクローンを作った奴に言われたくないわね」

「あれは人類の進歩の為には必須の事なんだっ」

「それを人を助ける為じゃなくて、自分の知的好奇心の為にやっているのがおかしいのよ」

「人間って言うのは好奇心で動くものなんだよっ。好奇心もなく魔術研究なんてやってられないんだよ」


 ああ言えばこう言う奴だ。

 チアキがどう言おうが、あたしの方が百倍マシなはずである。


「わたしに言わせれば、二人とも頭おかしいと思うよ」


 そこにチハルが参戦してくる。

 何でよ。

 あたしとチアキを同類扱いしないで欲しい。


「そこの蛆虫達もそう思ってるんじゃないの」


 チハルにいきなり話を振られたドワイト達が慌てた様に首を振っていた。


「俺達をいきなり巻き込まないでくれ」

「でも、否定しないって事はそう思ってるって事でしょ?」

「それは……」


 本当になんで否定しないのよ!!

 まさか、本当にあたしとチアキが同類だって言うの……?


「頭のおかしい人間ほど、自分の頭がおかしいって気付かないものなんだよ。つまり、わたしが一番真面って事だね」


 チハルが自慢気に宣言するが、それは絶対にない。

 真面な人間は四六時中あいつの事を監視なんてしない筈である。


「うち的にはチハルが一番駄目だと思うんだよっ」

「何言ってるの? お兄ちゃんに一番心配かけさせてる人に言われたくないんだけど」


 心配云々はどっちもどっちでしょうが……。


 あたし達はそんな話をしながら、エルードに入れる順番待ちをしたのだった。


にぃにの持つ春画については諸説ありますが、現在はエルフ耳ネタが一番多く、巨乳ネタ、義妹ネタ、実妹ネタと続きます。

チナツの手が入る前は、貧乳ネタとか幼馴染ネタとかが上位に入っていました。

従妹ネタについては単純にあまり流通していないので入っていません。

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