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4歳児を育てて嫁にしたい


 エルードの街、それは王国の西側にある公爵家の持つ港町である。

 街を囲む様な外壁、街の中央には公爵家の住む邸宅があり、邸宅を囲む様に北側に教会等のアイリス清教が、西側に王都に勝るとも劣らない商業ギルドを中心とした繁華街が、南側には冒険者ギルド等の冒険者の使う施設が、東側には町の住民たちが住む住宅街が存在している。

 旅人たちを受け入れる為の門は南側に一か所存在しており、今もエルードの街に入る為に冒険者や行商人が長い列を成していた。


「これ、後どれ位で入れるんだ?」


 俺達はその列に並び、かれこれ1時間以上が過ぎようとしていた。


「やっぱり、王国第二の都市と言われるだけあって警備がしっかりしてる」


 俺の疑問にチフユが答える。

 確かに、イーストウッドは外壁なんてなかったから、ある程度は誰でも自由に入れた。

 王都はそもそも出入口が東西南北に一か所づつあり、王都に入る用件で門が分かれていたので、ここまで長蛇の列にはなっていなかったと思う。

 そもそもチアキの【転移魔法】のおかげで門を通らなくても、王都内に入れたしな。

 しかし門を通らないで王都に入るのって、よく考えると不法侵入なのではないか。

 というかよく考えなくても、色々とマズい気しかしない。

 まぁ今更気にしても仕方ないな。

 多分チアキが何か手続きをしてくれている筈だ。

 どうなってるか聞くと怖いから聞かないけど……。


「それにしても時間かかり過ぎだろ……。もう少し門の数増やせばいいのに」

「門増やすとその分防御が疎かになるから。それに、スパイとかそう言った犯罪者も門が少ない方が逃げずらい」


 確かにそうかもしれないけどさ、それにしたって限度ってものがあるだろ。

 チアキの話だとここの公爵家は人身売買とかに手を染めてるらしいし、そう言う後ろめたい部分を表に出さないためには、こっちの方が都合が良いのかもしれないけどな。


 しかし、待つのにも飽きて来た。

 真冬ちゃんはうどん達と遊び疲れたのもあり、早々に俺の背中で寝てしまった。

 まぁ、我慢できなくて騒がれるよりはマシだから良いんだが。


「真冬ちゃんも出来た娘だよ」


 そうは言っても、道中真冬ちゃんは殆ど我儘を言わないでついて来てくれた。

 普通の4歳児であれば、疲れればおんぶや抱っこをせがんでもおかしくないのに、基本的には一人で歩いてくれたし、食事だって好き嫌いせずにあまりおいしくのない保存食も嫌がらずに食べてくれた。

 まぁ今回は変態がいてくれたおかげで、至る所で即席麺の一種であるカップラーメンが出て来たんだが。

 真冬ちゃんはそれはもう美味しそうにカップラーメンを食べていた位である。

 そして、変態の出すカップラーメンの種類の多さに、俺も魔族の即席麺への技術力の高さを改めて感じたものだ。

 そんな俺の即席麺への熱い思いも、真冬ちゃんは嫌がらずに嬉しそうに聞いてくれた。

 チハルですら顔には出さないが、聞き飽きたと言わんばかりの空気を出しているのに。

 チフユ達に至っては、完全に空返事をしてくるのだ。

 そういう意味でも、真冬ちゃんは素晴らしい娘であると言えよう。

 なんか、真冬ちゃんをこのまま俺好みに育てて結婚したい位だ。


「兄さん、気持ち悪いこと考えてる」

「そんな事はないぞ」


 何故、俺の考えがバレた……。

 チフユの目が冷たい。


「兄さんは変な事を考えていると顔に直ぐ出る」

「マジか……?」

「他の人には分からなくても、私には分かる」


 流石、生まれてからずっと俺と一緒にいるだけある。

 これを怖いととるか、愛されてると取るかはその人次第だと思うが。


「それに、4歳だと結婚できるようになるまでに少なくとも11年は掛かる。30過ぎのおっさんが手を出していい年齢じゃない」

「愛の前には年齢なんて関係ないのでは?」


 取り敢えずチハルの言いそうな意見を出して反論してみる。


「兄さんは私を捨てて、若い娘に乗り換えるって言うの?」


 そうしたら物凄い目で睨まれてしまった。

 まぁ、婚約者の目の前で若い娘(4歳児)に浮気したいって言ったら、当然の返しの様な気もする。

 確かにR18の話ではないのだ。

 現実で考えたら犯罪である。

 というか何で真冬ちゃんと結婚しようと思ったことまでバレているのだろう。

 チハルじゃあるまいし、何かのスキルで俺の頭を読んでいるとは思いたくないんだが……。


「それに11年も経ってれば、私達の間に子供だっているはず。兄さんはそんな私達を捨てないって信じてる」


 そんなチフユの真っすぐな目に俺は耐えられず、目線を反らしてしまった。


「はぁ、兄さんは……」


 そうは言うが、俺だって偶には癒しが欲しいのである。

 チフユの事は好きだし、愛しているし、他の誰かにやる気は一切ないが、バックグラウンドが重すぎるのだ。

 それに張り合える様に頑張って入るが、偶には休みが欲しいのだ。



「しかし、うどん達は巧く街に潜り込めたかね」


 段々、考えが良くない方向に進みそうだったので、頭を切り替える為にも話題を変える。


「一平はこの手の潜入には慣れてるみたいだし、心配いらないと思う」


 チフユも俺のそんな考えを読み取ったのか、話を合わせてくれた。

 チフユのこう言う気遣いは、非常に助けられるんだよな。

 だから、チフユの隣に居られる様に頑張りたいと思うのだ。


「まぁなんだかんだで、あいつらの方が多芸だしな……」


 一応、大きな街に入る時は身分を確認できるものが必要になってくる。

 そう言ったものがないと、無駄に入るのに時間がかかるし、下手すると入れて貰えなかったり、最悪投獄される可能性だってある。

 チフユは冒険者ギルド発行の身分証、俺は商人ギルドの身分証を持っているから、正規に問題なく入ることが出来るのだが、変態達にはそういった身分証が存在しなかった。

 うどんとそばは見た目が動物なのでどうにかなるかもしれないが、変態はそう言う訳にはいかない。

 それに変に調べられて、魔族であることが分かると面倒な事にしかならない。

 なので、前もってうどん達と別れて別ルートで街に入る事にしたのである。

 ちなみに、真冬ちゃんは未成年者なので保護者がいれば身分証は要らないのだ。


「あいつらどうやって街に入るかとか聞いたか?」

「そこまで聞いてない」


 まぁうどんは【幻惑】を使えるし、変態は【忍術】とか言う良く分からない潜伏用のスキルを習得しているらしいので、どうにかするのだろう。

 俺達が街に入るのに無駄に時間を掛けているから、多分奴らは既に街に入って情報を収集してくれているはずだ。

 教会と公爵家の不正の件もそうだし、チアキのリクエスト通り、魔王四天王がこの街にいることを証明するようなイベントを早急に仕掛けるためにも情報が必要である。

 特に魔王四天王イベントの方は早めにやらないと、チハル達がここに来るのが不自然になってしまう。

 どうせチハルの事だから、チアキが向こうのパーティに戻り次第、エルードに向かってくるだろう。

 距離的にはこっちの方が近いから良いが、それでも1週間もするとチハル達もここに到着するはずだ。

 やる事は意外と多いのである。


「兄さん、そろそろ順番」


 そんなこんなでやっと俺達の番が回ってきた。

 いや、本当にただの麺職人にこんな面倒なイベントやらせるなよな。


所謂、光源氏計画です。

人間誰しも一度は妄想する事だと思います。

まぁ現実ではそんなに都合の良い幼女なんていないんですけどね。

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