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オークの森って字面的にエロいよね


 オークの住む森はイーストウッドから歩いて1時間くらいの所にある。

 基本的にオークは単体で行動しており見つける事さえ出来れば、討伐はそこまで難しくないというのが、チフユの意見である。

 しかし、オークの住む森か。

 エロい格好をした女性が捕まっていて色々とさせられていそうな空気を感じる。


「兄さん、オークは人間と繁殖活動を行わない」


 変なことを考えていたらチフユから冷たい視線を送られてしまった。


「人間と繁殖活動を行うのはゴブリンとかオーガとかもっと人間に近い亜人種だねっ」


 チアキは学術的な面から意見を言ったのだろうが、その辺の魔物だとR18的な胸熱展開があるってことだな。


「お兄ちゃん……。変なこと考えてるでしょ?」


 チハルの目からもハイライトが消えたことだし、これ以上考えるのは止めよう。


「それで森は結構広いみたいだけど、どうやってオークを探すんだ?」


 大切なのは不利な時に話を変える勇気。


「オークを呼び寄せられるお香を持ってきてる」


 なるほど、それで集まってきたオークを倒すってことか。


「でも、そんなお香焚いたら周りにいるオーク何体も来るんじゃないかなっ?」

「そんな一気に集まるわけじゃない。来た順に処していけば余裕」


 チアキの不安にもチフユは自信ありげに答えた。

 流石に何年も冒険者を続けてきた訳じゃないってことだな。


「そうだ、お兄ちゃん。わたしもオーク狩ってくるから、帰ったら焼豚作ってよ?」


 やはりチハルは食目当てだったらしい。


「別に構わないが、血抜きの仕方とかお前知ってんの?」

「まぁこれから冒険する様に色々とサバイバル技術を学んできたからね」


 肉類は狩った後の血抜きを怠ると一気に生臭くて不味くなる。

 血抜きが出来るか出来ないかで全然味が変わるのだ。

 一年前は俺の後ろを付いて回るだけだったチハルが大きくなったものだ。



 そんなこんで森に到着した訳だが、足手纏いになるという理由で森の前に置いていかれた。

 事実ではあるが悲しい。


「森の中は見通し悪いし危険性を考えたら仕方がないと思うよっ」


 俺と一緒に留守番をすることになったチアキが言う。

 チアキは手伝わないといった言葉通り森に入ることはなかった。

 チハルは喜んで突っ込んでいった。

 16になったんだから、チフユ程とは言わなくても、もう少し落ち着きを持って欲しいものである。


「そう言えば、チナツは元気にしてるか?」


 王都の教会には俺の義妹に当たるチナツがいる。

 王都にいたチアキとは交流があったはずだ。

 そう思いチアキに話を振るとプルプルと震えながら、


「チナツ様は素晴らしい御方です。うちが彼女に逆らうことは在りません」


 とか言い始めた……。

 てか口調変わる程、あいつに何されたんだ?

 これ以上チアキの口からチナツについて聞くのは難しそうだ。

 チナツは何だかんだで寂しがり屋だから、チハルが王都に戻るときに一緒に行って挨拶してきても良いかもしれんな。

 そんな事を考えていると、森の奥から物凄い光が放たれた。

 その光に続けて地面が揺れる。


「なっ、なんだ!!」


 二人のことが心配になり森に入ろうとするが、チアキに止められた。


「大丈夫だよっ、兄様」

「どう見ても、ただ事じゃないだろ!?」

「あれは十中八九、聖剣の光だからねっ。どうせチハルがオーク見つけて興奮してブッパしたんだと思うよっ」


 チアキに言われると確かにそんな気がしてくる。

 あいつならやり兼ねない。


「今頃、食べようと思ってたオークが蒸発して跡形もなくなってるのを見てガッカリしてるんじゃないかなっ」

「勇者って凄いのな……」

「一応人類最強の存在だからねっ」


 チアキの苦笑いというレアなものをこんな所で見ることになるとはな。



 そんな光騒動から数刻経つとチハルとチフユが戻ってきた。

 最初の光以降も何回か森の中では光が放たれ、森の生態系は今日崩れてしまったことだろう。

 チハルは一匹もオークを捕れなかったらしくガッカリしていた。

 聖剣の光に頼らなければ良かったのでは?

 チフユは血塗れになっていた。

 この言い方は失礼だろうが臭い。

 美少女が血で濡れているとなんか神々しさというかそう言うものを感じるというが、実際目の前にその格好で立たれると血の臭さが先立って駄目だな。


「兄さん?」


 はい、チフユの冷たい目線頂きましだ。

 確かに俺が悪かった。


「それで、規定数の討伐は出来たのか?」

「余裕」


 そう言ってチフユは背負っていたバッグからオークの肉片を()()出した。


「おい、これって?」

「後で、美味しい肉豚作って」

「ああ、分かったよ」


 チフユの意図を察して、流石だなと思った。


「お兄ちゃん、わたしは泥棒猫の施しなんて受けないよ。むしろ、お兄ちゃんが作った食べ物以外はわたしの体が受け付けないよ」


 チハルのハイライトは消えていたが……。


「お前に出す奴は俺からの施しだろ」

「むぅ」

「それじゃあ、良い時間だしイーストウッドに討伐報告行こうぜ」



 今からなら日が暮れる前に村にも戻れるだろ。

 

ジャンル別日刊8位まで上がってました。

皆さんの応援のおかげです。

これからも、よろしくお願いします。

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