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チアキとチハル


 うちが第一の矢として放ったリジーは寝取られた理由が糞過ぎたせいで、チナツに切って捨てられてしまったみたいだねっ。

 まぁ当然と言えば当然だよ。

 自分が遊びたいからって婚約者を裏切って浮気した挙句、浮気相手に借金までして金を貢いでいたんだからねっ。

 借金が出来なくなって浮気相手に捨てられ、浮気がバレて婚約者にも捨てられ、ドワイトの所に堕ちて来たとかお笑い種だよ。

 まぁ浮気相手がドワイトの仕掛けた罠だったとしても、初手の浮気しても良いやと思った段階でもう婚約者を裏切ってる訳だから許される訳がないんだよね。

 と言うか、何でこういう寝取られ癖のある人間って、付き合ってる人間と別れてから新しい人と付き合わないんだろう。

 ちゃんとそう言った手間を挟めば、何に問題もないのに頭のオカシイ話だと思うんだ。

 まぁ何にしても、この手の裏切り系の話ってチナツは凄く嫌悪しているから、手助けしないのも当然だったんだよねっ。

 リジーは聖女の癖に助けてくれなかったとかチナツを怨んでいたけど、そもそも自分が悪いって事を理解しないで助けを求めても、普通の人間は動かないと思うんだっ。

 そういう意味でもリジーは子供だったって事なんだよね。

 うちよりも5歳以上も年上の癖に子供扱いされるとか恥ずかしい事この上ないよ。


 そしてその失敗を反省して放った第二の矢のローズマリーは、チナツの心をくすぐる理由で奴隷化してるからうちの想定通りチナツがドワイトの所に来てくれると思うんだよね。

 ローズマリーを解放して欲しければ、チナツが身代わりになればいいとか言えばもう完璧だよっ。

 これで兄様争奪戦からチナツの脱落が確定するっていう、この完璧な作戦に死角はないよっ!!



「死ねぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 ドワイト達とチナツを待ち構えていた部屋が、チハルの声と共に爆発する。


「ちょっ!!」


 聖剣がドアを突き破って入ってきた挙句、壁に着弾した瞬間に爆風を巻き起こしたのが辛うじて見えた。

 声と言い、聖剣と言い確実にチハルの仕業である。

 うちは聖剣が爆発する前に慌てて防御壁を張ったから服に砂埃が付く程度で済んだけど、ドワイト達は大丈夫なのかなっ?


「さて、チアキがここにいるのは分かっているよ。一人でお兄ちゃんに会いに行った罪をここで償って貰うよ!!」


 爆風が晴れるとドワイトを足蹴にチハルが聖剣ではなく兄様に買って貰った剣をうちに向けながら、そう宣言してきたんだ。


「な、なんでチハルがここに?」

「決まってるよ。そこにいる羽虫から話を聞いたんだ」


 チハルは剣を握ってない方の手で部屋の外を指差した。

 そこには口枷を付けグルグル巻きに縛られたローズマリーが転がっていた。

 チハルに無理矢理引き摺られたのか、シスター服には土が付いており、その姿は見るも無惨な状態だったんだよっ。


「チハルやり過ぎじゃない?」

「そんな事ないでしょ。そこな虫はチナツを――引いてはお兄ちゃんに弓引いた狼藉者だよ。もっと酷い目に遭わせても良かったくらいだよ」


 チハルはフンと自慢気にそう主張した。


「ちなみに、今回の件にチアキが関わっていることも分かっているからね。丁度良いからチアキもここで誅させて貰うよ」

「いや、ちょっと待って欲しんだよっ」


 話が急展開過ぎてついていけない。


「駄目だよ」


 そして考える時間すら与えてくれないらしい。


「うちにも弁解の機会を!!」

「どうせ下らない事しか言わないでしょ。そう言えば蛆虫は何処行ったの?」

「蛆虫ってドワイトの事?」

「そうだよ」

「それなら、チハルの足元にいるんだよっ」


 うちに言われて、チハルは初めてドワイトの存在に気付いたらしい。

 ドワイト、可哀想な子だよ……。


「というか、わたしの聖剣投擲にチアキしか反応できないって大丈夫なの、このパーティ?」


 チハルのいう通り、アンジェラもリジーもチハルの攻撃に反応できず、床に転がっていた。

 見た感じ、全員意識も落ちているみたいだよっ。


「そうは言っても一応Sランクパーティなんだけどねっ」

「この程度でSランクってSランクの価値も落ちたものだよ。わたしに手を出そうとした剣聖(ゴミカス)の方が強かったんじゃないの?」

「それは否定できないんだよっ」


 チハルに手を出そうとした剣聖は実力でSランクまで行っている。

 金でSランクになったドワイト達とは比べ物にならないだろうねっ。


「ちょっと無駄話が過ぎたね。まぁ良いや。取り敢えず、チアキには選択肢を2つあげるよ」


 チハルが手元の剣をうちの喉に当ててくる。

 というか完全にうちが黒幕扱いされてるんだよ。

 まぁ間違ってないんだけど。


「どんな選択肢なのかなっ?」


 言い争いをしても、暴走しているチハルには無駄である。

 多分、文句を言うより喉を刺される方が早い。

 だから、うちはチハルの話に乗る事にした。


「一つはここでわたしに誅される事。お兄ちゃんには魔族に【魅了】を掛けようとしたら、魔法を反射されて、どうしようもなかったから誅したって伝えておいてあげるよ」


 何かそれ、うちが凄い間抜けな感じがするから止めて欲しいんだけど……。

 流石にカウンター系のスキルとか魔法が掛かってるか位調べてから、【魅了】みたいな危険な魔法は使うんだよっ。


「もう一つは?」

「もう一つはチナツと協力して国教をぶっ壊しにいくことだね」

「どういう事なのかなっ?」

「多分、羽虫の件で出て来た国教の不正はチナツ的には許せない事だと思うんだよね」


 チハルのいう通り、チナツはそう言う道徳に反することは嫌っている。

 今回の件は自分の所属する組織の事だから尚更だろう。


「つまり、チナツはこのままアイリス清教の不正を暴くために動く可能性が高いって事かなっ」

「流石チアキだね。説明しなくても理解してくれるのは、説明する側としては楽でいいよ」


 アイリス清教の不正は公爵家も絡んでいる訳で、かなり根深いものだと推測できる。

 だからチナツがその不正を正そうとすれば、国教の暗部に手を出さないといけない訳でかなり危険な行為であると言える訳だ。


「チナツがその過程で酷い目に遭ったら、お兄ちゃんが悲しむでしょ? わたしだとそこまで権力ないからね。チアキが手伝った方が色々と話が早いと思うんだよね」


 チハルのいう事も正しいと思う。


「それにね。この件の発端がチアキにあるってお兄ちゃんが知ったら、チアキはどうなるかな?」

「えっ?」

「オニイチャンガ イモウトヲ キズツケタ ヒトヲ ユルスワケ ナイジャン」

「えっ」

「ツマリ チアキハ オニイチャンニ キラワレテモ イイッテ コト ナノカナ?」


 それはマズい。

 兄様に嫌われたら、うちの生きる目的が無くなってしまう。


「分かったんだよっ。チナツと協力してアイリス清教の闇をズバッと解決するよっ」

「流石チアキだね。即断即決は良い事だよね」


 偶に思うけど、ハイライトのない状態のチハルの思考速度の速さは何なんだろうねっ。


「さてお兄ちゃんの為の戦いの始まりだよ!!」


 そのチハルの発言が、うちには恐ろしいケダモノの様に感じられたんだよっ……。


チハルに負けるチアキの図でした。

普通兄様の大切にしている人を陥れれば嫌われると思うんですけどね。

チアキ的にはバレなければ、何をやっても良いと思っているので、仕方がないのかもしれません。

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