表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/125

可哀想なリジー

昨日は私事がたて込み、更新できなくてすいませんでした。


 あたしはゴットフリートさんの件でチハルに説教したことを反省していた。

 後からチハルの言い訳を聞いてみると、アレはゴットフリートさん達としっかり相談の上行っていたらしい。

 確かに、後遺症が残らない様、臓器とかに一切傷を付けていない切り口を見ると、チハルの言葉は間違っていなかった気はする。

 アネットさんは怒っていたけど、斬られた本人とリーフさんは言われてみると確かにそこまで怒っていた様には感じなかった。

 どこか演技臭かったのも事実である。

 あの後すぐにゴットフリートさんのパーティは離脱してしまったので、向こうの話を聞くことは出来なかったけど、チハルの言葉に嘘はなかったのだろう。


「はぁ、もう少し人の話を落ち着いて聞ける様にならないと駄目ね。これじゃあ、にぃにに怒られちゃう」


 あたしは前から思い込んだら一直線の気があると、にぃにに注意した方が良いと言われていた。

 正に今回の件がそれだろう。

 ちゃんと自分の非を認めて、謝るのも大切な事だ。

 怖いけど後でチハルにちゃんと謝らないと。

 流石に弑される様な展開にはならないわよね……?

 今回はあたしが悪い訳だし、にぃにに一週間近付かない位の罰ですませて欲しいんだけど……。


 あたしは朝食を食べながら、そんな事を考えていた。


「チナツさん。助けてください!!」


 そこにドワイトの仲間であるリジーがあたしに助けを求めに来た。


「何事!?」


 流石に街中での魔物とかの襲撃ではないとは思ったけど、もしかするとそういった可能性もゼロではない。

 一応の可能性を念頭にリジーに尋ねる。


「わたし、ドワイトに脅されているんです!」


 あたしの所に駆け込んできた割には火急の用件ではなかったことに、ちょっと気落ちする。

 逆に考えると、脅されていると言う状況がそれだけ切羽詰まったものなのかもしれない。

 確かチアキにしてもらった調査によると、ドワイトのパーティは大体がドワイトの手で借金漬にされていて、身動きが取れなくなっているらしい。

 まぁ、ゴットフリートさん達の情報がデマばっかりだったから、こっちの調査の信憑性もあまり高くはない気もしたけど。


「どういう事?」


 取り敢えず、リジーの話を聞いてみる。


「わたしには年上の婚約者がいたんです。その人は凄く真面目な人で冗談一つ言わない面白みのない人でした。その人と結婚すると苦労せずに生活できそうとは思ったんですが、わたしはもう少し色々と冒険がしたかったんです。」


 第一声からきな臭い空気を感じる。


「それで彼に隠れて裏で女友達と一緒に色々と遊んでいました。そうしたら、街でわたしにナンパしてきた男がいたんです。婚約者と結婚してこのまま街でグズグズと腐っていっても面白くないと思って、思わずそのナンパに乗っちゃったんです」


 この娘は何を言っているんだろう?


「わたしはそのナンパ男にハマりました。彼は浪費家でしたが、物凄く女の人の扱いが上手くて、わたしは彼の隣にいると幸せを感じることが出来たんです。彼は商人を目指していて、お金がたくさん必要だって言ってました。だから、わたしは彼の為にお金を貢いだんです。」

「……それで?」

「最初はお小遣いの範囲で貢いでいたんですが、段々と足りなくなり借金をして、最終的には婚約者との結婚資金にまで手を出しました。それでも、お金が足りなかったんです。彼にその話をすると金を貢げない女に用はないと、あっさり捨てられました。借金も利子を含めると簡単に返せるような金額ではなくて……」


 なんか凄い被害者面してるけど、完全にこの娘クズじゃない。


「そんなことを婚約者には言えなくて、金貸しにどうにかして欲しいって交渉しに行ったんです。そうしたらドワイトを紹介されて、この男に身を捧げるなら借金を帳消しにしてやってもいいって」

「ふーん」

「結局、婚約者にも結婚資金を彼に貢いでいたことがバレて婚約解消されました。しかも慰謝料まで請求されたんです」


 当然の事だろう。

 その婚約者視点で見てみれば、この娘がそこまで股の緩い娘だとは思ってみなかっただろう。

 完全に裏切られているのだ。

 慰謝料を請求したくなるのも当然と言えるだろう。

 しかも、今後の為に貯めていたお金も全く関係のない男に使われてしまったのである。


「それは可哀想ね」


 そう、その婚約者が可哀想である。


「今のわたしはドワイトの奴隷です。朝から晩までドワイトの為に尽くし、あんな奴の為に生きる。わたしはもうそんな生活に耐えられないんです」

「そう」

「だから、チナツさんからドワイトを説得して欲しいんです。わたしを解放して欲しいって」


 裏切った人間が嵌められたから助けて欲しいとか、何を言ってるんだろうか。

 完全に自業自得の人間の為に動く程、あたしは聖人ではない。


「自業自得でしょ。今の状況をその婚約者への罰だと思ってしっかり償った方が良いと思うわよ」


 つまり、あたしにはそれ以外の言葉は言えなかった。

 思わず溜息をついてしまう。

 チハル達の事以外で溜息をつくことになるなんて……。

 クズの周りにはクズが集まるって事なのかしら?

 チアキに言ったら喜んで研究しそうね。


「そんな!! 貴女にまで見捨てられたら、わたしはどうしたら!?」

「だって貴女、その婚約者に対して悪いと思ってないでしょ? そんな人間を助ける程、あたしは馬鹿じゃないわよ」


 あたしはそう言って席を立った。


 後ろには絶望して立ち尽くす彼女がいたが、自分のやったことがどれだけ悪い事だったか気が付かないのだろうか?

 最初に婚約者を裏切った分際で、自分は今困っているから助けて欲しいとか舐めた考えである。

 あたしはそういう考えこそ許せないのだ。

 裏切りによって自分から堕ちて行ったんだから、その責任は自分で取るべきなのである。


 ちゃんと罰は罰として受けないと駄目なのだ。


 そしてチアキの調査結果に対する信用度が凄く下がった。


ドワイト第一の矢は完全にミスったようです。

この後、第二、第三の矢が放たれます。

チナツは一人で上手い事いなせるのでしょうか?


次回はローズマリーの事情です。


引き続きお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ